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    親子でできる計量文学史

    [研究の特徴]
     ・容易である
       文献学的トレーニングも、テクストの精読も、関連文献の猟書も、
      批評理論の学習も何もいらない。今日からすぐにも始められる。
       低学年の児童にも十分可能なので、夏休みの自由研究に最適。
      (昆虫標本とちがって、嫌な臭いも発しない)。

     ・客観性が高い
       数的処理が主なので、論者の主観や情念やルサンチマン、文学と
      いうものに対するナルチシズム等が、研究の中に混入しにくい。

    [研究の方法]

     1 研究材料を集める
        研究対象は、「作品」や「作家」といった個的事象でなく、
       マッス(集合)である。
        今回は、「作家名簿」を、できるだけ長い年数分集める。

     2 データを抽出する
        「作家」の数を、年齢別に数え上げる。
        「文学者」の年齢別人口構成を、各年ごとに抽出する。
        (長い年数に対象が渡る場合は、5年きざみ等に行う)。

        今回は、40歳以下の「文学者」(以下、若手文学者と表す)
       の数を用いる。
        各年ごとに、「文学者」全体に対する「若手文学者」の割合
       を求める(パーセント表示)。

     3 データを図表化する
        ヨコ軸に年号、縦軸に「若手文学者」の比率(%)をプロット
       して、折れ線グラフを作る。
        ヨコ軸に、その年号当時に起こった「事件」等を書き加えても
       よい。

    [研究の実際]

     ロベール・エスカルピ著『文学の社会学』(邦訳 文庫クセジュ)に紹介さ
    れている研究を例に取ろう。
     同書 邦訳48~49ページに、1550年から1900年までの「フランス
    文学」について、同じようにして作ったグラフがある。

     グラフのおおまかな見方はこうだ。

    //グラフが右上がりである期間//
       この期間、文学者全体に対する「若手」の割合が増大している。
       つまりこれは、文学人口の「若返り」を示す。

    //グラフが右下がりである期間//
       この期間、文学者全体に対する「若手」の割合が減少している。
       文学者といえども人間であるから歳を取る。放っておけば、
      「若手」の割合は減り、グラフは、自然に右下がりとなる。
       つまりこれは、文学人口の補充が止まったことを意味している。
       生物学的老化以上の勢いでグラフが右下がりする場合は、若手
       作家を直接減少させる、戦争などの外圧が考えられる。
      (人はいきなり老人になることはできないので、老作家の急増は
       有り得ない)。

    //グラフの山(凸の頂点)の部分//
       グラフが「右上がり」から「右下がり」へ切り替わるポイント。
       すなわち文学人口の「若返り」が停止し、文学人口の補充が止
       まったことを意味する。「新人」に対するあらゆる障壁が生ま
       れる。

       グラフの山頂には、すべて政治的硬化が対応している。

       エスカルピのグラフでは、1630年 リシュリュの勝利、ルイ14
       世、15世の親政のはじまり、フランス革命期の恐怖時代、そし
       て7月革命が対応している。

    //グラフの谷(凹の頂点)の部分//
       グラフが「右下がり」から「右上がり」へ切り替わるポイント。
       すなわち文学人口の増加、文学者になることを押し止めていた
       あらゆる障壁が解体し、文学人口の「若返り」がはじまる。
       これは文学自体の「若返り」、新しい時代の始まりである。

       グラフの谷間には、すべて政治的弛緩・開放が、あるいはひとつ
       の治世の終わりが対応している。

       エスカルピのグラフでは、1598年 宗教戦争の終息、1652年
       フロンドの乱の終息。そしてルイ14世、15世、ナポレオン
       一世および三世の治世の終焉が、グラフの谷に対応している。

    [研究の展望]
     「作家名簿」さえ手に入れば、どの国についても、同様のグラフを作成する
    ことができる。ただし、長い期間に渡る「作家名簿」の入手はやや困難であ
    る。多くの読者を持つ作家でも「作家協会」なるものに入っていない(入れて
    もらえない)者も多い。「作家」の基準も、歴史・時代に応じてまちまちであ
    る。
     「若手作家」の割合だけでなく、全文学者に対する、たとえば小説家あるい
    は詩人の割合、女流作家の割合、……、いくつものグラフが作成可能である。
     複数のグラフを重ねることも、興味深い(計量比較文学史の可能性)。政治
    的・社会的ファンダメンタルズと、グラフの対応は、多分、株価の罫線よりも相
    関が強い。

