リクエストに答えて、東京大学文型1961年度の第5問、極限の問題を解説をします。
ただ問題が古いから解答を確かめようがないねん。
だからどっかおかしいところあったら、しばいてください。
昔は文系でも極限の問題出てたんか。
もともと東大と京大は、文系でも数学3Cまでやって欲しいと言う意図がある噂は聞いたことあるけどな。
[問題]
曲線y=√(1+x^2)の上に3点P,A,Qがあり、そのx座標がそれぞれa-h,a,a+h(h>0)であるとする。
いま、Aをとおりx軸に垂直な直線が線分PQと交わる点をBとし、線分ABの長さをlとするとき、
lim(h→0)l/h^2をaをもちいてあらわせ。
[解答と解説]
まずは考える前にグラフとか図を書いてみます。
点Aのx座標は点P,Qのx座標の中点で、点Bは点Aと同じx座標で線分PQ上だから線分PQの中点になります。
中学生の図形問題やなこれは。
それで一応二階微分して、正確にグラフを書くと下に凸だから線分PQの中点である点Bの方が、曲線y=√(1+x^2)上の点Aより上側にあるから
l=(Bのy座標) - (Aのy座標)
になることがわかるねんけど、でもこれはグラフかいたりして考えなくても単に
l=|(Bのy座標) - (Aのy座標)|
で計算しても、問題はありません。
だからほんまはグラフは必要ありません。
そしたら、なんで求めてるねんってしばかれそうやけどな。
数学の問題を解くのにはまず図を書いてみることで解法の糸口がつかみやすくなるって話やねん。
実は解答書いてからいらんことに気づいたと言う学説も存在します。
点Pの座標は
(a-h,√(1+(a-h)^2))
点Qの座標は
(a+h,√(1+(a+h)^2))
やから線分PQの中点である点Bの座標は
(a,(√(1+(a+h)^2)+√(1+(a-h)^2))/2)
になって、Aの座標は(a,√(1+a^2))やから
l=(√(1+(a+h)^2)+√(1+(a-h)^2))/2-√(1+a^2)
になります。
これで、lim(h→0)l/h^2の極限が求まるように整理せなあかんねんけど、こういう√が入った極限の問題は
√A-√B=(A-B)/(√A+√B)
を使うのがコツです。
もうだいたいこれです。
この問題でもやってみると
l=(√(1+(a+h)^2)+√(1+(a-h)^2))/2-√(1+a^2)
=((√(1+(a+h)^2)-√(1+a^2))+(√(1+(a-h)^2)-√(1+a^2)))/2
って√(1+a^2)をばらして
√(1+(a+h)^2)-√(1+a^2)=(2ah+h^2)/(√(1+(a+h)^2)+√(1+a^2)
√(1+(a-h)^2)-√(1+a^2)=(-2ah+h^2)/(√(1+(a-h)^2)+√(1+a^2)
って使います。
h^2のとこは約分されるからオッケーやけど、後はahの項が問題です。
こうやって計算していったら血吐くところが東大やねんな、
ahになる項のとこを集めてもっと計算が必要で
ah/(√(1+(a+h)^2)+√(1+a^2))-ah/(√(1+(a-h)^2)+√(1+a^2))
=ah(√(1+(a-h)^2)-√(1+(a+h)^2))/((√(1+(a+h)^2)+√(1+a^2)(√(1+(a-h)^2)+√(1+a^2))
でまた
√(1+(a-h)^2)-√(1+(a+h)^2)
に
√A-√B=(A-B)/(√A+√B)
を使うのがコツで
ah(-4ah)/((√(1+(a+h)^2)+√(1+a^2)(√(1+(a-h)^2)+√(1+a^2))(√(1+(a-h)^2)+√(1+(a+h)^2)))
これで晴れてこっちもh^2になって、約分して極限がとれます。
結局lim(h→0)l/h^2=(1/(2√(1+a^2))+1/(2√(1+a^2)))/2-4a^2/(2√(1+a^2))^3
=1/(2√(1+a^2))-a^2/(2√(1+a^2)^3)
=1/(2√(1+a^2)^3)
だから極限の問題は
√A - √B=(A-B)/(√A+√B)
を使うってことを意識したってくれ。
別にこのポイント自体はかなり基本的なことかもしれんけど、何か答えまでたどり着くのにはそれなりの実力がいるのが東大らしいな。
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