村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

米国経済

トランプ関税は米国中小企業により大きなダメージ

「中小企業では吸収できぬ」建機メーカー、トランプ関税に苦慮

中小企業が一番の被害者。

上記記事は日本国内でトランプ関税について中小企業では吸収できないと言う話が新聞で報道されているが、これは日本国内の中小企業だけの話ではないだろうと思っているので、今回はそれについてまとめていきたい。

ビジネス上でのアメリカ人なんてのは法律の範囲内(場合によっては法律さえ無視するケースがあるが)で冷酷無比である。
日本のような下請けいじめなんて立場が上なら当然だろといわんばかりの態度を取るし、日本のように義理人情的なものなんてのは非常に希薄で、とにかく自分の身が第一というのが米国ビジネスの鉄則である。

つまり足下のトランプ関税で国内経済にダメージが出れば、大企業にとってはこれを他の人達にどう負担を負わせるかという話になるのは当然の話である。
下請けに負担を負わせるし、コストカットのために平気で人員を削減するなんてのは当然だし、さらに経営陣は自分がクビにならないためにこうした対応策で捻出した現金は自社株買いを行うのである。

このように米国大企業には足下のトランプ関税のドタバタでも対応できる力があるが、中小企業では保有しているヒト・モノ・カネが大企業と比べて乏しいし、立場が弱いので大企業からの無茶な要求に屈するしかなく、これがそのまま株価にダメージとして出てしまうわけである。
さらに言えば、足下ドル安になっているわけだが、国際的にビジネスをしている大企業と比べて中小企業は国内売上高比率が高いことを考えるとドル安のメリットもほぼ大企業に集中することが想像しやすい。

実際に株価を比較してもらいたい。
大企業株価の代表格であるS&P500は以下の通り。

【S&P500のチャート】
タイトルなし


一方で中小企業株価代表格であるラッセル2000は以下の通りである。

【ラッセル2000のチャート】
タイトルなし


S&P500は下がったものの、いうても2022年の高値より上の位置にいるわけで、以前から中長期投資している人にとってはまあどうってことないという話である一方で、ラッセル2000は2022年をピークにして最高値を更新できないまま、再び強烈利上げで雰囲気が最悪であった2023年の株価にまで下落している。

つまり、それだけ足下のインフレとトランプ関税のダメージしわ寄せは中小企業に寄っていっているということであり、これまで当ブログで書いてきた大企業が中小企業を踏み台にするだろうという考え方は正しいと思っている。
米国の雇用のうち中小企業(ここでいう中小企業は株価指数とはまた別の話であるが)が半分ぐらい構成しているわけであるが、
なので、今後追加で株を買おうと思うのであれば米国株であればS&P500かナスダック100に含まれている企業に限定すべきであり、ラッセル2000構成銘柄の大多数の企業は投資不適格と考えるべきだし、ましてや指数ベースで投資するわけにはいかないだろうと思う。

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無茶な関税政策緩和はいいけど、減税の財源はいづこへ?

米相互関税、スマホ・半導体装置除外 テックの現実に屈す

数字ありきの関税政策ひっこめつつあるけど、減税の財源裏付けは?

金融市場が無茶なトランプ関税政策で大混乱を起こす中、さすがに米債まで馬鹿売られしたせいもあってトランプ側が上記ニュースの通り徐々に関税政策について妥協しつつあるということもあり、週明け相場も期待が盛り上がってきている。
個人的にも以前の記事で書いた通り、これで一応リスク資産の底値目途・レンジ範囲というのがようやく見えるのではないかと期待しているところである。

しかし、このように徐々に関税に関する緩和が続いている中で一つの疑問が浮かんでくるはずである。
元々今回の関税政策についてはよくよく国際経済や金融事情を考慮せず決められたいたわけであるが、ではどのように数値を決めていたかというと、公約であるトランプ減税を延長するための財源を全て関税で埋めるために考えられていたものであり、いわゆる関税というものが外国企業によって払われるという都合の良い話で始まった政策である。

その都合の良い関税がやはり現実論に即していないということで、相場の悪化が続くにつれて色々見直しが行われてきているわけであるが、そう考えると、減税の公約の達成について従来より後退せざるを得なくなる可能性が高くなるだろうと思う。
財源なき減税は共和党の性格とあれだけトランプがバイデン政権の財政支出について罵ってきたことを考えると難しいはずなので、そのまま強行的に議会採決に持っていくのは難しいだろう。

そう考えると、株価がいきなり減税期待含めのトランプ政権誕生時の高揚感あるレベルに戻るというのは若干考えづらく、金融緩和をかけながらの時間をかける必要性があるだろうと思う。
最高値を更新するまでに時間がかかることを考えれば、様子を見ながら順繰りにポジションを慎重に追加するチャンスがあるので、ゆるゆると自分が買いたいと思っていた銘柄や指数への投資を継続すれば良いだろうと思う。
また、減税期待で一時期中小型株をはじめ意味不明な株(ARKKらへんの銘柄)まで高騰したわけであるが、ここはあまりにも痛い目を見ている人が多すぎて株価が高いところでポジションが腐りすぎているので、再上昇が期待できる銘柄とそうでない銘柄は相当二極化するだろうと思われる。

【ARKKのチャート】
タイトルなし

そう考えると本格的な株価の最高値更新は今年後半の実際にFRBが金融緩和を開始して、その継続が確認できるところらへんで、その間にどこに資金を投入するかを計画的に考えて実行することが重要だろう。

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関税政策の禊はどのように行われる必要性があるのか?

