教会の壁を埋め尽くすほどの規模で、細かく描かれたその絵は、2800もの不気味なクリーチャーや動物などがひしめき合っており、「悪魔の壁」と呼ばれ、17世紀のものと伝えられてきた。
これが、外国人観光客をノルウェ南部にある小さな村、サウヘラードに呼び込むきっかけとなり、村は大いににぎわった。
だが、最近になり、「悪魔の壁」は20世紀の教会管理者によってでっちあげられものだったことが判明した。ただ栄光を得たかっただけなのか、それとも皮肉をこめたものなのか、その目的は今もわからない。
17世紀の聖職者が描いたとされる「悪魔の壁」
サウヘラード村の教会のモノトーンのフレスコ画には、およそ2800もの悪魔の顔、仮面、動物、幻想的なシーンがびっしりと描かれている。
聖歌隊アーチの後ろに隠れるようにしてあるため、この無数の顔は信徒を前にした司祭からしか見えない。
「この壁はずっと謎でした。似たようなものは、ほかにどこにも見つかっていませんので、美術史の中に位置づけることすらできていません」ノルウェー文化遺産研究所(NIKU)の学芸員、スザンヌ・カウン氏は語る。
これまで、この入り組んだ複雑な絵は17世紀の聖職者が描いたものと言われており、1940年代始めに、教会の管理者だったゲルハルト・ゴタース氏が発見したとされている。
だが壁画が描かれた動機はわかっていなかった。
17世紀に壁画が描かれた証拠は見つからず
ところが最近、Instagramでこんな投稿があたった。
壁画は17世紀に描かれたものを、1940年代初めに、教会の管理者、ゲルハルト・ゴタース氏が発見し、修復したと言われている。
だが、最近の研究によると、17世紀の壁画など、もともと存在せず、ゴタース氏が全て描き上げたものである可能性が高いというのだ。
最近ノルウェー、テレマーク地方にあるサウヘラード教会の「悪魔の壁」について、驚くべき発見があった。
この教会は1150年に建設されたロマネスク様式の石造りで、1739年に改築された。聖歌隊席の西側の壁には、2500以上の悪魔や動物、仮面、幻想的なシーンを表わした見事なフレスコ画が描かれている。
この絵の存在は、1940年代始めに、教会の管理者だったゲルハルト・ゴタース氏によって初めて明らかになった。
“管理者であるゴタース氏が、これら悪魔の絵を発見し修復したすばらしい働きのおかげで、この教会はのちに全国的に有名になり、さらに国際的にも注目を集めるようにもなった”という。
この独特な絵は、17世紀に描かれたものと考えられていたが、その背景や意味は謎に包まれたままだった。
最近になって、ふたつの研究プロジェクトの一環として、美術史家のエリザベス・アンダーソン氏と学芸員のスザンヌ・カウン氏によって、より詳細な調査が行われた。
拡大鏡、間接灯、UVライトなどを使って、フレスコ画を丹念に調べた。しかし、刻み目の跡などまったく見つからず、オリジナルの色の痕跡も現在の絵とは一致しないことがわかった。
ゴタース氏は、初期のフレスコ画を発見し、その色をなぞって復元したと主張していたが、この調査と矛盾する。
それどころか、専門家たちはこれはゴタース氏自身が描いたものだと結論づけた。もちろん、非常に受け入れ難いことではあるが、作品自体は素晴らしい出来だ
悪魔の壁は80年前にゴタース氏が描いたものだった
悪魔の絵は、1940年代に壁を修復した教会管理者のゲルハルト・ゴタース氏によって、その存在が明らかになった。その功績により、彼は国家遺産委員会から称賛と栄誉を与えられた。
だが今、これらの有名な絵は、80年前にゴタース氏自身が描いたものだということが判明した。彼が名の聞こえた専門家だったため、当時の委員会はまったく疑うことはなかったのだ。
だが、17世紀という古い時代の刻み跡も見つからず、オリジナルの色をなぞったという悪魔の絵もなかった。
「まず疑わしいと思ったのは、絵の具の層になんのダメージもなく、きれいすぎたことです。オリジナルの絵の具も見つかりませんでした」カウン氏は、ゴタース氏の絵の自由奔放さに驚きを隠せないながらも、こう話した。
「ゴタースは、この壁画を自分で創作したのです。教会の管理者が独自の装飾を作り出し、これは17世紀のものだと声高に主張するのはスキャンダルものでしょう」カウン氏は言う。
何故ゴタース氏が壁画を描いたのかは謎のまま
43年間にわたって、この教会の助祭を務めたアイヴァ・ソルブ氏は、この事実をなかなか信じられなかったと認めた。
「それでも、ほとんどの人はあの壁をそのままにして欲しいと言うと思います。なんであれ、800年から900年にわたる教会の歴史の一部であることは事実なのですから。今、誰がいつ、あの絵を描いたのかが明らかになりましたが、その理由は大きな謎として残っているのです」とソルブ氏は言う。
ゴタース氏の動機が名声や評価を得たいがための強い欲望からだったのか、それとも教会の壁に悪魔という皮肉をこめたものだったのか、研究者も困惑したままだ。
ちなみに、教会のほかの部分は、このような自由な絵などまったくなく、丁寧に修復されていた。
この「悪魔の壁」をこのまま保存するかどうかは、国家遺産委員会の判断に委ねられている。
References:The Weird Tale of Norway’s Demon Wall / written by konohazuku / edited by parumo
丸い墓石お洒落だな
北欧神話の第三層が題材かな?
