村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2024年10月

プライベートクレジットファンドが投資適格級企業のファイナンスにスコープを拡大

Apollo pushes into high-grade debt business long dominated by banks

金融市場の根本を支える人達。

当ブログを継続的に読んでいる方は、現在自分が米国金融市場を見る上で重視していることとして、プライベートクレジットファンドのプレーヤーであることはご存じだと思う。
彼らはSVB破綻以降に米国銀行の資産売却の受け皿になり、さらに信用力の低い企業の資金調達元としてもここもと急速に存在感が大きくなっている。

これまでこのプライベートクレジットファンドのプレーヤーはどちらかというと金融市場の中でも異色かつ金融市場の端っこで活動しているプレーヤーに過ぎなかった。
それが上記FTの記事を読むと、プレーヤーの代表格であるアポロが投資適格級の企業のファイナンスという金融市場ど真ん中に殴り込みをかけるという記事が出てきている。
資金調達元についても保険会社から調達して、40兆ドル市場でオリジネートやっていくぜということで、直近ではインテルへの融資なども手掛けており、そのガンギマリ具合が相当来ているなと感じた。
このように企業の資金調達について粘り強く行うプレーヤーがいる間は基本的に金融市場が根本から崩れるということは少なく、そのメカニズムについては下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

現在企業のファイナンスの伸びしろの主役は銀行にはなく、現在このプライベートクレジットのプレーヤーを中心としたシャドーバンクプレーヤーであり、彼らが元気な間は企業は無尽蔵に資金を調達することが可能なのである。
こういったことを考えると、企業リファイナンスを覚悟を決めて支えるというプレーヤーがいるので、根本的に金融市場が崩れるというリスクは非常に少なく、一時的な相場調整は度々あるだろうが、もうバブルだから暴落・今株を持っている奴は馬鹿と述べている暴落論者を嘲笑う形で相場は最終的には上昇していくだろうと思われる。

【アポロの株価チャート】
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ただし、相場の最後の最後ではこのプライベートクレジットのプレーヤーが過当競争の果てにモラルハザード的なビジネスを行う形でバブルが煽られ、彼らが震源地としてバブルは死ぬと思われるので、つぶさに彼らのビジネス状況をウォッチしていくことが中長期相場を考える上で非常に重要なものになるだろうと考えている。
バブルの最後に何が起こるかは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?

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グローバル化が終わった今、波に乗れなかった新興国は見捨てられる

JPモルガン、新興国高利回り債の予想デフォルト率引き下げ

新興国全体のボーナスステージはとっくに終わっている。

現在株価動向を見ると、中国株が金融緩和や景気刺激策期待で盛り上がったり、インド株ブームは来ているが、それを除けばおしなべて新興国株というのは非常に低調なパフォーマンスしか出ておらず、基本的に先進国株に投資していた方がずっとパフォーマンスが良いという状態がリーマンショック以降続いているし、最近はその差もより顕著になってきている。
その理由について、今回思ったことをまとめていきたいと思う。

そもそも新興国がこれまで成長できたのは、経済のグローバル化にあり、フラット化する地球という現象の中で安い労働力を求めて先進国企業が投資してくれたことで成長してきた。
しかし、下記過去記事にも書いた通り、このグローバル化は終焉している。

【過去参考記事】
フラット化する世界の終焉とブロック化する世界

この30年で多くの先進国企業は安い労働賃金を求めて様々な新興国への投資を実践してきて、それにあたっては綿密な調査や国家間交渉などを各プレーヤーは行ってきた。
そういった意味で地球で未活用な人間の発掘というのはIT技術の進化によるコミュニケーションの高速化もあり開発されきったのではないかと思っている。

そうなると、ここまできて進化することができなかった新興国というのは先進国企業が色々目をかけてサポートしてくれたのに、自国の人材の潜在力を引き出して成長することができなかったということを意味する。
もちろん現在成長中途上の国(インドやベトナム)といったところは少数あるが、片手で数える程度しか現在先進国企業が熱心に投資してくれて成長している国はなく、大多数の新興国は結局この30~40年ぐらいのグローバル化の波に乗ることができなかった。

実際に大型新興国より小さいフロンティア国家の株を集めたETFであるFMというETFを見ると、この10年一切株価として成長していないのが観察できる。

【FMのチャート】
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フロンティア国家というのは、言ってみれば新興国より一人当たりGDPが低い国のことであるが、多くの人はそういうところはこれからの成長余力が高く、投資先として夢があると思うかもしれないが、実態は結局この30~40年のグローバル化に乗れなかったクズ国家ばかりである。

