2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

昔話:ティモシー・リアリーの想い出など

ぼくが初めて訳した商業出版は、H・R・ギーガーの画集だったんだけれど、それを出したトレヴィルという西武系の出版社の編集者川合さん (というか彼一人しかいなかった) が「じゃあ是非これもやってください!」と言って翻訳させられたのが、ティモシー・リ…

フォーゲル他『十字架の時:アメリカ奴隷制の経済学』:おもろいでー。

ポランニーで、ダホメの輸出側の奴隷事情を見ました。 cruel.hatenablog.com それで奴隷に興味が出てフォーゲルの『十字架の時:アメリカ奴隷制の経済学』を読み始め、訳し始めてしまいました。まだ前半だけ。もちろん、フォーゲルはずいぶん長生きしたし、…

教養とは:漁父の辞と水処理

Executive Summary 教養というと、実学に関係ないステータス財なのか、それとも実学にも役立つべきベースなのか、みたいな議論が起こる。だがその区別がない場合もあるし、それが理想かもしれないという気もする。大学の上水道学の講義で、屈原の「漁父の辞…

ポランニー/イモータン・ジョー/コルナイ:不足の経済と社会権力

Executive Summary ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』は、ダホメでは経済が社会に埋め込まれており、各種交換は社会関係の一環として行われる儀礼でしかない、権力関係の結果として行われるお歳暮やお中元みたいなもの、という描き方をする。だがその見方…

ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』全訳終わった

Executive Summary タイトル通り、ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』の全訳がおわりました。 先日、半分まで終わったポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』 cruel.hatenablog.com 全部終わった。 カール・ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』(全訳、pdf 4.8M…

プーチン本その5−7:木村『プーチン』3巻セット:冗長な記述に埋没するが中身は悪くないし、最終巻は優秀。

Executive Summary 木村汎『プーチン』三部作 (藤原書店、2015-2018) は、書きぶりはあまりにひどい無内容な水増しぶり。だがその中身はかなりきちんとしている。プーチンの自伝的エピソードのごまかしも述べ、また変な柔道談義で舞い上がることもなく、北方…