村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

前例ない中銀の国債買い入れで底入れするインド株

Liquidity Boost: RBI Announces Fresh OMO Purchase To Infuse Rs 80,000 Crore

市場にお金を馬鹿入れしてる。

まだまだ世界の株価がぐだぐだという中で、比較的元気があるのがインド株であり、下記の通り代表株価指数ベースで見ると年初来ぐらいにまで戻っており、今回はこれについてまとめていきたい。

【SENSEX指数のチャート】
タイトルなし

特に直近の戻りが大きいがこれは何が起こっているのかと言うと、やや専門的な話になる。
以前のブログ記事でインドについては景気の盛り上がりで個人債務が増加していたこともあり、当局がノンバンクに対して規制強化をするなどして景気抑制策をかけていたわけであるが、そのせいで金融市場で資金不足となっていたがために、株売りが先行して始まっていた。
しかし、国内景気が減速する中で、インフレ率も落ち着いてきたし、対ドルでインドルピーが上昇に転じたことから、インド中銀はここにきて景気サポート姿勢に転じたのである。

今年1月からインド中銀はセカンダリーでの国債買い入れをしているのだが、1月は2000億ルピー、2月は6000億ルピーであったが、これでもまだインドの金融市場が安定化しない上に、インターバンク流動性もアウトフローが続いていた。
そのため2月に利下げを決め込んだ後には、3月に国債買い入れ金額を1.5兆ルピーに引き上げた上に、4月も8000億ルピーに4000億ルピー上乗せの1.2兆ルピーの国債買い入れというバズーカを打ってきている。
インド中銀は2022年以降から2024年までは一切国債買い入れをしてこなかったことを考えれば、金融政策の大転換と言える動きではないだろうか?
いわゆる、これはほぼQE的な効果があるわけで、さらに利下げも加えてきているので、これまで景気に対して比較的中立姿勢を保ってきたインド中銀は、これ以上の景気減速はまかりならんとして一気呵成に市場への流動性供給に動いているのである。
政府と中銀がこれまで借金することを抑制していたのが、借金することを全力応援するようになっているわけで、これがリスク資産の押し上げにつながるわけで、この借金とリスク資産の考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

インドの経済自体はデフレでもないし、一人当たりGDPが3000ドル台の国である中で、さらに中国からの製造業サプライチェーン移転によるインフラ投資期待もあるわけで、資金が入ってくるだけ経済は盛り上がる構図であるので、ここまで中銀が動けばはっきりとリスク資産に対してはプラスの効果が出るわけである。

これによって、これまでアウトフローであった市場流動性もネットプラス転換して一気に金利が低下していき、株式市場に資金が入る余裕が生まれていった。
これが足下で徐々にインド株が上昇している背景であり、世界の株の中でも金融相場を先どっている動きだと言えるだろう。

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インドネシアの軍国化で株式投資にはネガティブ

インドネシア、現役軍人重用へ法改正 権限肥大に懸念

行き詰った新興国にありがちなやつ。

上記記事はインドネシアにおいて新しく発足しているプラボウォ政権が政権内の閣僚において現役軍人を増やせるよう法改正しているというニュースで、こういうのを見る限りインドネシア株には投資したくないねえと思ったのでまとめていきたい。

この政権内で軍人採用を厚くしようとする動きは段々と
なぜなら経済が順調に進んでいるのであれば、経済政策の上手さを背景に成果を誇示すればいいだけで、そういう時に軍がわざわざ政権に対していちゃもんをつけるようなことをすれば民衆が怒り狂って反発を招くだけなので、基本軍は動かないし全てが丸く収まるのである。

しかし、経済成長が微妙になっていくと、国民文化が未成熟な新興国だと徐々に民衆からのデモなどの突き上げがある中で、政権はそれをどう制御するかについて考え始め、最終的に軍に頼ることになる。
日本や先進国だと普通はあり得ないのだが、新興国では政治家と軍が必ずしも軍が政治家に対して従の関係ではなく、お互いに利権争い的な関係であることがある。
そうなると、軍は政権が頼りにしてきた時は、それなら俺らにもきっちり利権を分けてくれよなという話になるわけで、こうした民衆が置いてけぼりで政治家と軍が利権をむさぼる体制を強化してしまうのである。

この軍国化があまりにも行き過ぎると、少しでも民衆が政治に対して不満を示すと、すぐに暴力を駆使してその動きを抑止しようとするのが当たり前になっていく。
そして、それが当たり前になっていくと、政権が変わる中でそれを悪用する政治家が出現し、最終的に私的財産保護というのを無視して暴力を当たり前のように使って、私腹をこやすだけのとんでも政治体制になるわけである。
これがインドネシアの歴史でいうと昔のスハルト政権であり、最近ではベネズエラのチャベス政権がこれに該当する。