こうしたクズ国家は与えられてきたチャンスが活かせず、それにほとほと呆れた先進国の人達はもう投資は勘弁ということでもう完全に見捨ててしまったのである。
そして、消費したり略奪したり搾取したり騙すことしか能がないクズ国家は自ら作り出した借金に押しつぶされる形でデフォルトしていっているだろうなということが上記ニュース記事の背景だろうと思う。

そう考えれば、新興国投資は本当に有望と思える1~2ヵ国への投資というのがせいぜいで、新興国全体への投資なんて何が面白くてそんなことやるんでしたっけという話になると思う。

 
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単なる茶番出来レースとなったイスラエルのイランへの報復攻撃

イスラエルがイランに報復 軍事施設を標的―応酬続けば中東情勢悪化

出来レース茶番に落ち着きました。

日曜日にイスラエルがイランへの報復攻撃を実施したとして、これについて思ったことと市場の反応をまとめていきたい。

中東情勢についてはハマスがイスラエルへテロを行ったことからイスラエル周辺が非常に流動的になっていて、イスラエル側はヒズボラにまで攻撃をしかける大胆行動に出ていた。
これに対してヒズボラのバックにいるイラン側も建前上国内世論や政権トップの間で不満がもたれないように一定程度の報復攻撃をする必要性があり、これがイスラエルとイランの間での報復攻撃合戦のような雰囲気になっていた。

そしてこの前の日曜日にイスラエルがイランへの報復攻撃を実施したという背景になる。
ニュースの見出し自体はセンセーショナルではあるが、きちんと内容を精査すると、今回のイスラエルの報復攻撃はアメリカ政府の制止姿勢に対してほぼ満額回答の内容となり、相当自制した報復攻撃となったなと感じた。
まず攻撃対象が核施設でも石油関連施設でもなかったわけで、この時点でイランに決定的なダメージを与えられる施設への攻撃ではなかったし、ミサイル製造工場への攻撃というのも、はっきり言えば自称ミサイル製造工場と言える話でもあり、人的被害も大したことがなかった。
イスラエル側からは精密攻撃と表現していることからも、非常に限定した攻撃であることを強調した内容となった。
はっきり言えば、これはほぼ軍事的意味合いを持たない攻撃だったと言える内容である。

しかも攻撃が日曜日に行われたということも非常に大きなポイントである。
日曜日ということは世界中で市場は閉まっている最中であり、イスラエルの報復攻撃が茶番であることをしっかりと市場に織り込ませることができる猶予時間ができる。
また、日曜日だからミサイル製造工場にも人がいないという論理が成り立つわけで、人的被害がない中で、これでイラン側も一旦はこれで報復のやり合いはおさめようという理屈が成り立つわけである。

以上を勘案するとイスラエルのイランへの報復攻撃はほぼアメリカ政府の指図通りの内容になったと言えるだろう。
実際に月曜日市場が開いた時点で供給途絶懸念が後退したことから原油先物価格が大きく下落してスタートしたことからも、ニュース記事見出しは中東情勢悪化懸念みたいな文章となっているが、実際は金融市場はほっと一安心という内容となったことをストレートに反映した内容となった。

【WTI原油のチャート】
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イラン側もアメリカ政府から伝達を受けているのか、この攻撃に対してはすぐには報復しないというニュアンスの発言、ようは一応口だけは言っておくけど今日はこれぐらいにしといてやるという形で矛を収めたわけで、中東情勢については不安定な中でも一定の安定に戻ったと評価できそうだ。
 
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自民党の敗北理由と自民党第一党確保で選挙材料出尽くしとなった日本株

【議席確定】衆院選 自民 公明 過半数割る 立民 国民は大幅増

どちらかというとインフレの影響の大きさが影響したのかも。

注目の衆院選挙結果であるが、上記の通り自民・公明の過半数割れ・立民の躍進という形となった。
立民の躍進については、そもそも地方だと自民・立民・共産党の3択しか選択肢がなく、自民以外の選択肢を取ろうとすると立民しか手段がなくなるということも影響しているようであった。

