回数券とは、金券類のひとつである。
特定の施設・機関をよく利用する客に対し行われる割引サービスのひとつで、事前に一定数の対価を支払うことで更にオマケが付く。公共交通機関をはじめ、駐車場や飲食店、レジャー施設等で導入されている。
多くの場合は回数券は紙片がバラバラで提供される、あるいはミシン目が入っており切り離せることから金券ショップでの商材として目を付けられることが多く、回数券を買うほど高頻度には利用しないが1円でも安くしたい客と、バラ売り転売で儲けたい店との利害関係が一致し商売になっている。しかし回数券を発行する事業者からは冷ややかな目で見られており、バラ売り出来ないように対策をする事業者も現れている(詳細後述)。
本記事では、主に公共交通機関における回数券事情を中心に記述する。
鉄道においては、10回分の料金で11回分のサービスを受けられる(つまり約9%の割引)のが一般的な相場で、発行から一定期間(おおよそ3ヶ月間程度)のみ有効という制限が設けられている場合が多い。またバスの場合、金額の書かれた紙で発売され有効期限がないことが多い。
例えばJR東日本の場合は、旅客営業規則第39条に基づいて発売される。
(普通回数乗車券の発売)
第39条
旅客が、片道200キロメートル以内の区間の各駅相互間を乗車する場合は、当該区間に有効な11券片の普通回数乗車券を発売する。JR東日本旅客営業規則より引用 ただし書きは省略しました
本規則により、回数券の発売範囲は200kmの区間までに制限される。そのため、例えば東京から大阪までの回数券を買うことはできない。
また、ただし書き部には「JR九州内完結」または「JR西日本のICOCAエリア内完結」のいずれかに該当する回数券は発売しないといった旨が書かれている。これは両社が該当の回数券を廃止したため。
公共交通機関によっては普通回数券以上の縛りを与える代わりに、割引率を更に上げたり、特急を使えるようにした回数券が存在する。
別名「オフピークチケット」。平日は日中(午前10時~午後4時が殆ど)のみ、土日祝ダイヤ運行日は終日使える回数券。バスの場合だと土日祝の終日利用が不可能な場合もある。
相場は10回分の料金で12回分。
特に私鉄間との競争が激しかったJR西日本の関西エリアでは「昼間特割きっぷ」というものも存在しており、私鉄各社を殺しにかかるほどの割引率を叩き出すほどの回数券を販売していた。なお2018年9月末で販売終了となった。
別名「サンキューチケット」「ホリデーチケット」。その名のとおり、土日祝ダイヤ運行日のみで終日使える回数券。
割引率が最も高く、相場は10回分の料金で14回分。
JR四国や肥薩おれんじ鉄道などが発売しているもので、通常の11枚つづり回数券と異なり6枚つづりとなっておりそこまで鉄道の利用頻度が多くない人にも使用できるようになっている。また、3人グループで往復利用に使うこともできる。
これは正確には回数券ではなく企画乗車券として販売されていることが多い。JR九州やいくつかのバス会社で発売されている。
上記6枚回数券と違い、特急列車が利用できる料金券付き回数券。そのぶん発売額も高くなっている。
これも正確には回数券ではなく企画乗車券として販売されている。繁忙期となる盆・正月・ゴールデンウイークは使えない。
区間によっては発売額が高く一定の需要もあり、クレジットカードでの購入も容易にできるゆえに「現金が欲しいがため」の金券ショップへの売却が頻繁に行われている。
なお、2021年8月5日にJR東海・JR西日本が連名で東海道・山陽新幹線の指定席回数券の販売を2022年3月末をもって販売終了すると発表。これにより回数券の恩恵がある区間は非常に少なくなる。
冒頭での説明どおり、バラ売りを阻止するために様々な対策が取られている。
回数券の効力・回数券使用時と同じプレミアム分をプリペイドカードに格納してしまう方式。
カード方式でも券売機に回数券カードを挿入すればバラの回数券に分解し複数人での同時利用も出来るが、そのバラした券を当日限りにしてしまう事業者が存在する(例:阪急電鉄・阪神電鉄・近畿日本鉄道等。特に阪急阪神では2018年10月以降有効期限を変更したことにより、客や金券ショップからブーイングが起こったという。ただし阪急・阪神の他社連絡回数券はシステムの関係上現在でもバラ紙片で提供)。
大阪市高速電気軌道では、「回数カード」と名乗りながら3000円で3300円乗車可能な磁気プリペイドカードを販売=10%のプレミアム分を付けて回数券と同等の割引を設けている。これと同様に、路線バス会社独自のプリペイドカードで販売時・チャージ時にプレミアム分を付与し回数券と同じぐらいの恩恵を与える例は多い。ある意味、バス共通カードの時代に戻ったといえる。
その一方で、逆に何があったのかは知らないがカード回数券を廃止しバラ紙片で提供するようになった事業者が存在する(例:大阪モノレール)。
2020年4月1日から発売された小田急電鉄の「チケット10」がその例。
1枚当たりの価格が従来の回数券よりも少々安くなる価格設定になったり、素数の11枚ではなく10枚になったことで複数人でシェアして使いやすくなった。しかし一番の変化としては券面に「ご利用の際に、表紙を確認させていただくことがあります」と記載されたことで、金券ショップによるばら売りを牽制したことが大きいだろう。金券ショップで購入した場合は表紙は貰えないため、それを持たずに利用した場合不正乗車となる。
