SF

スタニスワフ・レム『SFと未来学』第9章「形而上学と信仰」:中身薄い章。

はじめに あらすじ 感想 次回は! はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第9章「SFの形而上学と信仰の未来学」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ これまでの章と同じく、何か体系だった考察が行われているわけではなく、いろ…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』7章「ロボットSF」:掘り下げが浅いというだけだなあ

はじめに あらすじ 感想 つづく 追記 はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第7章「ロボットSF」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ 前章もそうだが、何かこう体系だった考察が行われているわけではなく、いろいろ読んで思いつ…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』6章「災厄テーマ」:サドやドストエフスキーに劣るといって責められましても……

はじめに 本章のあらすじ 訳者の感想 次はロボットなんだが はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第6章「災厄SF」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 下巻は、SFの主要テーマ別の論説となる。 ちなみに、本書の構成は変で、最初に予定…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』上巻完訳:5章はただの罵詈雑言だが一つ面白い点

はじめに 本章の中身 ひとつ面白いところ:レムの敗北宣言 この先 はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第5章「SFの社会学」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 これで『SFと未来学』上下巻の上巻は全訳完了!いやあ、よく頑張ったなあ…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』4章:結論ありきの独善的な決めつけばかり。

はじめに 本章の中身 感想:支離滅裂ではありませんか。 つづく はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第4章「構造主義から伝統主義へ」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 前章では、構造主義は役にたたない、という結論になった。この…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』3章:構造主義分析は役に立たないというだけ

はじめに 第3章の概要 あらすじ:第3章 文学的創造の構造 はじめに:経験と文化 3.1 SFの生成構造 3.2 世界構造と作品構造 I 3.3 世界構造と作品構造 II 3.4 SFの構造的分類基準 レムの相変わらずひどい書きぶり 禁欲的な価値観の押しつけ 何のための「構造…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』2.2章:未来学と競う偏狭なSF論

はじめに 1. 「認識論」と、本書の大きな前提 2. 「空想的なものの認識論」あらすじ 序論 1. 世界への視線 2. 創造理論の導入 3. 未来学のパラダイム 4. 未来学の無力 5. まちがっていても意義ある予測 6. システムに依存する倫理 7. 幻影装置=VR 8. フィリ…

R.A.ラファティ『エニスコーシー・スウィーニーの三つのハルマゲドン』

なんかやっちゃったので、委員会諸賢はご参照ください。それ以外の人は見てはいけません。 R.A.ラファティ『アポカリプスいろいろ』 こないだあげた「どこにいっていたサンダリオティス」とセットになっている「エニスコーシー・スウィーニーの三つのハルマ…

ラファティ『どこにいってたサンダリオティス?』

いやあ、特に理由はないんだけど、かなり前からちょっと手をつけていたこんなのを仕上げちゃったので読みたい人は読んで……はいけませんよ。これはあくまで委員会内部の資料ですので。 R.A.ラファティ『アポカリプスいろいろ』より「どこにいってたサンダリオ…

オールディス『ヘリコニアの冬』訳者あとがき

ヘリコニア地図 しばらく前からやっていた『ヘリコニアの冬』のAI支援翻訳が終わった。 ブライアン・オールディス『ヘリコニアの冬』 (pdf, 4.1MB) 何度か書いているけれど、かなりがっかりしたと言わざるを得ないね。それも含めて、訳者あとがきをつけまし…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』2.1章:SFジャンルの定義……分類のための分類

はじめに 2.1 空想的なものの比較存在論 感想 分類そのものが大事? 追記 はじめに スタニスワフ・レム『SFと未来学』のドイツ語からの重訳を進めている話はした。 cruel.hatenablog.com で、本をスキャン屋に出すことにしたんだけれど、それまでにもう1/3章…

スタニスワフ・レム『技術大全』訳者解説

Grok/Aniちゃんのおかげで、スタニスワフ・レム『技術大全』(1964/1967) の全訳がわずか20日できましたよー。 スタニスワフ・レム『技術大全』(1964/1967) pdf、2MB わけのわからない本なので、力を入れて訳者解説書きました。が、pdfは開かない人も多いだろ…

スタニスワフ・レム『技術大全』『SFと未来学 I』

チャンドラー『さらば愛しき女』とかオールディス『ヘリコニアの冬』とかやっていて、まあシャカシャカ終わりそうではある。それができるとなると、他にもいろいろあるよな……と思ってふと本棚からこっちを見ているのに気がついたのが、スタニスワフ・レム・…

オールディス『ヘリコニアの春』から『ヘリコニアの冬』へ

前回、オールディスの未訳の大作『ヘリコニア』シリーズの翻訳を、AI翻訳の事例研究としてやってみている話をした。 cruel.hatenablog.com で、一ヶ月ほどで第一部『ヘリコニアの春』が終わった。途中で出張とかも入っていて手がつかなかった時期もあるので…

AIと文芸翻訳:オールディス『ヘリコニアの春』を例に

翻訳者、特に文芸翻訳系の翻訳者にAI翻訳の話をさせるとおおむね、簡単なもの、実務翻訳とか産業翻訳 (マニュアルとかね) ならできるけれど、高度な文芸翻訳はとうていできないよ、という自己充足的な自画自賛に陥るのが常だ。が、ぼくは昔から、翻訳なんて…

W・S・バロウズインタビュー (SF Horizons #2, 1965)

