守田英正とは(もりた ひでまさ、1995年5月10日 - )、日本出身のプロサッカー選手である。
ポルトガル・プリメイラ・リーガのスポルティングCP所属。サッカー日本代表。
ポジションはMF(ボランチ)。177cm75kg。利き足は右足。
大阪府高槻市出身。流通経済大学を経て、2018年にJ1リーグの川崎フロンターレへ入団しプロデビュー。プロ1年目でボランチの定位置を掴むと、黄金期を迎えた川崎の中心選手の一人として活躍。以降、日本を代表するボランチとして成長していく。
2021年にポルトガルのCDサンタ・クララへ移籍し、2022年からはポルトガル三大クラブの一角スポルティングCPにステップアップ。ルベン・アモリム監督の指導のもとでプレーの幅を広げ、主力として活躍。2023-24シーズンのリーグ優勝に貢献している。
日本代表にはプロ1年目の2018年9月にデビューしており、その後主力として定着。2022 FIFAワールドカップ・カタール大会では初戦こそ怪我で欠場したものの、その後の4試合全てにスタメンで出場。日本代表の「マエストロ」と呼ばれ、遠藤航とのボランチコンビは鉄板と言われ、代表では代えの利かない重要な戦力となっている。
豊富な運動量でピッチの広範囲をカバーし、鋭い読みやタックルでカウンターの芽を摘み取り、確な配球やゴール前に飛び込むセンスも持ち合わせた近代的なボランチ。アンカーでもインサイドハーフでもプレーすることができるオールラウンドな能力も魅力的。インテリジェンスが高く、チームを俯瞰的な視点で見ることができるが、それ故に確信を突いているものの物議を醸す発言をすることがある。
3人兄弟の末っ子として生まれ、兄と姉がいる。幼少期はやんちゃな子供で、はしゃいだり迷惑かけることをしたりして、しょっちゅう怒られていた。5歳年上の兄の影響でサッカーを始め、いつも二人でボールを蹴って遊んでいた。ちなみに両親はともにテニス選手だったが、姉はテニスをしていた。
幼稚園の頃には地元の高槻清水FCに加入し、本格的にサッカーを始めている。ポジションは当時から現在と同じボランチだった。小学生になるとすでに「サッカー以上のものは出てこないだろう」と考えるようになり、プロサッカー選手を目指すようになる。
幼少の頃からガンバ大阪のジュニアユースのセレクションを受けるが、不合格となったこともあり、中学時代は進学先の高槻市第九中学校でプレーする。このときの監督が非常に熱心であり、本人が一番サッカーに熱心に打ち込んでいたと振り返ったとおりサッカーに没頭した充実した三年間を過ごした。
高校は、家が近くて、ある程度強くて、中学時代の1つ上の先輩が行った学校であり、朝練がないという理由で金光大阪高校へ進学。1年生のときから試合に出場はしていたものの、三年間でインターハイや高校選手権といった大会で全国へ進むことができなかった。3年生のときは10番を背負っていたが、Jリーグへ進めるレベルには到達していないという評価を受け、プロのスカウトどころか大学の推薦ももらえなかった。プロの存在の大きさを痛感させられ壁にぶち当たった三年間となった。
プロへの夢を諦めきれず、セレクションを1から受けたことで強豪の流通経済大学へと進学。最初はなかなか試合に出場できなかったが、3年生になると才能が開花するようになり、頭角を現し始める。4年生になった2017年には「大学№1ボランチ」という評価を受け、関東大学選抜、さらにはユニバーシアード日本代表にも選ばれ、ユニバーシアード北京大会にも出場。複数のJクラブからもオファーを受け、7月27日に川崎フロンターレの内定が発表され、特別指定選手になる。12月のインカレでは流通経済大を優勝へと導き、大会最優秀選手に選ばれている。
2018年に正式に前年度のJ1王者である川崎フロンターレへ入団。2月10日のFUJI XEROX SUPER CUPのセレッソ大阪戦で途中交代からプロデビューを果たす。4月14日、J1リーグ第8節のベガルタ仙台戦で初スタメンを飾ると、そのままボランチのレギュラーを確保。技術の高いタレントの揃う川崎の中盤をいぶし銀として支えるプレイヤーとして評価され、川崎のJ1リーグ連覇に貢献する。
2019年から背番号が6に変更となり、チームの主力としてみなされていることを印象付ける。プロ2年目も開幕からレギュラーとしてプレーするが、開幕前の負傷の影響で調子が上がらずにいた。しかも、6月17日に川崎市内を運転中に「携帯電話使用等」による道路交通法違反で検挙され、運転免許証が失効していたことが発覚。クラブから公式戦の1試合出場停止、制裁金、社会奉仕活動の処分が科される。この失態後も不調が続いたことでチーム内での序列が下がってしまい、大島僚太や田中碧にレギュラーの座を奪われる厳しいシーズンとなってしまった。