    文学の社会学 (文庫クセジュ 261)文学の社会学 (文庫クセジュ 261)
    (1989/03)
    ロベール・エスカルピ

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     英語の力をつける(あるいは、鍛え直す)近道は、できるだけ最初からやり直すことです。
     同じ道を繰り返すのですから、以前のような時間はかかりません。そして現在地点を通過する頃には、学習速度は何倍にも上がっています。急がば回れ。「やり直し」の時間はすぐに取り返せるでしょう。

    1.アルファベットと発音からやり直す

     アルファベットを知らないと英語が読めないし、辞書も引けません。
     同様に発音ができないままの英語学習はすごぶる効率が悪いものになります。

     これについては別項(『発音センシティブな英語弱者のための数冊の浮き輪』)に書きましたので、そちらを参照してください。

    2.中学英語からやり直す(文法篇)

     多くの人が、わからない単語が皆無になるまで辞書を引きまくって、並んだ日本語の単語を意味が通るようにつなぎ合わせることで、英語を日本語に訳した、と考えています。
     英語の予習とは、だからわからない単語を調べておくことです。
     一方で、反射神経を問うような文法問題は練習しても、目にした英文の構造を分解したり、英文に込められたニュアンスを浮かび上がらせるのに英文法を使う人は多くありません。

     英文法を中学の再初歩レベルからやり直すために、お薦めの教材は

    スタートでつまずかない中学英語 (くもんのベイシックドリル)スタートでつまずかない中学英語 (くもんのベイシックドリル)
    (2001/02)
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     上の本が簡単過ぎるなら、

    くもんの中学英文法―中学1?3年 基礎から受験まで (スーパーステップ)くもんの中学英文法―中学1?3年 基礎から受験まで (スーパーステップ)
    (1996/02/01)
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    からはじめるのも可です。

    3.中学英語からやり直す(音読・暗唱篇)

     これについても、別項(『叫ぶ英会話!音読が想像以上に凄い6つの理由 Read Aloud!!』)を先に書いたので、そちらを参照してください。

     ただし、音読は、この後で出て来るどの教材でも用いるトレーニング法です。
     問題をやり、間違いをチェックし、最終的に理解+納得できた英文は、せっかくそこまで自分が知恵と時間を注いだ特上の素材です。そのまま放置するのは、あまりにももっていない。
     やり終えたばかりの問題集などは、やった当人にとって最上の音読素材です。別の暗唱用例文を買うより、やり終えたばかりの問題集に当たって下さい。
     こうしてアタマで理解したものを、己の血肉としていって下さい。

    4.中学英語からやり直す(読解篇)

     受験英語は毎年どんどん簡単になってきているので、かつての標準英文解釈問題集が、いまでは「受験ではそこまでやる必要なし」な難解本になっています。そんな訳で、受験生用の参考書、問題集はやさしいものが増えてます。受験向けは出版数が期待できるので、本の値段も安い。言うことなしです。

     とりあえず英語は苦手だった、今も苦手意識が抜けない場合は、先のアルファベットや音読トレーニングからはじめましょう。
    戻りの大きい方が、進む速さは速くなります。

     そこまで苦手でない、けれど英語から離れて久しいなら、とりあえず

    くもんの中学英文読解―中学1~3年 (スーパーステップ)くもんの中学英文読解―中学1~3年 (スーパーステップ)
    (1997/03)
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    をなるべくはやく10回×3セット読んでみましょう(もちろん音読で)。もちろんもっとたくさん、「耳と喉にタコができる」ほど読んでもかまいません。

    中学英語 (学研パーフェクトコース 1)中学英語 (学研パーフェクトコース 1)
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    学習研究社

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     この本は中学総合英語の決定版です。アルファベットの書き順から仮定法まで一冊で学べます。しかもCDが2枚付いていて重要な表現を全て網羅しています。
     冒頭のインデックスが問題形式になっていて、そこから知りたい知識にダイレクトにアクセスできるので、間違えたり、不安な箇所だけ短時間に確認する復習にも便利です。また別に問題集もあります。
    学研パーフェクトコース問題集 1学研パーフェクトコース問題集 1
    (2009/01)
    学研

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     これにて中学英語の段階は卒業です。

    5.読解トレーニング本:初級

     中学レベル1~4が終わった(終わっている)人ならば、

    安河内の英語をはじめからていねいに (上) (東進ブックス―名人の授業)安河内の英語をはじめからていねいに (上) (東進ブックス―名人の授業)
    (2001/03)
    安河内 哲也

