世界最大級の鳥であるヒクイドリ(Casuarius casuarius)の頭頂部にあるとさかが紫外線に反応して光ることが新たな研究で明らかにされた。ヒクイドリのとさかの蛍光発光を実証したのはこれが初めてだ。論文は2026年2月24日付けで学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
「これは注目度が高く、キャリアを決定づけるような大発見です」と、英サウサンプトン大学の古動物学者ダレン・ナイシュ氏は話す。「実に素晴らしい研究成果です」。なお、氏は今回の研究には参加していない。
ヒクイドリはオーストラリアとパプアニューギニアの熱帯雨林や山岳地帯に生息し、爪は短剣のように長く、体重は63キロを超えることもある。現在知られているヒクイドリ属の3種はいずれもケラチンで覆われた骨質のとさかをもっているが、その大きさ、形、色はそれぞれ異なる。通常、とさかは成長するにつれて大きくなり、性的に成熟する頃に最大になる。(参考記事:「太古の森にすむ巨鳥 ヒクイドリ」)
「奇妙な突起です」と、論文の筆頭著者であるトッド・グリーン氏は言う。「見た目は角のようですが、実は他の動物がもつ角とは全くの別物なんです」
穏やかな性格で協力的なヒクイドリ
「ジンジャー」と名付けられた体高約1.8メートルのヒクイドリは、穏やかな性格で、実験に協力的だ。2021年3月の暖かい夜のこと、「ジンジャー」の頭にある角状の突起に含まれるケラチン(人間の皮膚や髪にも含まれるタンパク質)が、紫外線の下で蛍光を発するかどうかを科学者たちが調べようとしていた。それまで、この大型の飛べない鳥で、蛍光現象が確認されたことはなかった。
解剖学者で古生物学者でもあるグリーン氏は、紫外線ライト(ブラックライト)を携えて、ジンジャーが飼育されている米フロリダ州の「ヒクイドリ保護プロジェクト」を訪れた。紫外線は人間には見えないが、多くの鳥には見える。
「その夜、一人の飼育者と一緒に外に出たのですが、彼はどうせ何も起こらないだろうと言って、私をからかっていたんです」と、米ニューヨーク工科大学オステオパシー医学部でヒクイドリを専門に研究するグリーン氏は語る。
しかし、フェンス越しにジンジャーのいる暗闇に紫外線ライトを当てると、状況は一変した。「それまで見たなかで一番鮮やかな蛍光でした」とグリーン氏は言う。「思わず声が出ましたよ」(参考記事:「ピンクのモモンガから緑のサメまで、蛍光に光る生物たちの謎」)
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