2020年シーズン序盤も中盤の控えという位置づけだったが、復調してきたこともあって中盤の底であるアンカーに定着するようになる。この年の川崎は記録的な強さを見せ、爆発的な攻撃力で他チームを圧倒していたが、中盤の底でバランスを取りながらシンプルにパスを捌き、守備時は素早い寄せでボールを回収する黒子に徹する守田のプレーぶりはチームに欠かせないものとなっていた。12月16日の第33節浦和レッズ戦では、Jリーグ初ゴールを記録。川崎の王座奪回に大きく貢献し、初のJリーグベストイレブンにも選出。2021年1月1日の天皇杯決勝ガンバ大阪戦でチームの初優勝をピッチ上で体感したが、この試合が日本での最後の試合となった。
2021年1月8日、ポルトガル・プリメイラ・リーガに所属するCDサンタ・クララへ完全移籍することが発表される。慌ただしくポルトガルへ向かうことになったが、1月25日のリオ・アベ戦でデビューを飾ると、試合終了間際には値千金の決勝ゴールを決める。この鮮烈なデビューでチームの信頼を勝ち取ったことで主力に定着。シーズン途中からの加入にも関わらず20試合2得点という成績を残し、クラブ創設以来1部での最高成績を残したチームの躍進の立役者となった。
2021-22シーズンも開幕から中心選手となり、攻守両面で高いクオリティを発揮。試合を重ねるごとにメディアからの評価も高くなり、現地のサッカー関係者からは「中盤のマエストロ」と絶賛される。ポルトガルの3強からの関心も報じられるようになり、代表戦での往復があってもボランチのポジションは不動のものとなっていた。2021年12月30日のパソスデフェレイラ戦ではシーズン初ゴールを決める。2月28日の第28節ブラガ戦では自身プロになって初となる退場処分を受ける。そんな中、名門スポルディングCPへの移籍が間近になっていることが報じられ、クラブ側もこれを認める。ところが、本人がメディアを通して移籍願望を語ったことがクラブから問題視され、懲戒処分を受けてしまう。
2022年7月1日、ポルトガル・プリメイラ・リーガのスポルティングCPへ完全移籍することが発表される。契約期間は4年で契約解除金は約63億4000万円。背番号は5。
ボランチのレギュラーだったジョアン・パリーニャが移籍したこともあり、リーグ開幕戦でスタメンに抜擢される。8月20日の第3節FCポルト戦では、ラフプレーの多さで知られるポルトのペペから顔面にかかと落としをされるという非道な行為を受ける。自身初出場となったUEFAチャンピオンズリーグでは、強豪トッテナム・ホットスパーを相手の勝利に貢献。9月30日の第8節ジル・ビセンテ戦では移籍後初ゴールを含む1ゴール1アシストの大活躍を見せる。さらに、10月8日の第9節古巣サンタ・クララ戦では2試合連続となるゴールを記録。ワールドカップ後は体調不良でしばらく欠場するが、復帰後はチームの主力として高いパフォーマンスを維持。ポジションも従来よりも前目で起用され、特にルベン・アモリム監督から要求された攻撃面で目覚ましい進化を遂げ、最終的に6ゴール3アシストとキャリアハイの数字を残した。
2023-24シーズンは開幕から不動の中盤としての地位を手にしており、完全にチームの中心選手となっていた。緻密な戦術を構築するアモリム監督にとってもインテリジェンスの高い守田のプレーは不可欠なものであり、絶対的な信頼を得るようになっていた。2023年10月8日、プリメイラ・リーガ第8節FCアロウカ戦でシーズン初ゴールを決め、チームの勝利に貢献している。2024年2月29日のタッサ・デ・ポルトガル準決勝第1戦宿敵ベンフィカとのダービーマッチでは、的確なパスで攻撃を組み立てつつ、守備時には鋭い読みでボールを回収するなどハイレベルなプレーでチームの勝利に貢献。この試合のMOMに選出されただけでなく、ブルーノ・フェルナンデスやマヌエル・ウガルテといったかつてのクラブのスターから絶賛されている。シーズン終盤はコンディションを落とし控えに回ることが多くなったが、この年のスポルティングの3シーズンぶりのリーグ優勝に貢献する。
2024-25シーズンもボランチのレギュラーとして開幕を迎え、快進撃を続けるチームを支える。2024年9月27日のプリメイラ・リーガ第7節エストリル戦でシーズン初ゴールを決める。その後は中盤の熾烈なポジション争いを強いられるが、恩師であるアモリム監督のラストマッチとなった11月10日の第11節SCブラガ戦では2点ビハインドの場面で途中出場すると、1ゴール1アシストの活躍でチームの逆転勝利を演出。
2018年9月2日、大島僚太と山口蛍が負傷によって招集を辞退したため、追加として日本代表に初招集される。9月11日の森保一代表監督の初陣となったコスタリカ戦で途中出場し、プロ1年目ながら代表デビューを飾る。以降も代表のメンバーに定着し、2019年1月のAFCアジアカップのメンバーにも選ばれるが、怪我のため離脱となり出場は叶わなかった。その後は川崎でポジションを失ったこともありしばらくの間は代表から遠ざかる。