ちなみにチケット10移行時に切符のサイズが近距離電車用の小さいサイズ(通称「エド券」 57.5mm×30mm)のものから特急券サイズ(JRでいう「マルス券」 57.5mm×85mm)に大型化されかさばるようになってしまったほか、有効期限が3ヶ月→2ヶ月へ短縮といろいろ改悪している。
また、確かにほとんどの金券ショップでは小田急の取り扱いを停止したが、一部の金券ショップでは「不正乗車になる可能性もあります」としつつも販売したり、チケット10を買った人が注意書きをよく読まずに表紙を券売機前に捨てたりする事例も散見された。肝心の表紙確認もまともに行われている様子はなく、結果、長続きせず2022年7月末を以て販売終了となる予定。
なお小田急「チケット10」には小児用の設定もあるが、2022年3月のダイヤ改正で小児用記名PASMOでの小田急線内分の運賃が一律50円になってしまったため、先駆けて要らない子と化している。
一般的には「1か月につき規定数乗車するとポイント還元」といった措置が多いが、この方法は乗車頻度が中途半端な人にとっては還元の機会が少なく無用の長物と化す点に注意。
名古屋周辺の私鉄・公営鉄道(名古屋鉄道・名古屋市交通局)などは2010年にmanacaマイレージを導入することに伴いユリカやトランパス、名鉄回数券(通学・障害者割引回数券、なごや特割30、蒲郡線・広見線回数きっぷを除く)等を廃止。
特にICカードを導入した公営系の事業者(仙台市交通局・札幌市交通局・福岡市交通局)で回数券廃止→ICカードポイント還元制導入の風潮が広がっている。
JR西日本は昼間特割きっぷを廃止しICOCAポイントを導入。平日ダイヤでは午前10時~午後5時の間、土日祝ダイヤでは終日で特定区間を月間4回以上乗車すると30 or 50%還元される方式を導入。更に、2021年9月末でICOCAポイント導入エリア・駅間で完結する区間の在来線普通回数券の発売を終了する(通学・障害者割引適用の券を除く)代わりに、同年10月1日以降は利用回数ポイント(月間11回以上の同一運賃区間乗車で還元)の還元率を10%→15%にアップさせる。お気づきになられた方もいると思うが、販売終了するのは在来線経由。つまり、新幹線経由の乗車券(例:大阪駅⇔京都駅の乗車券で新大阪駅⇔京都駅間を東海道新幹線経由に指定する。そうやって発券したものでも選択乗車の制度が発動し在来線乗車に用いても問題ない。)や、他JRグループに連絡する回数券(例:彦根駅⇔醒ケ井駅等)は今後も販売される(が、下記に記すように、2022年9月30日をもって廃止予定)。
京阪電鉄は2020年12月30日をもって障害者割引回数券・通学割引回数券を除く一般的な回数券を廃止し、ICOCA限定ポイント還元システムを導入した(京阪のポイントはJR西日本とは別立て)。
東武鉄道は2021年9月末をもって障害者割引回数券・通学割引回数券を除く一般的な回数券を廃止し、PASMO限定ポイント還元システム「トブポマイル」を導入。東武ポイントに登録済のPASMOで乗車すればいつでも利用額の3%を、それとは別に同一月内に同一運賃区間を規定回数以上乗車すれば最大12%還元される。こちらはいつでもというのがポイントで、本項目の冒頭に書いた「乗車頻度が中途半端な者にとっては還元の機会が少ない」というデメリットをカバーしている。
2020年~2021年のコロナ禍によりこれに踏み切るパターンが増加している。
JR九州は2021年6月末、西日本鉄道は2021年7月末をもって自社管内完結の回数券の販売を終了(JR九州の2枚きっぷや特急料金回数券、定期券専用新幹線特急料金回数券を除く)し、それに代わるポイント還元サービスの提供は行わない。
JR各社は、2022年をもって障害者割引回数券・通学割引回数券を除く一般的な回数券を廃止する予定(JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国各社内完結、もしくはこれら4社に加えJR九州を加えた5社相互間については9月30日、JR北海道内完結、及びJR北海道・JR東日本相互間については11月30日)。JR東日本では上記の「回数券の割引率とほぼ同額のポイント還元を行う」を、Suica区間に限っては鉄道利用ポイントとは別立ての「リピートポイントサービス」の導入によりカバーしているが、それ以外のカバーはない。
掲示板
6 ななしのよっしん
2022/12/29(木) 10:52:05 ID: 2K92KmugPE
>>1
亀だがサブスクは「使い放題」だから回数券じゃなくて定期券だろ
7 ななしのよっしん
2023/01/27(金) 23:09:44 ID: 7Vi+x7EAt1
同じ11枚つづり回数券でも鉄道会社によって
・区間が指定されている(例:東京⇔新橋)
・金額性になっている(例:140円区間)
の2種類があった。後者だったら140円区間ならどこでも使えて便利だった。
現在は回数券自体が無くなってきたが…。
8 ななしのよっしん
2023/10/11(水) 21:20:06 ID: 6qotOuAm3e
>>5
乗り方次第では従来よりメリットあるしポイントの使い勝手がいいからいいだろ
メトロなんてどうあがいても改悪なんだし…
急上昇ワード改
最終更新:2025/01/01(水) 08:00
最終更新:2025/01/01(水) 08:00
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