こういうのは非常に外国人投資家はいやがるわけで、既にこの気配を感じ取っていた外国人投資家が投資資金を抜いていたことから、インドネシア株・インドネシアルピアはいずれも下落となっているわけである。

【ジャカルタ総合指数のチャート】
タイトルなし


【インドネシアルピアのチャート】
タイトルなし

個人的にも経済に真摯に向き合ってない証拠だよなあと思うわけだし、勝手に私腹を肥やすために自分の投資した財産を使われるのなんてまっぴらごめんである。
このように私的財産権について投資における重要性は非常に高く、まだここらへんの勘所がない人は下記参考書籍を読んでもらいたい。

【参考書籍】
「豊かさ」の誕生 成長と発展の文明史 (全2巻)

ということで、なんとなくインドネシア経済が段々と投資するネタが少なくなりつつある微妙な国家になっている中で、投資したくないねえという話である。

 
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インド株はルピー安ピークアウトとノンバンク規制解除で底打ちへ

インド株、弱る地元個人の買い支え 海外勢大幅売り越し

ちょっとヒヤッとしたけど、まあこんなもんでしょう。

上記日経新聞ではインド株について海外勢が売り越していて、個人の買いも細っていて、もはや買い手はいない的な書き方で、インド株の先行きについて大分弱気で煽るような文章となっている。
実際にインド株は今年に入ってやや大きめに下落したものの、足下で反発基調に入っている。

【SENSEXの株価チャート】
タイトルなし


報道ではインド株の下落は米国からの関税と書かれているケースが多いが、個人的にはインド株の下落は関税は大して関係ないと思っている。
一番影響が大きかったのは、インド金融当局が銀行に対して個人への貸付を生業としているノンバンクへの貸出について、リスクウェイトを引き上げ貸出を抑制し、個人債務バブルになるのを抑制に動いていた。
これがノンバンクの資金調達を困難にさせたことによって各方面のバランスシートに打撃を与えてインドの景気鈍化を招く原因となっていて、インド株下落の初動要因となっていた。
いわゆる借金が上手く回らなくなったことがインド株下落の主な原因であり、この発想にいたるまでの根本の考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

問題はそこからさらに米国の利下げが後ずれしそうということで、インド株への期待剥落と相まってインドルピー売りに発展してしまい、インドルピー安が進んだことにある。
これに対してインド当局はドル売りインドルピー買いで介入したわけであるが、そのせいで短期金融市場で予想以上の引き締めが発生してしまい、これがさらに株価下落に拍車をかける展開となってしまった。

【USDINRのチャート】
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さらに追加すれば、そこで香港株でDeepseek期待と景気サポート期待が合わさって、新興国株ポートフォリオの中でインド株から香港株へ資金がアドホックにシフトしたことも悪材料となっただろう。

こうした複数のネガティブ要素(3つもある!)があったわけであるが、米国の利下げ期待剥落が止まり、徐々にドル安が進んできたことから、まずインドルピー安が止まり、為替からのネガティブ要素は消えた。
さらに、そこを見てインド当局は一番国内景気の足を引っ張る原因であった銀行からノンバンクへの貸出規制を結局緩和させることになった。

【参考ニュース】
RBI moves to boost credit flow to NBFCs, cuts risk weight on loans

香港株も大分上昇したが、これ以上上昇するにはファンダメンタルズの改善裏付けが必要で、特にデフレの解消が必要であるが、そんな気配はなく、そろそろ香港株買いもピークアウトするだろうと思う。
このようにこれまでインド株の足を引っ張っていたネガティブ要素は概ね消えつつあり、どうやらようやくインド株は底打ちしたと言えそうである。
上記日経新聞記事ではインド株を買える材料はないような書き方がされているが、個人的には概ねこれまでインド株が下落するネガティブ要因が排除されたことからlessネガティブになっているわけで、株価が上昇すればそういえばあれなんだったんでしたっけという話になるだろうと思う。

中長期的に上昇が期待できるものは、仮にエントリータイミングをミスったとしても、個人であれば粘り強く待っていられるわけで、インド株は十分待てる資産ではないかと思う。

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FXブローカーの広告でしょうこりもなくトルコリラ暴落で散る個人投資家

トルコリラ最安値、株・債券も急落 野党有力政治家拘束で

FXブローカーの広告に釣られて死ぬ人が多すぎる。

上記ニュース記事はトルコでエルドアン大統領がいきなり野党の政治家を拘束していったということで、元々トルコはエルドアン大統領は大統領職を失ったらお前どう考えても逮捕・処刑されるだろと思われているところから、何がなんでも大統領やめないぞというエルドアン大統領のなんでもあり政策で政治リスク大爆発で、いつも通りトルコリラは暴落する憂き目となった。

