yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

舞囃子「高砂」in 「甲南大学同窓会REBORN61」@甲南大学甲友会館 10月21日

非常にラッキーなことに、人間国宝の大倉源次郎師の演奏を聴くことができた。そもそも今日は京都観世会館での「京都観世会館60周年記念京都観世能1日目」に行こうかどうか、ギリギリまで迷っていた。源次郎師はこの公演で、四本ある能の三番目の『羽衣』の小鼓を担当されることになっていた。ただ、明日は京都造形芸大での講義があり、京都まで出張らなくてはならない上、その翌日は早朝に東京行きが入っている。ということで、泣く泣く観世会館は諦めた。で、突如として降って湧いた感のある源次郎師の演奏情報。もちろん甲南大学の同窓会では、ずっと以前から決まっていたんですけどね。同窓生でもないのに厚かましいとは思ったのだけれど、幸い受付で許可を得た。受付のお嬢さん、ありがとうございます。

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プログラムのチラシをいただいていないので、「高砂」の演者には誤りがあるかも。なにしろ、西宮、神戸の能公演を見たのは数回なので、演者のお顔と名前がなかなか一致しない。シテの上田宜照は面をつけておられたので、お顔はわからなかったけれど、甲南のご出身なので間違いない。ワキの福王知登師はなんども見ている。太鼓の中田一葉師もなんども聞いている。何よりうれしかったのは、去年大連吟でお世話になった今村哲朗師が地謡だったこと。舞台設営の際に出てこられて、思わず「今村先生だ!」って叫んでいた。お若いのにとても肚の座った、美声の謡をされる。しかも(わたくしめのような)さぼりの「生徒」に、徹底的に(?)ご指導くださった。その「高砂」なんですからね、うれしさは二乗ですよ。全体的に若い演者による演奏だったのも、うれしかった。

シテ、地謡の謡は大連吟の稽古で徹底的に叩き込まれていたので、思わず一緒に謡いそうになってしまっていた。今年も参加すればよかったと、ちょっと後悔。世阿弥作の「高砂」の詞章は、読み込めば読み込むほど芳醇なイメージが湧き出てきて、魅了される。そして、圧倒される。

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以下、舞囃子「高砂」の演者の方々。

シテ   上田宜照

ワキ   福王知登

小鼓   大倉源次郎

笛    斉藤敦(?)  

大鼓   大村滋二

太鼓   中田一葉

地謡   今村哲朗 寺沢拓海 上田貴弘(?)

後見 上田拓司

 

上田宜照師は若いだけあって、勢いがありかつ綺麗な謡だった。シテの謡はお囃子にかき消されてしまい(とくに太鼓が入ってくると)聞こえなくなってしまいがちなのに、しっかりと節が聞き取れた。舞で「あれっ?」って思うところはあったのは事実。いずれにせよ視聴者は気づいていないだろうし、この若さでここまで舞われるのは大快挙だと思う。ワキは冒頭部のみ謡が入るのだけれど、福王知登師は出しゃばらず、でもきちんと謡われた。見るごとに上手になっておられるような。お囃子方も乗りに乗った演奏で、こちらの心持ちもウキウキとなった。その中で、源次郎師の演奏は凄みがあり、スパイスを効かせていた。地謡も伸びやかで良かった。