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    安河内の英語をはじめからていねいに (下) (東進ブックス―名人の授業)安河内の英語をはじめからていねいに (下) (東進ブックス―名人の授業)
    (2001/03)
    安河内 哲也

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    をスタート本にしましょう。英語を読むのに最低限知って置かなければならない基礎的なことがカバーできます。

     やりかたは、問題と解答をいっしょに見て、先へ先へと進みましょう。
     説明は「はじめからていねいに」ですが、予備校ものなので、登場する英単語は受験レベルです。
     そんな訳で、問題を解きたい、という人も3周目くらいから始めるのがよいです。
     1~2週目はまずは目を通す(黙読する)こと、それも日本語訳→英文の順で読むことです。
     答え(訳文)を先に見ておくことは、心理学(学習理論)で言うところのErrorless Learning(無誤弁別学習)を行うのが目的です。「試行錯誤」を繰り返すより習得が速いことが知られています。
      具体的には、和訳読み→英文(わからないところにマーカー)→もいちど和訳チェック→最後に音読10回。全体を3セット(3周)といった感じでやります。

     これは以後の英語本のすべてに共通する使い方です。

     これが上の本が済んだら、

    大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編
    (2008/04)
    安河内 哲也

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    に挑戦です。
     我々が読みたいのは受験英語の細切れでなく、ひとまとまりの論文なり本ですから、早いうちから「長文」に親しむに越した事はありません。
     もっとも受験では、1ページ程度の英文でも「長文」と呼ばれることがあるので、普通の意味では決して長いものではないです。

     上の本は「超基礎編」と怪しげな日本語の副題のとおり、これ以上にないほど簡単な長文問題集です。
     解説も1文1文丁寧で、加えて音読や、意味のまとまりをつかまえて読むスラッシュ・リーディング(英語を普通の速度で読むには不可欠)まで扱ってます。
     
     最低5回くらい繰り返し読みましょう。もちろん和訳読み→英文(わからないところにマーカー) →もいちど和訳チェック→音読10回です。

     同じシリーズで
    大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル2 センターレベル編大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル2 センターレベル編
    (2008/04)
    安河内 哲也

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    などもあり、この本も3~5回くらい繰り返して自信がついたら、次のレベルに進む事ができます。

    6.読解トレーニング本:中級
     もっとちゃんと英文解釈の基礎トレーニングを積んでおきたいという人には、次の3冊をおすすめします。薬袋善郎『基本からわかる英語リーディング教本』は、このあたりのレベルの人にこそ効果的です。

    大矢英語読み方講義の実況中継大矢英語読み方講義の実況中継
    (2002/07)
    大矢 復

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     いわゆる予備校講義ものの一冊。英文解釈の基礎(や英文解釈以前の「常識」を話し言葉で丁寧に解説してあり、読みやすいでしょう。
     英文解釈の参考書の中ではもっともやさしいレベル。気楽に入門できます。
     英語に苦手意識がある人には心強いです。

    英語リーディング教本―基本からわかる英語リーディング教本―基本からわかる
    (2000/04)
    薬袋 善郎

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     品詞分解の方法を基礎から徹底的に理詰めできっちり解説してあります。
     後に出てくる英文解釈の本をやる場合にも、先にこの本を済ませておくとの本で品詞の知識という英語を理解するための地力がつき、やる気と学習速度が高まります。

    英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式
    (2005/05)
    西 きょうじ

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     短文を題材に、文法事項ごとに英文の読み方を詳しく解説してありますが、中学レベル+αの文法の知識が前提です。
     薄い本ですが、読解に必要な事項は網羅されています。文法知識を覚えるというより、英文を読むための思考プロセスを身につけるための本なので、やや後ろに入れました。


    7.読解トレーニング本:上級

     とりあえず、いまでは受験用としては難しすぎる、と敬遠されがちな、
    英文解釈教室英文解釈教室
    (1997/06)
    伊藤 和夫

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    を5回ほど繰り返してやります。自分の前に置かれた英文を理解するために、英語のルールに即して、英文を分析、分解することができるようになるのが目標です。
     この本の特徴は、出てくる英文を理解し、解釈の理由を説明するのに必要な知識がこの本の中ですべて含まれること、その意味で「一冊の英文解釈書」として完結している点と、その「完結性」をユーザーが活用できるように詳細な索引(インデクス)を用意してくれている点です。この2点からくりかえしやり込んだ後にも、他の本を読む際に引く「自分の手あかのついた参考書」として機能してくれます。