マスク氏、大統領顧問と罵り合い 高関税に反対し衝突

やり方が雑なことが全ての過ちの始まり。

現在の相場の混乱はあまりにも雑なトランプ関税政策であり、最終的に相場が回復するにはこの関税政策でやらかして失墜した信頼を取り戻す必要性があると思っており、今回はそれについてどのように行われる可能性があるのかをまとめていきたい。

そもそも今回の関税政策はどういう考え方でスタートしたのだろうか?
ここまでのトランプ氏や側近の話を見ていくと、バイデン政権時代の財政支出による増加した分の政府債務には問題があると考えていることははっきりした。
そのため、当初財政放漫的と考えられていたところから、財政規律は結構気にするんだよねというところは十分認知されていた。

ではどう財政状況を回復させるのかという時に考え付いたのが関税ということである。
関税であれば国民に負担させることなく、外国企業から税金を取れるという考え方からスタートしているのだと思う。
実際はそうではないのだし、やり方を一歩間違えると単に国民から税徴収しているのと一緒になるので扱い方は気を付けなければいけないものの、追加的に米国にこれで一部製造業が戻ってくればさらに雇用対策としていいよねという話につながるわけで、聞こえは非常に良い政策である。

ここまでの考え方について、百歩譲ってまあそういう妙手があるよねということで良しとしよう。
だからこそ、米国内でも当初多くの富裕層が関税政策についても賛成したはずである。
しかし、問題はここからだ。

やはり問題はその関税のかけ方があまりにも雑過ぎるということにある。
アメリカに雇用を戻すというのは聞こえはいいが、例えば今から服の縫製とかをアメリカでするのかといえばそんなわけはないわけで、本来かける必要性のない関税を色々考えるのがめんどくせーとばかりに何の考えもなしにかけていて、アメリカに製造拠点が作られるわけがない分野では単純に全部アメリカ国民に料金転嫁されるという未来しか見えない。
さらに同盟国・非同盟国関係なく過去の歴史的経緯もきちんと調べないまま雰囲気で数字ありきの関税発表をしたがために、世界の金融を使ってファイナンスしている米国市場が大混乱に陥ったわけである。

こうしたデタラメさが米国資産に投資している人達からの信頼を失墜させた原因である。
一応90日の中国除く相互関税延期となったわけであるが、このようなとってつけたような対応ではもちろん信頼が回復するわけはなく、何かしらの禊が必要ではないかと思う。
しかもそれは言葉では駄目であり、その証拠にいくらトランプが壮大な言葉を並べていても「アホちゃうか」というのが投資家の正直な感想であり、やはり何かしらの行動で担保してもらう必要性がある。

禊の手っ取り早い方法としては、今回このデタラメ関税政策を主導したナバロ大統領上級顧問の更迭だろう。
基本的にこの雑な関税率を決める上ではナバロがそれを主導したはずで、実質ナバロとトランプの二人が数字ありきで作った関税政策であるからこそイーロンマスクがぶちぎれていたりするわけである。
多くのトランプ・共和党支持者で献金していた人達も関税政策するとは効いていたが、このような自爆するような雑なものが出てくるとは思っておらず、みんな面食らっているわけで、その批判はトランプというよりはこの原案を考えた人物に向くのは当然だと思う。

というわけで、個人的にはナバロが更迭されれば米国株が最高値を更新しに行くパスが見えると思っているので、今回の関税絡みでの人事更迭ニュースについては慎重にモニタリングしていきたいところである。
この禊さえ終われば基本的には米国株は上昇基調に戻ると考えており、その考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
株式市場が暴落している時に、リーマンショック型暴落なのかコロナショック型暴落なのかはどう見分けるのか?


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CPIどころではない反応になってしまった米国長期金利

米3月CPI、前月比が約5年ぶりに下落 関税導入で改善持続に影

CPIどころではないという感じ。

相場がトランプ関税でドタバタしているが、その裏で段々存在感は薄くなっているがCPI統計があったので、一応それを振り返りたい。

内容としてはインフレは関税の影響考えなければ低下トレンドだったのになあという話となっている。
CPI総合は市場予想が前年比+2.5%に対して結果は2.4%だし、前月比ベースではマイナスであった。
さらにコアでも市場予想が前年比+3.0%に対して結果は2.8%で、かつ前月比ベースでも市場予想+0.3%から結果は+0.1%と非常に落ち着いた内容であった。
さらに中身としても家賃の伸び鈍化が継続していて、関税のドタバタがなければ順風満帆だったのにねえという話である。

