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2010.12.11
それでもテーマが決まらないあなたが繰り返し問うべき3つの問い
さて「何を書いてもいい」と言われると、逆に困るのが人の性。
無限の可能性に包囲されていては、一歩も進めまい。選択肢を切り落としていく必要があるのだ。
研究や論文のテーマは「狭い」ほどいい。
あまり狭くて特殊なテーマだと「参考文献」がなくて困ります、という人がいるが、本当に「無い」のならこんなにいいことはない。
第一人者になれるではないか。
しかし大抵は、探し方が悪いか、探しているものが間違っているかのいずれかである。
自分が取り組もうとしている研究対象について扱った文献がないことと、参考文献がないことはイコールではない。当たり前だ。
なんでこんな勘違いが生じるかといえば、参考文献に教えてもらおうという魂胆があるからだ。
変な言い方だが、参考文献は、あなたが期待するような〈参考〉にはならない。
参考文献は、ムスッとして愛想のないのが普通だ。
こちらから踏み込んで聞き出してやらないと、ぎゅーぎゅー絞り出して拾い上げないと何も得られない。
そのためには、こちらから切り込むための刃を磨いておかなくてはならない。
ただ「○○について知りたいんだけど……」といったぼんやりとした思いでは歯が立たない。
だからこそ、テーマは絞り込むのだ。
具体的な話に移ろう。
次の3種類の質問を自問自答する。
あらゆる思考技法と同様に、ここでも考えるという作業を「ひろげること(発想)」と「絞ること(評価・選択)」を分けて、お互いが足を引っ張り合わないようにしている。
以下の作業は、書き出した項目のそれぞれについて書き加えていくことになるので、最初から表を作ってそれを埋めるようにしたり、表計算ソフトを使うのもいい。マインドマップでやる人もいるし、テキストエディタでやる人もいる。
(1)一つ目の問い
「(関心)自分が興味があるものになにがある?(知識)自分が知っているものってなにがある?」
では、とにかく自分が関心があること、ほんのちょっとでも興味があることをできるだけたくさん、いや残らず書き出す。
同様に、自分が少しでも知っていること(分野・対象)をすべて書き出す。授業を採った、本を読んだ、雑誌で短い記事を読んだ程度でもかまわない。むしろ、そういうのを引き出しておくと、テーマがそれに関したものに決まらない場合でも役に立つ。
だから、この書き出した関心・知識のリストを日付をつけて保存しておくこと。
このリストは自分の知識の座標を示すから、定期的につくると自分の「知的航路」を記録として残すことになる。
課題が与えられている場合は、課題をこのリストのなかに入れておく。
急ぎなら、課題だけをリストに入れて(2)へ進む。
(2)二つ目の問い
「どれだけ/どんな興味がある? どれだけ/どんなことを知ってる?」
は、書き出した関心・知識のリストのひとつひとつの項目について、興味が沸くのはどこか、どんなことなら知っているかを書き出す。短いキーワードでいい。
「関心があるもの」として出した項目にも、それについた何なら知っているかを書く。
逆に「知っているもの」として書いた項目にも、興味がわくのはどんなところかを書くこと。
さっきリストに混ぜた課題についても、同じように「どれだけ/どんな興味がある? どれだけ/どんなことを知ってる?」を書く。
(3)三つ目の問い
「(選択)どれをとりあげる?」
それぞれに興味と関心を書き加えたリストを何度か通して見て、気になるものに印をつけ、最終的に一つを選ぶ。ベスト3を選んで順位をつけるのもいい。
いくつかの項目を束ねて選ぶのもアリだ。課題が与えられている時は、課題と一緒に束ねる。
(4)次のレベルへ
しかし1回で終わりではない。図のように、これらの問いは繰り返されなくてはな
らない。
ここが肝要だ。
たとえば「トルストイについて」は、1周ごとに「トルストイ『戦争と平和』について」、さらに「トルストイ『戦争と平和』における自由意志について」→「トルストイ『戦争と平和』における3つの戦場の場面に見られる自由意志と必然性の争いについて」といった感じだが、テーマは絞られ/具体化されていく。
このために、次のレベルでは、今度はとりあえず決まったテーマについて、(1)の問い「このテーマのどこに興味があるか? このテーマについて何を知っているか?」を自問自答する。
今の例だと「トルストイについて」が決まった後、ふたたび(1)の問いに戻って「トルストイだけど、どこに興味がある? 知ってること何?」と考える訳だ。
『戦争と平和』を読んだことがあるなら、知っていることにこの作品があげられるだろうし、覚えているシーンなども書き出すことになるかもしれない。
テーマは1周することに絞り込まれ、さらにあなたの関心と知識はサルベージされる。
もちろんこれらの問いについて、頭を捻るだけでは答えられない段階に何周もしないうちに至ることだろう。
それこそ調査の出番である。