また、今回選挙の争点は裏金というよりも、全体として自民党への不満がここにきて生じていることにあるといったのが様々な人の意見を見ていくと見てとれる。
特に今回の選挙で影響したのは過去20年近く争点にならなかったインフレという点において、インフレによるエンゲル係数の上昇で地方の生活がやや苦しくなっている中で不満が蓄積されているという話がまことしやかに言われており、確かにそこかもなあとは思っている。
どうしても都心住まい・高給取りだとこの辺の理解が浅く、Xの株クラなどはそういった属性が多いということもあり、立民に投票はあり得ないという風潮がXでは多いが、様々な事情を考慮すると立民に投票する以外に地方ではあまり選択肢はなかったという言い方が正しかったという見方もできるだろう。
自民党としては今回の敗北を真剣に何が材料だったのか検討していく必要性がある、やや複雑な選挙であったなあと思う次第である。
 
ただし、自民党の実質的な敗北を受けた選挙結果を受けての月曜日の金融市場の反応は限定的であった。
日経平均は寄りこそ少し低く始まったものの、その後プラスに転じていき、日曜日夜にかけて再度日本株暴落かと言っていた人達の言説はなんだったのかみたいな形での推移となった。

【日経平均のチャート】
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選挙前時点でそれなりに自民党の議席が削れるということはどうやら市場には織り込まれていたようで、それに伴った株価下落というのが先週の動きだったように思われる。
立民が主張するインフレ率0%ターゲットという話も特段金融市場からはまともに受け止められておらず、債券金利についても特段大きなギャップアップは見られなかった。
こうしたことから、まあ言うても自民党が第一党やろということで単なる選挙出尽くし結果となり、引き続き日本株の先行きは日本情勢自体というより、アメリカ経済や世界経済がどうなるかという方がよっぽど重要みたいな局面が継続するという認識を市場参加者は持っているということであろう。

 
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長期間株を保有することによって得られる配当を侮るなかれ

高配当株復活、個人が導くか

中長期で投資するなら、なるべく配当が成長する株を長く持ちたい。

ここ数ヵ月は相場が停滞しているということもあり、XやYoutubeを見ていると右往左往しているケースや、なんとかボラティリティ高い中で無理やりトレードをして利益をねん出しようと四苦八苦している人が多い印象を受ける。
しかし、こういう相場の時こそ長く株を保有して配当をもらいながらじっと耐えるということが重要であることを主張していきたいと思う。
今回は、配当が増加するということの威力について書いていきたい。

例えば2018年にS&P500を買うと、この時の配当利回りは1.8%ぐらいである。
その後2024年になって2018年に対してS&P500は約2倍になっている。

【S&P500のチャート】
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足下で配当利回りは1.3%ぐらいと下がっているが、2018年の時の株価に対しては2.6%となっている。
ようは今資金を投じたことによって得られる配当利回りは、将来において投資元本に対しては上手くいけばどんどん増えていくのである。
実際に自分が保有している個別銘柄において、2011年ぐらいから持ちっぱなしみたいなものについては、今の株価だと配当利回り2%ぐらいだが、投資元本に対しては8%みたいな状態になっているものもある。
投資元本に対して年間配当利回りが8%もあれば、別に無理して株の細かい上下を取るトレードは必要なく、じっくり腰を据えて配当利回りをもらって待とうと構えることができる。

これが長く株を保有して成長した配当を受け取るという戦略に関する一番の強みになる。
これは一度株を買って売らずに長く持ち、企業が成長していって株価が上昇して一株当たり配当金額も成長していると、その恩恵は数年経っていると非常に威力が大きくなる。
相場をよく見ているほどついつい頻繁に売買したくなり、売買を繰り返すと毎回利益のうちいくらかを税金で取られてしまうので、この配当の増加という恩恵を受けづらくなってしまう。
相場が今のようにはっきりしない動きをしている間は、よっぽど上手い人でなければ細かいトレードで利益を取れない一方で、逆に過去に投資した株が順調に配当を払い出してくれている場合はこういう相場の時でもじっと待ちながら利益を得ていくことができる。

もちろん細かくレバをかけたトレードで取ることを否定するものでもないし、実際に将来の配当成長をきちんと得ようと思ったら、漫然と株を中長期保有するのではなく、利益成長・配当成長しないよねという株を細かく損切りしていくというきめ細やかな作業も必要になるので、決して楽な道のりではないが、これができるだけで5年後あたりからインカムゲインの積み上がりが気づいたら大きくなっているということを実感できるようになると思う。

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