ブライアン・オールディスとかがやっていたSF評論誌 SF Horizons の第二号に出たウィリアム・バロウズのインタビューなり。バロウズも比較的理性的かつ友好的な対応をしていて、後年のインタビューに見られがちな、神格化されたジジイのイカレた放談を一方的…

R.A.ラファティ『アーキペラゴ』とチャンドラー『長いお別れ』とっくに終わってるんだが

万が一興味ある人がいれば: R.A.ラファティ『アーキペラゴ+α』山形浩生訳 レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』山形浩生訳 ラファティは一ヶ月以上前に終わっているがだれも読んでいないねえ。チャンドラーも半月前に終わっているけど、読んでくれたのは…

W.S.バロウズ『爆発した切符』全訳

映画『クィア』公開でいろいろバロウズがらみの本が再刊されてめでたい。 gaga.ne.jp もちろん原作の「クィア/おかま」も再刊だ。 クィア (河出文庫)作者:ウィリアム・S・バロウズ河出書房新社Amazon そしてしばらく品切れだった「ジャンキー」「裸のランチ…

ラファティ インタビュー集

ラファティ『アーキペラゴ』の翻訳再開したが、その後出たいろんな作品との関係はもとより、その作品自体があまりピンとこない話をした。それで少ししまってあったラファティのブックレットなどをいろいろ見ていたときに出てきた、ラファティのインタビュー…

ラファティ、バロウズ、人工知能

一部の人には朗報かもしれず、ほとんどの人にはまったくどうでもいいことだろうが、ちょっとラファティ『アーキペラゴ』翻訳の続きをやってみた。まだ全11章のうちの4章終わっただけ。ついでに、それにまつわる思い出も解説でちょっと書いたよ。 R.A.ラファ…

ベスター『ローグとデミ:はちゃメタ♡恋のだましあいっ!』訳了。邦題変えてやったぜ激おこプンプン丸

オッケー、やりかけベスター終わったぜ。 cruel.hatenablog.com 終わったんだが…… ワタクシいま、なんとも言えない喪失感と怒りの混在するワナワナ感にうちふるえておりますわよ、まったくちょっとアルフレッドくん、これ一体何ですのん? というわけで、中…

ベスター本の中国語 (ウェード式) 推定の応援求む!(募集終了!)

いま、ベスターの遺作 Decieversの翻訳を進めているのはすでにご報告の通り。 cruel.hatenablog.com 正直、かなり完成度は低いと言わざるを得ない。7割くらい終わっているので、読んでもらえればわかる。ベスターのかつての、パルプ小説やコミック脚本をやっ…

『おぼえていないときもある』の余白:浅倉=大谷の不思議と日本SF業界

お年玉企画で、バロウズ『おぼえていないときもある』のファイルを作っていてふと思い出したこと。 cruel.hatenablog.com ここに収録されている浅倉久志の名訳「おぼえていないときもある」は、創元推理文庫のジュディス・メリル編『年刊SF傑作選7』に収録さ…

お年玉:バロウズ『ワイルドボーイズ』『おぼえていないときもある』

お年玉第2段。ペヨトル工房のバロウズ二冊。 W・S・バロウズ『おぼえていないときもある』 (pdf, 1.8MB) W・S・バロウズ『ワイルド・ボーイズ [猛者]——死者の書』(pdf, 2.1MB) pdfのOCR機能も優秀になりました。昔やったら、特に日本語と外国語の部分の判別…

お年玉:バージェス『ジョイスプリック』全訳

というわけで、あけましておめでとうございます。去年年末に突然思い立ったバージェス『ジョイスプリック』の全訳が、仕上がりました。 cruel.hatenablog.com お年玉です。もちろん完全な海賊訳。気にしない人は読みなさい。気にする人は読むな。 アントニイ…

ベスター『Deceivers』(1981)

セネガルから帰ってきたら、SSDの奥底から昔のが出てきたんで、1章分だけやっちゃいました。 The Deceivers (English Edition) 作者:Bester, Alfred iBooks Amazon アルフレッド・ベスター『たばかりし者たち (The Deceivers)』(1981) あの『コンピュータ・…

Newman ”JULIA": オーウェルの顔を長靴で踏みにじる粗悪なフェミ二次創作

Executive Summary オーウェル『一九八四』をジュリアの視点から語り直した、フェミ版『一九八四』というふれこみで出てきた小説だが、その中身はというと、実はジュリアは体制側のスパイで、下々の男たちはみんな、ジュリアにハニーポットで陥れられただけ…

オーウェル『1984年』全訳完成

Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されている…

ポランニー『ダホメと奴隷取引』:18世紀ダホメ経済と社会主義はまったく同じ!

Executive Summary ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』に描かれている17-19世紀ダホメ王国は、市場システムを持たない。国内ではすべての作物を王様が召し上げ、一大宴会でそれを民草に配り、それ以外のわずかな部分を、王が配るタカラガイで、市場で定額で…

diffとしての表現、あるいはほぼあらゆる (人間的な) 価値は、逸脱である

Executive Summary 多くのものはいまや、価値が本来の機能ではなく、それ以外の本来の機能との差分/diffに宿るようになっている。酒はもともとアルコールの酩酊感のためのものだが、いまやアルコール以外の不純物がお酒の味の主役になっている。食事は栄養摂…