大学を出たが就職の決まらない一馬。姉に呼ばれてパリに渡り、ふとしたことから三つ星レストランでキノコの管理を任される。ある日オーナーから、店の名物料理に使う「マルコ」という日本原産のキノコの買い付けを命じられた。パリではこの店だけで食べられる極上のものだ。早速日本に飛んだ一馬だったが、思いもよらない事実を知ることに―。魅惑のキノコをめぐる、奇想天外な物語。詩を読むようなリズミカルな文章。言葉遊びがお...
しあわせな眠りを提供する不思議なホテルの物語。チェックイン、日没後。チェックアウト、日の出まで。最良の眠りを提供するホテルのフロントに職を得た「誘眠顔」の希里。閉鎖された家族関係にも変化が…。日常からほんの少し乖離した世界の物語。不眠症で悩む人々に最高の眠りと最良の夢を提供するためのホテル。快適な睡眠のために徹底したサービスとシステムと構造がユニークです。無音でも安心感。上手な睡眠導入の描写。寝始...
母親と二人暮らしをしていたまちるははたちの誕生日直前、死んだと思っていた父からマンションを相続する。元恋人の幼なじみや、父の同居人だった女性との奇妙な友情。新しい部屋で重ねる日常。少しずつ自立していく、まちる…。諦念とユーモアをやわらかな会話で紡ぐ秀作。第26回すばる文学賞受賞。更年期障害に悩む母の梅子と二人暮しのまちる。父の遺産相続で明らかになる出生の秘密。20歳のまちるの淡い悲しみと独立の物語...
装画・装幀は池田進吾(67)。生き物をモチーフにしたり、題名だけだったりの短編集。不思議な力や奇妙な出来事を、淡々と描きます。人生の難しさや悲しみも織り込まれ、不思議な味わいが楽しくユーモラスです。「ユニコーン」中味がユニークでした。「荒野にたたずむ藍色の馬」に感情移入です(笑)。私は何を宿してるのかな?って思いました。「蟋蟀」こおろぎの刺青を持つタマコおばあちゃん、気性が良くて好きです。蟋蟀ってこう書くん...