ウラジーミルの微笑

海外文学・世界文学の感想を長文で書くブログです。池澤全集を完走後、ゆっくり白水社エクス・リブリスの全巻読書をやってます。

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#名刺代わりの小説10選 and other stories

この記事はtwitterの読書家界隈に定着した文化であるところの#名刺代わりの小説10選を輸入して作られたものである。140字の牢獄に囚われたtwitter民たちが、わずか10作の小説のタイトルに託した自己紹介、または決意表明だ。

本記事はそうした10選に加え、裏10選を選定して記事にしたものである。

ブログとtiwtterでは媒体特性が異なるので、もしかすると長年このブログをお読みいただいている方は、私以上に私の読書の好みをご存知かもしれない。

また、このブログの読者の殆どを占めるgoogle検索流入で来た方には、まさしく書き手の自己紹介の代わりになるかもしれない。

いずれにせよ、ああ、それ行くならそっちも行くよな、とか、そらそれが好きならそっちは合わないわな、などというツッコミを入れながら酒の肴かお茶請けにでもしていただければ幸いである。

なお、いずれの10選も各別の言及がない限り順不同である。

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『ユリシーズ』ジェイムズ・ジョイス/丸谷才一他訳

まえがき

『ユリシーズ』。それは世界で最も多くの挫折者を生み出している本であると同時に、世界で最も過大評価されている本だ。

まずはこのように書く勇気を褒めて欲しい。勇気が必要な理由は、なにも『ユリシーズ』が圧倒的なカノン(正典)の地位に祭り上げられているからだけではない。

それは私が、ナボコフはもちろん、プルーストやV.ウルフ、なんならオマケにK.マンスフィールドなど、ジョイスと同じ箱に入れて論じられている作家たちを愛しているからだ。

つまり、悲しいかな立証責任はこちらにあるのだ。なぜ彼ら彼女らの作品は面白くて、『ユリシーズ』はつまらないのか。

従って本稿は3つの目的をもって書かれている。

一つ目、『ユリシーズ』がつまらないことの論証は無理でも、せめて立証責任をあちらに投げ返したい。二つ目、『ユリシーズ』に挫折し、あるいは楽しみを見出せず砕け散った無数の同志(タワリシチ)の骸に捧げる鎮魂歌となりたい。三つ目、みだりに『ユリシーズ』に手を出そうと蛮勇を振るう兵どものために、警鐘を鳴らしたい。

そしてこれはある意味、私個人にとって重要な挑戦である。なぜなら、ジョイス「でない」理由をもし明らかにすることができれば、逆説的に前出の作家たちの魅力を説明することになるかもしれないからだ。

  • まえがき
  • 第1部 イントロダクション~物語の概要~
  • 第2部 モダニズムと「意識の流れ」
  • 第3部 『ユリシーズ』遍歴
    • 1.ダブリン
    • 2.多弁な作者
    • 3.多弁な英雄たち
      • (1)世界のクソ野郎ども
      • (2)スティーブン・ディーダラス
      • (3)レオポルト・ブルーム
    • 4.解けないパズル
    • 5.物語とアンチ物語
  • 後記
    • 《本のつくりについて》
    • 《参考文献》
    • 《関連記事》
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最近読んだ海外文学作品の感想を喋る

最近ブログの更新が出来ていないので、ブログを更新できていない言い訳と、最近読んだ本の感想をtwitterのスペース機能で喋りました。

感想をお話したタイトルは次のとおりです。

アラン・マバンク/桑田光平訳『割れたグラス』

パーシヴァル・エヴァレット/木原善彦訳『ジェイムズ』

G・ソーンダーズ/岸本佐知子訳『十二月の十日』

アンドレア・アブレウ/村岡直子・五十嵐絢音訳『両膝を怪我したわたしの聖女』

【おまけ】三島芳治『児玉まりあ文学集成』

下のtwitter埋め込みリンクから聞けると思われます。

アカウントをお持ちでないと聞けないかもしれませんが、その場合はすみません。

【追記】アカウントなくても聴けるようです。

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン/市田泉訳

許されないのは わかってるつもり世間のしくみにとても勝てないから

あたしに翼のあるウマがいたら、おじさんを月までつれていってあげるのに。月の上ならもっと居心地がいいはずよ(p.82)

シャーリイ・ジャクスンにはすっかり魅了されてしまった。

きっかけは「くじ」である。彼女の(短篇の)代表作と名高い作品だ。ナボコフ短篇の新訳目当てで買った『アメリカン・マスターピース 戦後篇』にたまたま収録されていたのである。

続いて手を伸ばした本作も、「くじ」に負けず劣らずの作品である。

ただ、ネットの書評などを見ると、ジャンル小説的な文脈での受容(ミステリ、ホラー、ゴシック・・・)に偏っているような印象を受ける。またあるいは、主人公の少女メリキャットの心理にばかり注目が集まっているようにも思える。

そこで、ゴリゴリ文学を標榜する当ブログとして、もう少し突っ込んで本作の魅力について語ってみたい。

 

なお、ここまでの文章は以下で作品の結末まで含めたすべてのネタバレがあることに関する壮大な言い訳である。この作品について、ネタバレが魅力を損なうことはないと私は考えるが、念のためご注意いただきたい。

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