     これが難しすぎる人は、同じ著者の
    ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)
    ビジュアル英文解釈 (Part2) (駿台レクチャーシリーズ)
    があります。

     このあと、受験英語のレベルを超えているとされる次の3冊をやりましょう。

    誤訳の構造誤訳の構造
    (2003/04)
    中原 道喜

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     中原『誤訳の構造』にはもともと「英語プロの受験生的ミス」という副題が付いていました。英文を正確に読むとはどういうことか、そのために自分に書けている知識はなにか、何が英文を理解することを妨げるのか、について学び知ることができます。

    英文の分析的考え方18講―英文解釈・古谷メソッド・完結篇英文の分析的考え方18講―英文解釈・古谷メソッド・完結篇
    (1982/02)
    古谷 専三

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     『古谷メソッド・完結篇』は、おそらく最も解説の多く詳しい英文解釈書です。ここにいう「古谷メソッド」とは、書かれた短文を精密に分析することを通じて、書かれていない背景/前提までをどう浮かび上がらせ、それを解釈に繁栄させるかを学びます
     英文の通り訳しているはずが訳が分からない場合は、そうした背景/前提を見て取れていないことが多いからです。

    英文解釈どう仕上げる―How to read English correctly (Blue sky series (3))英文解釈どう仕上げる―How to read English correctly (Blue sky series (3))
    (1986/10)
    多田 幸蔵島 秀夫

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     多田『どう仕上げる』は、受験生ではなく社会人に向けて、英語を読む力の、一応の完成をめざすものです。
     19世紀の名文が主だった出題範囲だった1960年代くらいまでの受験英文解釈の参考書のエートスを伝えるもので、「英語を読む」という点については、このあたりで一旦は「卒業」ということになります。

     次は
    英文読解術 (ちくま学芸文庫)英文読解術 (ちくま学芸文庫)
    (2007/06)
    安西 徹雄

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    英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)
    (1995/05)
    安西 徹雄

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    の二冊で、ここから《翻訳》の段階に入っていきます。小さい本ですが参考になるところが多いと思います。





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     人間の脳は、ぶっちゃけていえば、アウトプットしたものだけが人の頭に残ります。

     アウトプットした情報は、「アウトプットに足る利用度の高い情報」として優先順位が上があがるように脳ができているからです。

     しかし英語を音読できない、発音できないままだと、英語のアウトプットには書くしかありません。これは音読に比べて非常に時間がかかります(効果はありますが)。特に英語に不慣れで、英語を扱うチャンク(情報処理の単位)が小さいままだと、ものすごく時間がかかります。

     ある英文を訳せても、音読できない人は、驚くほど多いです。

     逆に初見の英文をすらすら音読できることは、英語学習の効率から言って、大きなアドバンテージです。それには発音の基礎工事がしっかりとできている必要があります。


    発音については、以前のエントリーにも書いた
    American Accent TrainingAmerican Accent Training
    (2000/09)
    Ann Cook

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    が、アメリカ英語の発音を独学するなら最終兵器です。あと、次のサイトで口の形や動きを確認しておきましょう。

    (無料ウェブサイト)
    Phonetics: The Sounds of English and Spanish - The University of Iowa
    「American English」をクリックすると、発音記号を選べば、その発音をする人を正面から見た口の形と動かし方がわかる動画と、口の中の動きがわかるアニメーション(気をつける箇所ごとに止めてみることもできる)を見ることができる。必見。


     さて、英語学習についての音読の効果は、次の通りです。

    ア 発音を鍛えると音読の自信がつく。音読の自信がつくと、読むスピードとともに、発音の質が上がる。

    イ 音読のスピードが上がると、訳しながら読む癖がとれ、英語を語順通りに理解する基盤が固められる。語順通りに理解できると、読む速度が上がる。

    ウ 音読は英語の発音を鍛えるだけでなく、英語処理のチャンク(情報処理の単位)を広げて、ワーキング・メモリを有効に利用できるようになる。これにより、より多くの量の英語を短い時間で処理できるようになる。相手の話す英語、ニュースの英語が「速くて着いて行けない」という症状が緩和され、そのうち克服される。

    エ 英語のチャンクが広がると、時間あたりの英語の処理能力が上がる。同じ時間英語を学んでも、英文を読む量、問題を解く量などが増えるので、学習速度自体が増す。

    オ 音読された英語は定着しやすく、たくさんの英文を音読する事で、利用可能な英語のリソースが増える。文章の中で英単語や熟語、成句表現を覚える近年の教材(『速読英単語』『速読速聴・英単語』等)も、一通り覚えたと思った後、音読でダメ押しすると、効果と練度が1ランク上がります。