伊之助がどっかにいそう。
>>3
上弦の鬼も何匹かいそう。
教会の絵としての価値は別としてこの絵のセンスを無かったことにしてしまうのは絶対に勿体ないと思う…
アウトサイダーアートな感じだな
このまま置いとけば400年後には本当に『400年前に描かれた悪魔の壁画』になるんだし、置いとけば良いじゃん
何故描いたかってそりゃ描きたかったからなのでは
絵って自分の中のほとばしる何かに従って描く物だし
正直、17世紀に描かれた宗教美術というエピソードよりも
謎の情熱で一人が一心不乱に描きあげたという事実のほうが凄みがある
むづかしいな
作品の質と、聖職者が嘘をついた事実を秤にかけて
どちらが教会にとって利益があるか?
※9
「聖職者が嘘をついた事実も添えて、後世まで残す」のが一番いいと思う。
やったことを消して『なかった』ことにすればいい、というのは
記憶の改竄や歴史修正みたいでヤダ…という個人的な好みで。
来歴はでっち上げかもしれんが壁画は確かにあるわけだし
17世紀のものでなくてもこの絵自体いいものだと思う
なんかのパクり(贋作)でもないオリジナルなのだし、まあいいじゃんね
楽しく落書きしてたら、なんか完成度高ぇな!おい!ってなっちゃって、消すのもったいないからとりあえず歴史あります!って言ってみたらみんな信じてくれたみたいな。
紀元前の洞窟の壁画とかもそんなノリなのかな
ヘビメタのTシャツにしよう
人気がでたらバンクシーみたく重宝されるかもよ
ゴタース氏が悪魔に取り憑かれて描き上げたデモーニッシュ・アートなのだ! と、しておこう。
こりゃ方便だよホウベン。
教会を管理する仕事には自由な時間がいっぱいあるんだなぁ、ということは理解できる。
どんなに歴史が浅かろうが、発端がやましい発想だろうが、こういう事件も含めてこの教会の歴史の一つなんだし出来も良いし残してほしいな
現代に残ってる歴史的価値があるものも、元はくだらないものだっていっぱいあるよ
1940年代初めのノルウェーねぇ。1940年から1945年までナチスドイツに占領されていたはずだが、占領軍の目を盗んで制作に邁進したのかな。それとも1945年以降に制作されたのか。
17世紀に描かれました→謎めいてるし凄い執念を感じる。幻覚体験を地獄の光景の啓示と捉えて描いたとかかな。
1900年代に描かれました→中二病か、麻薬でもキメて描いたんかな。
この絵は大変素晴らしいと私は思うが、
これを描いたゴダール氏は、描いた当時、何らかの理由で、精神を病んでいた事は間違いない気がする。
芸術はある種の狂気から、素晴らしい作品が生まれる事はままある。
※21
そうそう。
全盛期の山本リンダ、当時は反応に困ったが
現在に至り大変、芸術性のあることを知った。
>>23
山本リンダとレディーガガはどこか通じるものがある気がする。
80年も前の絵ならもう歴史的な扱いでいいんじゃない
日本にも捏造で大問題になった人がいたし、この人のやったことも専門家としてはあまりに酷いと思うけど、作品として魅力的なら「かつて歴史を捏造しようとした人がいたが、あまりにも絵が魅力的で観光客が増えた」経緯も添えて残すのも良いかもね
キリストの絵を修復してお猿さんみたいな顔にしちゃったお婆さんいたなあ
「描け」って言う声でも聴こえたんじゃないかな
そういう人の描く絵に似ている
ルイス・ウェインの猫画を連想したけど、
この絵を描くために、古い壁画を塗り潰したようなことをしてたら
文化の破壊だと思う