調査についても、ひろげるための調査と、絞り込むための調査がある。
これについては別に書くことにしよう。
無限の可能性に包囲されていては、一歩も進めまい。選択肢を切り落としていく必要があるのだ。
研究や論文のテーマは「狭い」ほどいい。
あまり狭くて特殊なテーマだと「参考文献」がなくて困ります、という人がいるが、本当に「無い」のならこんなにいいことはない。
第一人者になれるではないか。
しかし大抵は、探し方が悪いか、探しているものが間違っているかのいずれかである。
自分が取り組もうとしている研究対象について扱った文献がないことと、参考文献がないことはイコールではない。当たり前だ。
なんでこんな勘違いが生じるかといえば、参考文献に教えてもらおうという魂胆があるからだ。
変な言い方だが、参考文献は、あなたが期待するような〈参考〉にはならない。
参考文献は、ムスッとして愛想のないのが普通だ。
こちらから踏み込んで聞き出してやらないと、ぎゅーぎゅー絞り出して拾い上げないと何も得られない。
そのためには、こちらから切り込むための刃を磨いておかなくてはならない。
ただ「○○について知りたいんだけど……」といったぼんやりとした思いでは歯が立たない。
だからこそ、テーマは絞り込むのだ。
具体的な話に移ろう。
次の3種類の質問を自問自答する。
あらゆる思考技法と同様に、ここでも考えるという作業を「ひろげること(発想)」と「絞ること(評価・選択)」を分けて、お互いが足を引っ張り合わないようにしている。
以下の作業は、書き出した項目のそれぞれについて書き加えていくことになるので、最初から表を作ってそれを埋めるようにしたり、表計算ソフトを使うのもいい。マインドマップでやる人もいるし、テキストエディタでやる人もいる。
(1)一つ目の問い
「(関心)自分が興味があるものになにがある?(知識)自分が知っているものってなにがある?」
では、とにかく自分が関心があること、ほんのちょっとでも興味があることをできるだけたくさん、いや残らず書き出す。
同様に、自分が少しでも知っていること(分野・対象)をすべて書き出す。授業を採った、本を読んだ、雑誌で短い記事を読んだ程度でもかまわない。むしろ、そういうのを引き出しておくと、テーマがそれに関したものに決まらない場合でも役に立つ。
だから、この書き出した関心・知識のリストを日付をつけて保存しておくこと。
このリストは自分の知識の座標を示すから、定期的につくると自分の「知的航路」を記録として残すことになる。
課題が与えられている場合は、課題をこのリストのなかに入れておく。
急ぎなら、課題だけをリストに入れて(2)へ進む。
(2)二つ目の問い
「どれだけ/どんな興味がある? どれだけ/どんなことを知ってる?」
は、書き出した関心・知識のリストのひとつひとつの項目について、興味が沸くのはどこか、どんなことなら知っているかを書き出す。短いキーワードでいい。
「関心があるもの」として出した項目にも、それについた何なら知っているかを書く。
逆に「知っているもの」として書いた項目にも、興味がわくのはどんなところかを書くこと。
さっきリストに混ぜた課題についても、同じように「どれだけ/どんな興味がある? どれだけ/どんなことを知ってる?」を書く。
(3)三つ目の問い
「(選択)どれをとりあげる?」
それぞれに興味と関心を書き加えたリストを何度か通して見て、気になるものに印をつけ、最終的に一つを選ぶ。ベスト3を選んで順位をつけるのもいい。
いくつかの項目を束ねて選ぶのもアリだ。課題が与えられている時は、課題と一緒に束ねる。
(4)次のレベルへ
しかし1回で終わりではない。図のように、これらの問いは繰り返されなくてはな
らない。
ここが肝要だ。
たとえば「トルストイについて」は、1周ごとに「トルストイ『戦争と平和』について」、さらに「トルストイ『戦争と平和』における自由意志について」→「トルストイ『戦争と平和』における3つの戦場の場面に見られる自由意志と必然性の争いについて」といった感じだが、テーマは絞られ/具体化されていく。
このために、次のレベルでは、今度はとりあえず決まったテーマについて、(1)の問い「このテーマのどこに興味があるか? このテーマについて何を知っているか?」を自問自答する。
今の例だと「トルストイについて」が決まった後、ふたたび(1)の問いに戻って「トルストイだけど、どこに興味がある? 知ってること何?」と考える訳だ。
『戦争と平和』を読んだことがあるなら、知っていることにこの作品があげられるだろうし、覚えているシーンなども書き出すことになるかもしれない。
テーマは1周することに絞り込まれ、さらにあなたの関心と知識はサルベージされる。
もちろんこれらの問いについて、頭を捻るだけでは答えられない段階に何周もしないうちに至ることだろう。
それこそ調査の出番である。
調査についても、ひろげるための調査と、絞り込むための調査がある。
これについては別に書くことにしよう。
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