カメラマンのセルジオ・ピタミッツ氏が真っ黒なサーバルを目撃したのは、まったくの偶然だった。
2月18日、ケニアのツァボ・ウエスト国立公園の近くにある民間の動物保護区「ルアレニ・キャンプ」で写真撮影ツアーを引率していたピタミッツ氏は、草原の中で黒い点が動くのを見て車を止めた。
2、3分ほど待った頃、真っ黒なサーバルが姿を現し、唖然とする彼らの目の前を悠然と歩いて茂みの中に消えていった。サーバルは、ふつうはチーターに似た模様をもつ小型の野生ネコだ。(参考:ふつうのサーバルの写真)
「野生動物の写真を撮りに行くときには、いつも珍しくて変わったものを探すんですが、あれには驚きました」とピタミッツ氏。
ブラジルのリオグランデ・ド・スル・カトリック大学の生物学者で、ネコ科の動物のメラニズム(黒色素過多症)について研究しているエドゥアルド・エイジリク氏によると、このサーバルはメラニズムだという。遺伝子の変異によって、過剰につくられたメラニン色素が沈着して全身が黒くなる状態だ。(参考記事:「【動画】謎多き野生ネコ、中国の森で撮影に成功」)
野生ネコのメラニズムはよく見られ、現在知られている38種のうち13種で報告されているが、サーバルでは比較的珍しい。エイジリク氏によると、科学文献でも黒いサーバルはこれまで6例しか報告されておらず、すべてケニアとタンザニアで発見されている。