日中韓言語比較論 (発音)
- 2019/06/12
- 22:55
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2019-6-12(水)
日中韓言語比較 (発音編)
学術的みたいに大層なタイトルですが、私の気づいたことを書くだけです。
まず、こんな話があります。
「“現代文” だけより、“現代文と古文” を勉強した人のほうが、“現代文” の点数が高い」
つまり、古文もやった人のほうが、現代文をより理解できている、ということです。
“日本語 (国語) だけをガリガリ勉強するよりも、外国語も合わせたほうがよい”、と単純に言えるかはわかりませんが、一理はありましょう。
日本語の “うま (馬)” や “うめ (梅)” は中国語、“みず (水)” や “くつ (靴)” は韓国語 (朝鮮語) が由来とされています。
日本に古くからある固有語 (和語) にも中国語,韓国語の影響があるということは、文法や発音にも影響していると考えるのが自然です。
私は、中国語と韓国語に触れてから、日本語の文法と発音に興味を持ちました。
□母音
一般的に、日本語の母音は “あ,い,う,え,お” の5つとされます。
ですが、中国語と韓国語では日本語の ‘ヤ’,‘ワ’ に近い音も母音 (二重母音) に含めるのです。
そういえば、‘ヤ’ は ‘イァ’,‘ワ’ は ‘ウァ’ と分解できます。
さらに、‘k (小さいク)’ に ‘ヤ’ がくっつくと‘キャ (kィァ)’ になることから ‘ヤ’ も母音と言えましょう。
(‘ワ’ も ‘クヮ’,‘スヮ’ などを作れるが、あまり使わない)
日本語には長母音もあり、例えば、“き (木,気,黄など)” と “きー (キー,奇異,紀伊など)” は区別されます。
長母音は中国語にはなく、韓国語では失われつつあるそうです。
□2種類の ‘ウ’
“う” の表記はひとつですが、発音は2つあります。
‘う’(口を横に引く) と ‘うぅ’(口を前に付き出す;のばす音ではない) です。
一般的には ‘う’ ですが、 “ツンツン” などでは ‘うぅ’ も出てきます。
発音によって、意味が少し違うと思うのは私だけでしょうか。
・「私がやります」はキリッ
・「私がやりますぅ」はふてくされている印象
中国語は口を付き出すほうの音で、‘オ’ とも聞こえます。
・(図書館) 圖書館:túshūguǎn,トゥーシューグァン → トーショーグァン
私は中国語の ‘lù (ルー4)’ と‘dù (ドゥー4)’ の発音が好きです。
韓国語では、‘으 (ウ)’ と ‘우 (ウゥ)’ が完全に区別されます。
□鼻濁音
鼻濁音 (びだくおん) は子音 ‘ng’ の音で、鼻にかかるガ行音です。
日本では西日本ほど失われています。
私の場合、格助詞の “が” と “小学校” と言うときに鼻濁音でした。
鼻濁音は中国語と韓国語にはありません。
ただ、中国には方言が多くあり、一部の南方方言には鼻濁音があるようです。
下の例では福建 (ふっけん) 語,客家 (ハッカ) 語,広東 (カントン) 語が南方方言に当たります。
日本の漢字はこういう地域から渡来しました。
・日本語(古音) - 広東語 - 客家語 - 福建語 - 中国語(普通話) - 韓国語
・月:ゲツ,ガツ(グヱツ,グヮツ) - ngut5 - ngie̍t - ge̍h - yuè(ユェ) - 월(ウォル)
・額:ガク - ngaak6 - ngiak - gia̍h - é(‘エー’) - 액(エク)
・業:ギョウ(ゲフ) - jip6 - ngia̍p - gia̍p - yè(イェ) - 업(オプ)
・銀:ギン - ngan4 - ngiùn - gîn - yín(イン) - 은(ウン)
※en.wiktionary.orgより抜粋.一部に環境依存文字あり.
中国語と韓国語では母音が先にたち、日本語と南方方言では多く ‘ng’ または ‘g’ なのがわかります。
他に、言,厳,元,源,迎,外,崖,蛾,牙,議,疑,愚,牛,語,五,午,誤,癌,願,岸,眼,逆,岳,愕,獄,玉などもそうです。
‘ギョウ (ギヤウ)’,‘ゴウ (ガウ)’ がないのが少し不思議です。
□‘ン’
最後は子どもが好きな、あの呪文 (じゅもん) です。
決して分解しないでくださいね(笑)
“チンポチンコチンチン”
(ひとりのときに) 普通の速さで発音してみてください。
4回の ‘ン’ が現れますが、すべて発音が違います。
・パ行の前 → ‘m’;口を閉じる
・カ行の前 → ‘ng (ŋ)’;舌元が口中の上に、息が鼻から
・タ行の前 → ‘n’;舌先が上前歯の後ろに
・語尾 → ‘ɴ’;舌元が口中の上に
‘ng’ は上の鼻濁音と同じ子音です。
‘ɴ’ は、大文字のエヌ ‘N’ とは違います。
例文の発音はこうなります。
“Chimpochingkochinchiɴ”
‘ン’ には他にも、鼻母音や “ニ (に)” の前の音など、計7種類があるそうです。
……というのを、私は大学の図書で見たのですが、忘れちゃいました。
興味のある人は図書館で本を探すとよいでしょう。
日本語が好きな人にこそ、外国語を学ぶ意義があると思います。
閲覧ありがとうございました。
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日中韓言語比較 (発音編)
学術的みたいに大層なタイトルですが、私の気づいたことを書くだけです。
まず、こんな話があります。
