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2010.11.29
書けない時にあなたを助けるアウトライナー・ストーミング
ハワード・S. ベッカーの『論文の技法』(講談社学術文庫)は、論文執筆マニュアルというよりも、論文を書くのに苦しんでいる人のところへ行って「参与観察」したエスノグラフィのようなもので、マニュアルによくあるような、きちんと整っていて人を安心させる〈決まった手順〉などは書いていない。
そんな中から提案になっていそうなものを拾ってみると、何でもいいからとにかく書けるだけ殴り書いて、それから切ったり貼ったりで構成を考えようじゃないかという、とてもフォーマルでないやり方になる。
もっとも書き物が手順どおりに進むなら誰も苦労はしない訳で(確かに手順があればしなくていい苦労というのもあるのだが)、最終的に不格好でもやり遂げなければならない場合には、なりふり構わず、いつしかベッカー流になっていたりする。
どうかもう少しだけ、おおまかに〈手続き化〉したものが、今回紹介するアウトライナー・ストーミングである。
もともとアウトライン・プロセッサーを使う時にやってた手順なのだが、テキストエディタでも同じようにしている。
正直言うと、誰もがこんなふうにして書いているのだろう、と思っている。
しかし、自分が思い描く〈当たり前〉ほど当てにならないものはないと、思い返す程度の経験はある。
世の中には、方解石を割るかのごとくアウトラインを細分化していくだけで、平仄の整った文章を指定字数通りに書ける人もいる。
また、自分の思いつきにそこかしこで魅了されて、脱線に脱線を重ねたあげく、どこにも行き着けぬまま力尽きるのを常とする人もいる。
自分の場合、そうした両極端の間にいて(随分と後者寄りなのだが)、結局、構成から細部へという流れと、細部から構成へという流れの両方を、行ったり来たりするしかない。
その往復の範囲を限定することで、いくらかでも時間を稼ごうという目論みだ。
不器用だが仕方がない。
具体的には、次のようなステップを踏む。詳しくは後述しよう。
1.構成・あらすじを書けるだけ書く
・粗いところは粗いままでいい。
・細かく書けるところはできるだけ書く。
2.構成・あらすじから一項目を選んで、その項目に関して何でもいいから書く
・数をかせぐ。要はトピックを限定したブレイン・ストーミングである。
・順不同、カテゴリーの大小、その他にはこだわらず。
・素材、連想、データ、引用、きめゼリフ、その他何でもいいから書き出す。
・自分の場合は、その時点で一番粗いところから取りかかることにしている。
(構成・あらすじのあちこちで、2.の作業を繰り返して、それなりのボリュームが出てきたら)
3.これも好きなところから、並び替えして整理する
・コツとしては「くずかご」という項目を作って、不要に思える項目を放り込む。
・削除するかわりに、見える形で〈片付ける〉ことで代用する。
・削除となると、後悔の前払いとも言うべき躊躇する気持ちが作業を滞らせる
おおまかにはこんな具合で、これだけで十分(というかお腹いっぱい)な気もするが、もう少しだけ実例を示して説明しよう。
1.構成・あらすじを書けるだけ書く。
なんと、これだけだ。息継ぎができない人の水泳のように短い。
2.好きなところを選んで、とにかく何でも書き加える。
ある程度の量になったら
3.好きなところを選んで、整理。不要なものは消さずに〈くずかご〉へ
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そんな中から提案になっていそうなものを拾ってみると、何でもいいからとにかく書けるだけ殴り書いて、それから切ったり貼ったりで構成を考えようじゃないかという、とてもフォーマルでないやり方になる。
もっとも書き物が手順どおりに進むなら誰も苦労はしない訳で(確かに手順があればしなくていい苦労というのもあるのだが)、最終的に不格好でもやり遂げなければならない場合には、なりふり構わず、いつしかベッカー流になっていたりする。
どうかもう少しだけ、おおまかに〈手続き化〉したものが、今回紹介するアウトライナー・ストーミングである。
もともとアウトライン・プロセッサーを使う時にやってた手順なのだが、テキストエディタでも同じようにしている。
正直言うと、誰もがこんなふうにして書いているのだろう、と思っている。
しかし、自分が思い描く〈当たり前〉ほど当てにならないものはないと、思い返す程度の経験はある。
世の中には、方解石を割るかのごとくアウトラインを細分化していくだけで、平仄の整った文章を指定字数通りに書ける人もいる。