【トルコリラ円のチャート】
タイトルなし

トルコの最大の問題はとにかく外貨が足りないことで、経常赤字が持続不能なレベルで高く、それを証券投資で埋めているという非常に歪な構造で、すぐにインフレ高くなるからその度に政策金利を馬鹿高くして対応せざるを得ず、すると通貨が安くなっている中でスワップポイントが非常に高くなった上に、FXで自由に触れる数少ない貴重な新興国通貨ということで多くの個人投資家がなぜかこれに釣られて投資をし、最終的にまた暴落して死ぬというのがトルコリラのFXの歴史である。
いわゆる国債収支の天井にいつもぶつかっているわけで、この考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

2006年以降幾度となく同じような流れが繰り返されるが、今回もXで検索すると何人もこの暴落に巻き込まれて大損して爆死している人がおり、もれなくスワップポイント狙いでの投資ではまってしまったと言えるだろう。
では、なぜ多くの人は何回も繰り返されているのに、未だにトルコリラの暴落で爆死してしまうのだろうか?

その理由として、FXブローカーの出している広告にあると思っている。
FXはブローカーが株を扱う場合よりも、対象となる取引種類が圧倒的に少ないために、ITシステム構築費用が圧倒的に少なくてビジネスとして成立しやすい。
また、土日を除けば24時間いつでも取引できるという利便性と気軽にレバをかけられるということからも顧客が頻繁に取引をしやすく、FXブローキングビジネスというのは会社規模に対して頻繁に広告を打てるほど成立しやすいビジネスなのである。
そして広告を打つ際は、大体高金利スワップを全面に打ち出すわけであるが、ここ数年ではメキシコペソが全面に出ていた。
しかし、米国大統領選でトランプ政権再爆誕懸念らへんからトランプに目の敵にされているメキシコは通貨が下落する可能性が高まった上に、メキシコ自体が利下げを開始したことから、通貨の下落懸念とスワップポイントの減少で、徐々に個人投資家は魅力を感じなくなってきていた。
そこで、またここ1年ぐらいは高金利でスワップポイント大量なトルコリラへの投資をFXブローカーが広告をうち、それに個人投資家が釣られてしまうのが、FX取引が個人投資家で普及した中で繰り返されている歴史である。

【広告例】
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しかもトルコリラの最大の問題は外国人に売り崩されているというより、国内がトルコリラ持っているのが嫌になって外貨に換金している圧の方が強い可能性があり、その場合はファンダメンタルズがきちんと改善しない限りは下げ止まる確率は極めて低いので、正直ポジション切るのであれば一旦ショートカバーとなっている今なんじゃないかなあと思ったりしている。
(まあその辺は自己責任で・・・)

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投資においてはいつも過大評価されるアフリカ

【参考書籍】
経済安全保障の深層 課題克服の12の論点

なぜみんなアフリカを過大評価するのか?

上記書籍では今後の日本の安全保障について書かれた書籍だが、その中で米国はアフリカにサプライチェーンの期待を寄せているという素っ頓狂な話が書いてあり、アフリカの事情を知らない人からするとそういう雑な推論でアフリカに期待してしまうのかということで、今回はアフリカには期待できないことをまとめていきたいと思う。

アフリカが発展しない理由というのは、そもそも国民国家としての統一ができていない国家しかいないことにある。
国民国家とは国民が政治家を自分達の力で非暴力的に入れ替えるための権限を有している・また政治家も過度な権力行使をせず、チェックアンドバランス機能を持っている状態であることを示す。

しかし、アフリカの国家はまだこの領域に達していない。
アフリカの政治家達は基本的に国民を収奪すべき対象としているわけで、これは欧州の奴隷貿易の時代から引きずり続けている悪しき慣習である。
その延長線上でアフリカの政治家は国民を収奪していて、本来国の発展に使うべき資産を自分の懐に入れて消費しているし、国民は国民でこれに対して十分に対抗する力を持っていない。
国民は収奪対象なので、まともな教育などもする気がない。
そして国民同士も一致団結ができておらず、お互いが非常に不信感を持った状態であるがために、政治家に対する適切なチェックアンドバランス機能が働いていない。

そのような状態であると、いくら外国人が投資を行っても、投資した資金を右から左に、そしてポケットにしまってしまうという先進国の人から見れば信じがたい暴挙をさも当然かのように行ってしまう。
しかもその暴挙に対して裁判という手段で抑止することもできない。
そういう状態が常習化しているために、結局資源という現物で回収ができる業種以外は収益が上がらないがためにまともな投資がなされない。
仮に投資したとしても利益が上がらないので、結局しりすぼみで終わるのである。

そういうことを知らないと、まだ全然発展してないからこれから国民経済が発展して消費が活発化して、アフリカ企業というのは大きく成長するという盛大な勘違いをしてしまいがちである。
なので、Xではアフリカのアマゾン(棒)と言われているJMIAに対して謎の信者が大量発生していて、ひたすら株価は下落しているのにお祈り投資をしている状態なわけであるが、

【JMIAの株価チャート】
タイトルなし

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