「“現代文” だけより、“現代文と古文” を勉強した人のほうが、“現代文” の点数が高い」
つまり、古文もやった人のほうが、現代文をより理解できている、ということです。
“日本語 (国語) だけをガリガリ勉強するよりも、外国語も合わせたほうがよい”、と単純に言えるかはわかりませんが、一理はありましょう。
日本語の “うま (馬)” や “うめ (梅)” は中国語、“みず (水)” や “くつ (靴)” は韓国語 (朝鮮語) が由来とされています。
日本に古くからある固有語 (和語) にも中国語,韓国語の影響があるということは、文法や発音にも影響していると考えるのが自然です。
私は、中国語と韓国語に触れてから、日本語の文法と発音に興味を持ちました。
□母音
一般的に、日本語の母音は “あ,い,う,え,お” の5つとされます。
ですが、中国語と韓国語では日本語の ‘ヤ’,‘ワ’ に近い音も母音 (二重母音) に含めるのです。
そういえば、‘ヤ’ は ‘イァ’,‘ワ’ は ‘ウァ’ と分解できます。
さらに、‘k (小さいク)’ に ‘ヤ’ がくっつくと‘キャ (kィァ)’ になることから ‘ヤ’ も母音と言えましょう。
(‘ワ’ も ‘クヮ’,‘スヮ’ などを作れるが、あまり使わない)
日本語には長母音もあり、例えば、“き (木,気,黄など)” と “きー (キー,奇異,紀伊など)” は区別されます。
長母音は中国語にはなく、韓国語では失われつつあるそうです。
□2種類の ‘ウ’
“う” の表記はひとつですが、発音は2つあります。
‘う’(口を横に引く) と ‘うぅ’(口を前に付き出す;のばす音ではない) です。
一般的には ‘う’ ですが、 “ツンツン” などでは ‘うぅ’ も出てきます。
発音によって、意味が少し違うと思うのは私だけでしょうか。
・「私がやります」はキリッ
・「私がやりますぅ」はふてくされている印象
中国語は口を付き出すほうの音で、‘オ’ とも聞こえます。
・(図書館) 圖書館:túshūguǎn,トゥーシューグァン → トーショーグァン
私は中国語の ‘lù (ルー4)’ と‘dù (ドゥー4)’ の発音が好きです。
韓国語では、‘으 (ウ)’ と ‘우 (ウゥ)’ が完全に区別されます。
日本語の母音は、単母音だけで6種類,二重母音を合わせて10種類,長母音も合わせると20種類と言えそうです。
(盛りすぎかな)
鼻濁音 (びだくおん) は子音 ‘ng’ の音で、鼻にかかるガ行音です。
日本では西日本ほど失われています。
私の場合、格助詞の “が” と “小学校” と言うときに鼻濁音でした。
鼻濁音は中国語と韓国語にはありません。
ただ、中国には方言が多くあり、一部の南方方言には鼻濁音があるようです。
下の例では福建 (ふっけん) 語,客家 (ハッカ) 語,広東 (カントン) 語が南方方言に当たります。
日本の漢字はこういう地域から渡来しました。
・日本語(古音) - 広東語 - 客家語 - 福建語 - 中国語(普通話) - 韓国語
・月:ゲツ,ガツ(グヱツ,グヮツ) - ngut5 - ngie̍t - ge̍h - yuè(ユェ) - 월(ウォル)
・額:ガク - ngaak6 - ngiak - gia̍h - é(‘エー’) - 액(エク)
・業:ギョウ(ゲフ) - jip6 - ngia̍p - gia̍p - yè(イェ) - 업(オプ)
・銀:ギン - ngan4 - ngiùn - gîn - yín(イン) - 은(ウン)
※en.wiktionary.orgより抜粋.一部に環境依存文字あり.
中国語と韓国語では母音が先にたち、日本語と南方方言では多く ‘ng’ または ‘g’ なのがわかります。
他に、言,厳,元,源,迎,外,崖,蛾,牙,議,疑,愚,牛,語,五,午,誤,癌,願,岸,眼,逆,岳,愕,獄,玉などもそうです。
‘ギョウ (ギヤウ)’,‘ゴウ (ガウ)’ がないのが少し不思議です。
□‘ン’
決して分解しないでくださいね(笑)
“チンポチンコチンチン”
(ひとりのときに) 普通の速さで発音してみてください。
4回の ‘ン’ が現れますが、すべて発音が違います。
・パ行の前 → ‘m’;口を閉じる
・カ行の前 → ‘ng (ŋ)’;舌元が口中の上に、息が鼻から
・タ行の前 → ‘n’;舌先が上前歯の後ろに
・語尾 → ‘ɴ’;舌元が口中の上に
‘ng’ は上の鼻濁音と同じ子音です。
‘ɴ’ は、大文字のエヌ ‘N’ とは違います。
また、発音によって意味が変わることはありません。
例文の発音はこうなります。
“Chimpochingkochinchiɴ”
……というのを、私は大学の図書で見たのですが、忘れちゃいました。
興味のある人は図書館で本を探すとよいでしょう。
中国語には ‘n’ と ‘ng (ŋ)’,方言によっては ‘m’ もあり、単語の意味もそれぞれ変わります。
韓国語には ‘n’,‘ng (ŋ)’ そして ‘m’ があり、明確に区別されます。
以上です。
文字で表せない発音は衰退するようですので、小書きの (小さい)“ク,プ,ヌ,厶”(それぞれ、‘k’,‘p’,‘n’,‘m’ に相当) と、鼻濁音を示す文字ができてほしいです。
日本語が好きな人にこそ、外国語を学ぶ意義があると思います。
外国語を学習したい人,日本語を学習したい人の参考になればうれしいです。
(マジメな文章は作るのに疲れますね。)
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