ウラジーミルの微笑

海外文学・世界文学の感想を長文で書くブログです。池澤夏樹世界文学全集の全巻マラソンもやっています。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2-03①『マイトレイ』ミルチャ・エリアーデ/住谷春也訳

バッドエンド至上主義 「アラン、見せたい物があるの」と、最高にへりくだったメロディアスな声で言った。(へだてのない言葉遣いができるように彼女はベンガル語で話していた。二人称が you 一つしかない英語の平板さが不服だった。)(p.102) <<感想>> 文明…

2-02②『カッサンドラ』クリスタ・ヴォルフ/中込啓子訳

闘いからの卒業 アンキセスはかつて言っていた。ギリシャ人にとって、あのいまいましい鉄の発明よりもっと重要なのは、感情移入の才能であったかもしれないのにな、と。ギリシャ人は、善と悪という鉄の概念を自分たちばかりに適用しているわけではない。そう…