2012-01-01から1年間の記事一覧

川床『漱石のデザイン論』:漱石は結局ダシで、ありきたりなデザイン哲学に堕すもったいない本。

漱石のデザイン論―建築家を夢見た文豪からのメッセージ作者: 川床優出版社/メーカー: 六耀社発売日: 2012/12/03メディア: 単行本 クリック: 126回この商品を含むブログ (1件) を見る夏目漱石はもともと建築家志望だった! 知らなかった。でも彼は、明治の日…

三浦『シビリアンの戦争』:シビリアンコントロールは本当に有効か?

シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき作者: 三浦瑠麗出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/10/19メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 615回この商品を含むブログ (14件) を見る本書は、ぼくたちの多くが慣れ親しんでいる軍や戦争に関する基…

長崎『革命の哲学』:左翼過激派運動の思想を、過去のものとしつつ思想史的にふりかえろうとするまじめな本。

革命の哲学――1968叛乱への胎動作者: 長崎浩出版社/メーカー: 作品社発売日: 2012/11/24メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 441回この商品を含むブログ (3件) を見る60年代安保から70年代に至る学生運動というのは、人によっては大仰にまつりあげてしまう…

関『東日本大震災と地域産業復興』: 震災復興の歩みから日本産業の将来像を見通す

東日本大震災と地域産業復興 II: 2011.10.1~2012.8.31 立ち上がる「まち」の現場から作者:関 満博発売日: 2012/10/15メディア: 単行本東北震災以来、もう二年近く。ニュースだけ見ていると、国としての初動の遅れ、空疎な文明論を並べて増税の口実にされただ…

三沢他編『電波・電影・電視』:意外と不十分なテレビ中心のアジアメディア史。

電波・電影・電視―現代東アジアの連鎖するメディア作者: 三澤真美恵,佐藤卓己,川島真出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/10メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 195回この商品を含むブログ (2件) を見るテレビ、ラジオ、映画、レコードなどのメディアは、…

浜野『なんとかはキリストを超えた』:あきれた。

前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書)作者:濱野 智史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/07メディア: 新書ごみくず。この本の理屈なら、長島茂雄が自分のアレで「巨人軍は永遠に不滅です」と言ったことをもとに、長島茂雄…

ホバーン『ボアズ=ヤキンのライオン』:すばらしい。

ボアズ=ヤキンのライオン (ハヤカワ文庫 FT (69))作者: ラッセル・ホーバン,荒俣宏出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1984/11/30メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 3,037回この商品を含むブログ (10件) を見る読もうと思ってずっと本棚の隅にいたこの本、…

Amon Tobin『ISAM Live』:ぐぬぬぬ、カニに惑わされず最初から見ればよかった。

DVD

ISAM Live [初回生産限定・CD+DVD / 国内盤] (BRCDVD6X)アーティスト: Amon Tobin,アモン・トビン出版社/メーカー: BEAT RECORDS / NINJA TUNE発売日: 2012/10/27メディア: CD購入: 12人 クリック: 342回この商品を含むブログ (4件) を見るエレクトラグライ…

エレクトラグライド2012:あれで8800円は安い。

行って参りましたエレクトラグライド@幕張メッセ。その前の上海がに宴会が思ったより長引いたのと、幕張の遠さをなめていたのとでAmon Tobinの中盤過ぎにやっと到着したのは計算外。Kode9 を聞き損ねてしまった…… でもあの ISAM Live のセットを見られたの…

クノー『文体練習』:アイデア勝負の文体模写。

文体練習 (レーモン・クノー・コレクション 7)作者: レーモン・クノー,松島征出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/09/22メディア: 単行本 クリック: 201回この商品を含むブログ (5件) を見る文体練習作者: レーモンクノー,Raymond Queneau,朝比奈弘治出版社…

ゲンスラー『とてつもない宇宙』:宇宙ヤバイ。

とてつもない宇宙 ---宇宙で最も大きい・熱い・重い天体とは何か?作者: ブライアンゲンスラー,松浦俊輔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/11/09メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 672回この商品を含むブログ (2件) を見るいやあ、ぼくが書評を…

日置/中牧編『会社神話の経営人類学』:企業アイデンティティ形成過程を分析した面白い本。

会社神話の経営人類学作者: 日置弘一郎,中牧弘允出版社/メーカー: 東方出版発売日: 2012/09メディア: 単行本購入: 18人 クリック: 1,212回この商品を含むブログを見る最近ではスティーブ・ジョブスとアップルの話に顕著だけれど、会社は発展成長の過程でいろ…

ショルカル『エコ資本主義批判』:バーカ。

エコ資本主義批判―持続可能社会と体制選択作者: ショラルショルカル,Saral Sarkar,森川剛光出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2012/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 328回この商品を含むブログ (3件) を見るエコロジー的社会主義なんだって。バーカ。も…

田崎『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識作者: 田崎晴明出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2012/09/27メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 22人 クリック: 703回この商品を含むブログ (28件) を見る昨年の東電福島原発事故による放射線…

アルカイダ『Inspire』付記:なに、マジでこれ参考にしてる連中がたくさん湧いてるとは!!

数日前に紹介した、アルカイダの『Inspire』だが、飛行機の中で呼んでいた Janes Intelligence Monitor の10月号の記事によると、最近あちこちでホントにこれを参考にして、既存のテロリスト組織とはまったく関係なく一人ジハードをはじめてしまうバカがあち…

松橋『モダン東京の歴史社会学』:うーん、いろいろやったのはわかるが、それで?