また、自分の思いつきにそこかしこで魅了されて、脱線に脱線を重ねたあげく、どこにも行き着けぬまま力尽きるのを常とする人もいる。
自分の場合、そうした両極端の間にいて(随分と後者寄りなのだが)、結局、構成から細部へという流れと、細部から構成へという流れの両方を、行ったり来たりするしかない。
その往復の範囲を限定することで、いくらかでも時間を稼ごうという目論みだ。
不器用だが仕方がない。
具体的には、次のようなステップを踏む。詳しくは後述しよう。
1.構成・あらすじを書けるだけ書く
・粗いところは粗いままでいい。
・細かく書けるところはできるだけ書く。
2.構成・あらすじから一項目を選んで、その項目に関して何でもいいから書く
・数をかせぐ。要はトピックを限定したブレイン・ストーミングである。
・順不同、カテゴリーの大小、その他にはこだわらず。
・素材、連想、データ、引用、きめゼリフ、その他何でもいいから書き出す。
・自分の場合は、その時点で一番粗いところから取りかかることにしている。
(構成・あらすじのあちこちで、2.の作業を繰り返して、それなりのボリュームが出てきたら)
3.これも好きなところから、並び替えして整理する
・コツとしては「くずかご」という項目を作って、不要に思える項目を放り込む。
・削除するかわりに、見える形で〈片付ける〉ことで代用する。
・削除となると、後悔の前払いとも言うべき躊躇する気持ちが作業を滞らせる
おおまかにはこんな具合で、これだけで十分(というかお腹いっぱい)な気もするが、もう少しだけ実例を示して説明しよう。
1.構成・あらすじを書けるだけ書く。
(タイトル) ・調査オンチが知らない3つの「考え方」 ・レトリックで検索する、考える ・グーグルで使えるレトリック技法 …… (構成) ・シネクドキで探す ・メトニミーで探す ・メタファーで探す ・まとめ |
なんと、これだけだ。息継ぎができない人の水泳のように短い。
2.好きなところを選んで、とにかく何でも書き加える。
(タイトル) ・調査オンチが知らない3つの「考え方」 ・レトリックで検索する、考える ・グーグルで使えるレトリック技法 …… (構成) ・シネクドキで探す ・〈花見〉と行って〈桜を見る〉 ・花⊃桜 ・下位カテゴリーから上位へ ・〈ヘミングウェイ〉でダメなら〈アメリカの作家〉で探す ・上位カテゴリーから下位へ ・〈大統領の誕生日〉で見つからないなら、〈ケネディ/ニクソン/レーガンの誕生日〉で探す ・※〈大統領の誕生日〉で探すと2月の第3月曜日がヒットする。これはアメリカ合衆国の法定祝日で 公式名称はワシントンの誕生日 (Washington's Birthday)。←どうでもいい ・メトニミーで探す ・メタファーで探す ・まとめ |
ある程度の量になったら
3.好きなところを選んで、整理。不要なものは消さずに〈くずかご〉へ
(タイトル) ・グーグルで使えるレトリック技法 ・(くずかご) ・調査オンチが知らない3つの「考え方」 ・レトリックで検索する、考える …… (構成) ・シネクドキで探す ・〈花見〉と行って〈桜を見る〉 ・花⊃桜 ・下位カテゴリーから上位へ ・〈ヘミングウェイ〉でダメなら〈アメリカの作家〉で探す ・上位カテゴリーから下位へ ・〈大統領の誕生日〉で見つからないなら、〈ケネディ/ニクソン/レーガンの誕生日〉で探す ・(くずかご) ・※〈大統領の誕生日〉で探すと2月の第3月曜日がヒットする。これはアメリカ合衆国の法定祝日で 公式名称はワシントンの誕生日 (Washington's Birthday)。←どうでもいい ・メトニミーで探す ・〈赤ずきん〉で、それをかぶった少女を指す ・〈馬を射よ〉的隣接性 ・地元の名店を見つける検索=(キーワード)+"教えたくない" "お店" ・医療情報を検索するのに素人サイトを除く→「鑑別」(英語ならdifferential)を検索語に加える ・(例)「low back pain.」と「differential low back pain」 ・(例)「腰痛」と「鑑別 腰痛」 ・メタファーで探す ・「白雪姫」 ・類似性=シネクドキの往復 ・白い肌→(アップ)→白いもの(カテゴリー)→(ダウン)→雪 ・look like検索 ・"remind me of" +(キーワード) ・"similar to" +(キーワード) ・"sounds like" +(キーワード) ・google より 人気” /“google より 優れた” ・まとめ |
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