ファーストインプレッション的には金利低下でいいでしょという内容であったが、ことはそう簡単ではなかった。
指標発表前から既に不穏であったが、このCPI結果にもかかわらず10年米国債金利は上昇してしまった。

【米国10年債金利のチャート】
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まだ10年はましな方で、TLT・TMFといった超長期債ETFがメインで組み入れている30年債なんてのはCPI下がっているし、今後関税で景気落ち込むだろという話なのに金利は上昇してしまい、TLT・TMFは株安が発生していてFRBも金融緩和姿勢なのに大ダメージを負う過去にはあまり見てこなかった異常事態になってしまっている。

【TMFのチャート】
タイトルなし

結局これは関税含めあまりにもトランプ政権の政策が予測不能であるがために、ブローカーなどもブローキングでヘッジが上手くできなくなりつつあるために取引量・在庫量を減らしている中で、米国債においてもデュレーションリスクを減らす動きが続いてしまっているということになる。
一応関税でインフレが長引きそうだという話はあるが、手前側金利は昨日の米国CPI統計で低下していることから、もはや米国短期債以外は日々レバレッジをかけて取引しているブローカーはなるべく取引をしたくないし、このボラ上昇を背景に顧客でレバレッジをかけて取引しているヘッジファンドに順にマージンコールをかけてしまったりということもあるだろう。

特に10年・30年というのは先物で大量売買が可能であるわけなので、この2つにおいて一部は中国の売りもあるだろうが、結局トランプの短絡的政策による信頼性崩壊によって米国債長期ゾーンに引き続きプレッシャーがかかっているという状態になってしまっている。
この事態を解消するには、それなりにトランプ側が切腹的な禊をする必要性があり、例えば今回のインパクト重視の馬鹿げた関税政策の決定に携わった閣僚の更迭などがその類に入るだろうと思うが、それにはまだ時間がかかるのではないかと考えている。

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株価の下落は無視できたが金利の急騰は無視できなかったトランプ政権

米大統領 相互関税措置を90日間停止 中国への追加関税125%に

さすがに金利動向を無視できるほどのクレイジーさはなかった。

昨日米国時間にトランプ政権が市場の動きにさすがに耐えきれなくなって相互関税措置については一旦停止となったので、これについて今回はまとめていきたい。

まず振り返ることとして、昨日はこれまでとは相当異質な相場の動きであった。
それは引き続き株安が続く中で景気後退懸念でリスクオフにもかかわらず、米国債が売られ続けて金利が上昇していたことにある。
関税発表以降、金融市場は非常にボラティリティが高まり、どんどん流動性が薄くなってきていて、そのために市場参加者は非常にポジションを維持しづらい状況にあった。
そうした中で、昨日のブログ記事で書いたように米国債についても超長期から順番に売っていく動きが見られ、もはや米国債は安全資産ではないとみなす動きが活発化していた。

【過去参考記事】

ボラでかすぎ相場で米国超長期債にも売り圧力


トランプが関税延期を発表したのはこのタイミングであったわけで、このことからわかることは、さすがにトランプでも金利動向を無視できるほどのクレイジーさはないということである。
これまで株価が下落する形で市場はトランプ政権に対して政策の間違いを糾弾してきていたわけであるが、株価下落ごときでは私は動じない!と合弁をはってきたわけである。
たしかに株価が変動したところで資産価格効果で経済が多少ダメージを受けるだけというところであり、経済の基盤までひっくり返るわけではなかった。
しかし、その後に社債のスプレッドの居所が不明確になり、プライマリー市場の機能が停止してさらに市場からトランプ政権への圧力は高まっていた。
そして、昨日ではこのまま政策の間違いを修正しないのであれば米国債も売らざるを得ないということで、全く違うフェーズの糾弾が市場から飛んできたわけである。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし


金利が意図しない方向に動くことは、経済基盤を根本からくずす原因になるわけで、さらにいえば政府の債務持続性にも関わる話であり、これはいくら無茶をやるトランプでも物理的な限界に直面することになる。
そのまま間違った政策を続行すれば、MAGA信者の生活が崩壊するような金融市場の混乱が発生するわけで、これがトランプ政権が関税政策について修正せざるを得なくなった理由だと言える。
(あとさっさとこの無茶を実行したナバロは辞任しろ(棒))

さて、これで一旦の混乱は終息したわけであるが、かといって関税ネタが完全になくなっているわけではなく、トランプの不確実性も続いている。
こういったことを考慮すると、リスク資産価格については関税発表前後の水準間のレンジ範囲内での動きとなると思われる。

【S&P500のチャート】
タイトルなし

今回のドタバタ騒ぎもあって、世界的に設備投資の方向性が不透明になっていることから、実際に金融緩和が進むまではややぐだぐだなリスク資産価格の値動きになるだろうが、基本的に下がったらてきとーに大型株を買っていけばいいでしょうという話になると思う。

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