モダン東京の歴史社会学―「丸の内」をめぐる想像力と社会空間の変容作者: 松橋達矢出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2012/10メディア: 単行本 クリック: 69回この商品を含むブログ (2件) を見る東京都心、丸の内あたりについての歴史社会学的な研究。…

Neuwirth Stealth of Nations: 事例はおもしろいが、政策提言は……

Stealth of Nations: The Global Rise of the Informal Economy作者: Robert Neuwirth出版社/メーカー: Pantheon発売日: 2011/10/18メディア: ハードカバー クリック: 27回この商品を含むブログを見るしばらく前に(2011年12月)依頼された査読書。事例はお…

村上『はじめてナットク 超伝導』:ミス超伝導ねたが寒いが、それ以外は非常によくわかる。ブルーバックスの王道。

はじめてナットク!超伝導―原理からピン止め効果の応用まで (ブルーバックス)作者: 村上雅人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/09メディア: 新書購入: 1人 クリック: 56回この商品を含むブログ (2件) を見るうちに転がっていたのを消化で読み始めた。人が…

川越『はじめてのゲーム理論』:概説書としてはまあまあ。でも量子ゲーム理論って何のためにあるの?

はじめてのゲーム理論 (ブルーバックス)作者: 川越敏司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/21メディア: 新書購入: 14人 クリック: 161回この商品を含むブログ (7件) を見るゲーム理論の入門書で、それなりに簡潔にまとまっている。もちろん流し読みだけ…

ダレル『ムッシュー:アヴィニョン五重奏1』:キタ―――(゜∀゜)―――!!!

アヴィニョン五重奏I ムッシュー ---あるいは闇の君主 (アヴィニョン五重奏【全5巻】)作者: ロレンスダレル,藤井光出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/11/07メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 337回この商品を含むブログ (6件) を見るキタ―――(゜∀…

えらいレビューアー

(画像はここから盗用。本文とは関係ありません) 自分の関心のある本を漁っているとときどき同じレビューアーが的確なことを言っていて感心することがあって、その一人がこの「アホか」なる人物。なんでこんなふざけた名前にしているのかわからないけれど、レ…

いま訳してる本ときたら……

社会においては協力が大事で、協力と信頼をもとにした社会システムの構築が重要という、それ自体はとってもよい主張の本なんだが…… これを言うために、「これまでは、人間は利己的で私利私欲でしか動かないという人間不信に基づく発想が各種の社会システムの…

アルカイダ『Inspire』2011年秋号:ムスリムなら迷わず無差別テロを! 妥協は棄教なり! 前号から少し高度に.

Inspire. Fall 2011出版社/メーカー: Al Qaeda 発売日: 2012/05? メディア: オンライン雑誌 この商品を含むブログ (0件) を見る アルカイダのリクルート雑誌とされるもの。前号からかなり間が空いて出てきた。今回の特集は、ダール・アル=ハルプ(戦争の家…

アルカイダ『Inspire』2012年冬号:さあこれを読んで今日から君も聖戦士! 前号よりレベル落ちてる。

Inspire. Winter 2012出版社/メーカー: Al Qaeda 発売日: 2012/05 メディア: オンライン雑誌 この商品を含むブログ (0件) を見る アルカイダのリクルート雑誌とされる、オンライン英語雑誌「Inspire」。最新号の2012年秋号がこの5月に出ていました。そろそろ…

ナポリオーニ『マオノミクス』:中国を歪んだダシに使って欧米憎しをがなりたてた変な本。

マオノミクス: なぜ中国経済が自由主義を凌駕できるのか作者: ロレッタ・ナポリオーニ,井上実出版社/メーカー: 原書房発売日: 2012/10/24メディア: 単行本 クリック: 51回この商品を含むブログ (1件) を見るいつの時代も、もう欧米自由主義はダメだ、新しい…

寺尾『魔術的リアリズム』:ラテンアメリカ文学の流れの手際よい紹介。

魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)作者:寺尾 隆吉水声社Amazon20世紀ラテンアメリカ文学のとっても手際よい紹介。シュルレアリズムに連なる流れとして魔術的リアリズムを位置づけて、超現実主義のパリに行ったアストゥリアスとカル…

川畑『脳は美をどう感じるか』:脳科学的に見たアート。

脳は美をどう感じるか―アートの脳科学 (ちくま新書)作者: 川畑秀明出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/10メディア: 新書購入: 10人 クリック: 198回この商品を含むブログ (7件) を見る美術の見方を通じて脳の働きを見る本。布施英利が『電脳美学』なんか…

honz『ノンフィクションはこれを読め』:まあ、ぼくの足もとにも及びませんな。

ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊作者: 成毛眞出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/10/24メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 99回この商品を含むブログ (8件) を見るこの本のもとになっている Honz という試みについては、かつて…

お願い? およびSNS革命など雑感

動員の革命 - ソーシャルメディアは何を変えたのか (中公新書ラクレ)作者: 津田大介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/04/07メディア: 新書購入: 4人 クリック: 165回この商品を含むブログ (35件) を見る(※上の本は記事とは関係ありません。) お願…

『社会を変えるには』評への批判を受けて

社会を変えるには (講談社現代新書)作者:小熊 英二発売日: 2012/08/17メディア: 新書 Executive Summary kamayanによる山形の小熊『社会を変えるには』批判への論難は、その想定読者に関する主張も妥当性を欠き、また処方箋を読み取れていないとの批判も不当…