    カ 自由に引き出せない会話集よりも、繰り返し音読した中学英語リーダーレベルの単語・表現の方が、日常会話や実用英語に役に立つ。



     音読は、つまるところ「筋トレ」「素振り」なので(はじめたばかりの時は、同じ英文を10回ほど読むとあごがだるく感じます)、実際に筋肉痛とともに成果がやってきます。

     シュリーマンはこの方法で、古代ギリシア語を含む9カ国語だったかをマスターしました。あまりに強く音読するので、何度も下宿を追い出されたそうです(『古代への情熱』)。

    古代への情熱 (地球人ライブラリー)古代への情熱 (地球人ライブラリー)
    (1995/10)
    H. シュリーマン

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     音読の素材としては、やさしいもの、自分が理解できている英文なら、なんでもかまいません。

     目標は「音読素材」一冊を、とにかく暗唱できるようにすることです。

     1冊を1章ずつ10回音読します。これを1セットとします。
     これを1冊につき3セット(つまり3周)繰り返せば、大抵の場合、テキスト全体を暗唱できるようになります。
     さらに2セット(2周)繰り返せば、中の英語表現を自由に引き出せるようになるでしょう。
     テキスト反復の回数は目安ですから無論、個人差はありますが、ただこれだけのことで英語の基礎的な力、英語の吸収力、処理能力、発信力は格段に高まります。

     音読の素材として、やさしいもの、自分が理解できている英文として第一候補は、

    * 中学英語の教科書
    が多くの人にとって、無理がないところだと思います。元ネタを中学英語教科書から得ている『英会話・ぜったい・音読シリーズ』などもCD付属していて、割安かもしれません(本当の教科書は音声教材が別売りで割高なことが多い)。


     目安は、最初から最後まで通して読んで(音読して)、今の自分の実力で30~60分ぐらいで終わるものが良いでしょう。
     そして毎回かかった時間を計っておきます。慣れると随分スムーズに読めるものです。
     そして30分切ったら、もう少し手強い文章に移っていくとよいでしょう。

    * Penguin Readers
    は、多読用として、よくもてはやされているものです。
     レベルが細かく分かれていて、やさしい奴はとことんやさしいし、おまけにとことん短い。これなら誰でも読めるだろう、というレベルから用意されている。バリエーションも豊富。
     しかし、大きな問題があります。
     はっきり言って、とても値段が高い。Easystartsのペラペラのだって一人前の料金をとる(それを言うなら英会話学校はもっと高いが)。
     こんなので、誰かさんがいう100万語読もうと思ったら何百冊で何十万円になります(まあ語学学校だってそれくらいするのだが)。こんなのだったら、その名も

    * Read Aloud (←イチオシ:タイトル・ロール!!)

     という言葉がタイトルに入ったシリーズがいろいろあります。

     親が子供に読み聞かせるために、いろんな古典やら名作やらから抜いてきた短い話が1冊にいっぱい入ってます。たとえば、
    Classics to Read Aloud to Your Children: Selections from Shakespeare, Twain, Dickens, O.Henry, London, Longfellow, Irving Aesop, Homer, Cervantes, Hawthorne, and More
    だとか
    Classic Myths to Read Aloud: The Great Stories of Greek and Roman Mythology, Specially Arranged for Children Five and Up by an Educational Expert
    だとか
    101 Read-Aloud Classics
    だとか
    Children's Classics to Read Aloud
    だとか
    Read All About It!: Great Read-Aloud Stories, Poems, and Newspaper Pieces for Preteens and Teens
    だとか

    An Illustrated Treasury of Read-Aloud Classics for Young People: Ten-Minute Selections from the World's Best-Loved Books for Parent and Child to ShareAn Illustrated Treasury of Read-Aloud Classics for Young People: Ten-Minute Selections from the World's Best-Loved Books for Parent and Child to Share
    (2003/06/06)
    Becky Koh

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    だとかね。

     このあたりだと、さすがに60分で1冊というのは無理なので(最後にあげたほんは「10分間で読める(はず)」のお話がたくさん入ってます)、適当な分量(ひとつかふたつの話、から始めるとよいでしょう)を決めて毎日繰り返しましょう。

     もともと音読用というか、朗読用にできているので、読みやすいだけでなく、読んで気持ちがいい英文がてんこもりです。




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