カタカナ語と新しい概念
- 2022/03/14
- 23:40
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私が、私の父と話しているときに、こんな話題となりました。
“カタカナの言葉は年寄りにわかりにくい”
T都の知事とかが好んで使うあれです。(私は、小池語と呼んでいます)
例えば、“ダイバーシティー・サスティナブル・オーバーシュート・モンブラン・カナシイ” などです。
私も、カタカナ語は難しいと思いますし、なるべく使わないようにしています。
相手が理解しやすい言葉で、かつ正しく伝えるのが、会話や作文の基礎だと思うからです。
ただし、カタカナ語が増えることにも、理由はあります。
まず、カタカナ語は、今まで日本語 (和語と漢語) や文化になかったもの・こと (概念) を表します。今までの日本語や文化になければ、カタカナ語を使うほかありません。
外来語を直接の意味で訳すのではなく、その概念をも訳す必要がありますが、これが極めて困難なのです。
例えば、クラスターは、英語の “Cluster” の音訳で、意味は “群れ” とされます。
とくに、新型コロナウィルス禍における “クラスター” は、“ある特定の空間・時間において、他よりも高い感染の発生率を示した集団” の意味らしいです。
さらに、クラスターは、“患者の集団”、または “集団感染” と訳されます。
ここで、クラスターと集団感染の差に気づくかもしれません。
説明が難しいですが、集団感染という概念より、クラスターのほうが限定的、つまり、より意味が詳しいと感じます。
これは、集団感染という言葉が、“集団” と “感染” という言葉を、無理にに組み合わせた “合成語” のため、クラスターという単語の意味とズレが生じたと考えます。
今、クラスターの概念を端的に表す、日本語の和語や漢語は存在しません。
次に、新しい概念を日本語の文字 (かなと漢字) で表すのは、非常に難しいです。
日本語・文化になかったもの・ことを、用意された
これには、漢字の持つ詳しい意味を知っていなければなりません。
例えば、英語の “Abstraction” は “実体がないもの・こと” を表します。
頭の切れる昔の人は、このAbstractionを “抽象” と訳しました。
抽象という語を分解すると、“抽” には “取り出す” という意味が、“象” はゾウさん……ではなく、“すがた・かたち” という意味があります。
漢語は、“VO (述語-目的語)” の順が原則ですから、“抽象” は、“
ということで、抽象とは “実体 (かたち) のないもの・ことから、かたちをイメージして作り出す (取り出す)” ことなのです。
私には、ここまで漢字を使いこなす能力はありませんから、Abstractionを “モヤモヤモン” とかと訳したでしょう。
欧米的な新しい概念と、意味のズレが小さい訳語を作るのが困難なため、カタカナ語があふれるのです。
これは、日本だけでなく、ほかの漢字文化圏である中国語や韓国語でも同じ問題が起こっています。共同で訳語を作るのもひとつの方法です。
日々、ものすごいスピードで生み出され、日本にも流れ込む新しい欧米概念を、翻訳する能力がある人も時間もありません。
さらに、情報技術の発達により、専門家ではない人にも、直接に入ってきます。
ですから、私たちは常に学ぶ必要があるのです。
それは、新聞でも読書でもウェブサイトでもいいはずです。
ただし、相手が理解できない言葉を多用して、相手に考える隙を与えない、みたいなやり方は慎むべきでしょう。
閲覧ありがとうございました。
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