2021年3月におよそ2年半ぶりに代表へ復帰すると、3月25日の韓国戦で怪我で辞退した柴崎岳に代わってスタメンに抜擢され、遠藤航とのボランチコンビが高く評価される。3月30日の2022 FIFAワールドカップ2次予選のモンゴル戦で早くも代表初ゴールを決めれば、5月28日のミャンマー戦で2次予選2試合連続ゴールを記録。遠藤の相棒として森保監督からの信頼を勝ち取り、代表に定着する。最終予選では、スタートに躓いたチームが10月12日のオーストラリア戦から中盤を3センターに変更したことで柴崎からレギュラーを奪い返す形になる。以降、遠藤、川崎時代にコンビを組んだ田中碧と日本の生命線となる中盤のトリオを形成し最終予選6連勝に貢献。日本の7度目のワールドカップ出場の立役者の一人となる。
2022年11月の2002 FIFAワールドカップ・カタール大会のメンバーにも順当に選出されるが、左ふくらはぎの負傷によってグループリーグ初戦のドイツ戦を欠場。第2戦のコスタリカ戦から復帰すると、残りの試合は全てスタメンとして出場。調整の遅れから本調子ではなかったが、中盤でのボール奪取でチームに貢献するなど見せ場は作っていた。
第2次森保JAPANでも遠藤とのボランチコンビは日本代表の心臓として不動の存在となっていた。2024年1月にカタールで開催されたAFCアジアカップ2023では5試合中4試合に出場(うち3試合にスタメン)。準々決勝のイラク戦では前半に個人技からDF3人をぶち抜いての先制ゴールを決める。しかし、後半に守勢に立たされたことで逆転負けを喫し、ベスト8で敗退。試合後、選手任せのチームのあり方について踏み込んだ発言をしたことで話題となる。
苦悩を吐露した守田英正の悲痛な叫び「考えすぎてパンク」「もっといろいろ提示してほしい」
上記の発言から代表での立場を不安視する声も出たが、森保監督からの信頼は揺るがず、主力として重宝される。2024年9月10日、北中米ワールドカップ アジア最終予選第2節のバーレーン戦では効果的な攻撃参加から代表では初の1試合2ゴールを記録し、大勝に貢献。
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2018 | 川崎フロンターレ | J1リーグ | 26 | 0 | |
2019 | 川崎フロンターレ | J1リーグ | 23 | 0 | |
2020 | 川崎フロンターレ | J1リーグ | 32 | 1 | |
2020-21 | サンタ・クララ | プリメイラ・リーガ | 20 | 2 | |
2021-22 | サンタ・クララ | プリメイラ・リーガ | 28 | 1 | |
2022-23 | スポルティングCP | プリメイラ・リーガ | 29 | 6 | |
2023-24 | スポルティングCP | プリメイラ・リーガ | 29 | 2 | |
2024-25 | スポルティングCP | プリメイラ・リーガ |
常勝川崎フロンターレにおいては「川崎の心臓」と呼ばれ、サンタ・クララでは「マエストロ」と称される。中盤の底であるアンカーがもっとも得意なポジションだが、一列前のインサイドハーフでも貢献できる。いわゆる6番と8番の役割をどちらもハイレベルでこなせるボランチである。
一番の特徴は低い位置でのキープ力であり、相手のプレッシングをいなす能力やターンフェイントを得意としており、相手の逆を突いてパスを捌くことができる。さらにはプレー判断力の高さも秀逸で、縦パスを送るにも周りの状況を考えて最適解の選択肢を選ぶことができる。パスを送ろうとした味方がマークされていると判断すると瞬時に違う最適ルートを見つけ出す。
利き足の右だけでなく、左足でもパスを出すことができ、中短距離のパスレンジも広い。インサイドでもアウトサイドでもパスを出すことができ、バリエーションが豊富。最終ラインが相手のプレスに嵌っているときは、絶妙なタイミングで最終ラインまで下がってサポートに入る。
ポジショニングの的確さも特筆すべきものがあり、味方のボランチが列を下げてボールを受けに行ったときは列を前に移動してバランスを取り、パスワークをスムーズにさせる。サッカーIQが高い選手とたびたび言われるのもこうした状況判断力と立ち位置の必要性を理解できているからである。このあたりは川崎のレジェンドである中村憲剛の影響も大きい。
守備でも相手の起点を潰す能力が高く、デュエル成功率が高い。常に予測を立てながらポジションを修正できるのも強みで、日本人にありがちな闇雲にガツガツ相手に当たるだけでなく、あえて動かないことでスムーズにマークする相手に寄せることができる。
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最終更新:2024/12/23(月) 19:00
最終更新:2024/12/23(月) 19:00
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