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zokkon.hatenablog.com
山下達郎のサンデーソングブック聴きました。 問題のコメントは、直後からネットに全文の書き起こしが上がっていますね。 anond.hatelabo.jp いろいろ意外だった点がありました。 まず、松尾潔さんに対して少しは慇懃な敬意を見せるかと思いきや、もう全然会ってなくて年に数通のメールだけ、向こうがスマイルカンパニーに顧問料を払うという関係、と完全に切って捨てました。松尾氏のやり方がよほど腹に据えかねたんですね。 なかでも逆鱗に触れたのはたぶん、日刊ゲンダイに載った文章の締めくくりだったんじゃないでしょうか。達郎が作詞作曲したOPRESSION BLUESの歌詞を引用していました。最新作に収録した反戦の歌ですが、この文脈で使われるということは、「身近にいる被害者を守る姿勢を見せることもせず、弾圧だの銃声だの遠いところに関してきれいごとを訴えるだけでいいんですか」と啖呵を切られたのと同じです
松尾潔氏がスマイルカンパニーとの契約を解除されたと明かしてから、ネット界では山下達郎が「こだわりの強いポップミュージックの職人」から「性犯罪者を擁護する悪人」へと一気に変わった感があります。 ラジオでのしゃべりを書き起こしたテキストなんかあんなに人気だったのに。 そういえば昔々、まだブログが普及する前のこと、僕はHTMLを手打ちしたファイルで個人テキストサイトをやっていまして、達郎の音楽のすばらしさを全世界に向けて発信(笑)していたことがあります。英語版も作って、唯一ブラジルから反応がありました。「同意します! 達郎は最高です!」と。えーあなたの国のジョアン・ジルベルトとかカエターノ・ヴェローゾのほうがいいんじゃないのと思ったものですが。柳ジョージも好きだと言っていました。その後交流は途絶えてしまったのですが、シティポップの流行で達郎が脚光を浴びていることについて感想を聞いてみたかった。
村上春樹が訳した評伝『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』を読みました。スタン・ゲッツ Stan Getz はジャズのテナーサックス奏者。村上氏が個人的に一番思い入れのあるミュージシャンなのだそうです。原著は1996年に出ていて、この邦訳が出たのは2019年です。20年ぐらいかけてポチポチと訳したんでしょうか。一見それほどの分量があるようには見えませんが、600ページぐらいあります。薄い紙を使っているんですね。 新潮社刊。本体価格3200円 訳者あとがきにもありますが、スタン・ゲッツは人格に大きな問題を抱えていると見られることが多い人物でした。ジャズメンのエピソード集なんかでもいいことが書かれているのを見たことがありません。 ルイ・カストロ『ボサノヴァの歴史』に少しだけ登場するゲッツの姿は、ボサノヴァのデリカシーを理解しない尊大で無神経なアメリカ人そのものです。 渡辺貞夫の『ぼく自身のためのジャ
新興ウイルス感染症の流行をテーマにした小説『エピデミック』を読みました。 読んだのは2009年12月発行の角川文庫版を底本とする電子書籍版です。つまり、今般のCOVID-19が発生するはるか以前に書かれたものです。しかし、書かれている内容は今日の状況を驚くほど予見したものになっています。これが出た当初に読んでも、知らない事柄が多くてすんなり頭に入ってこなかったかもしれませんが、「実効再生産数」をはじめとする疫学の概念への理解が広まった今ならさほど労せず理解できる人は多いと思います。僕もそうでした。 房総半島の先端部、館山市とその周辺を思わせる土地(作中では頭文字や架空の地名が使われています)で、重症のインフルエンザに似た症状を呈する伝染病が発生したことから物語が始まります。 そこに登場する地元の住民の名前は、僕にはなじみのあるものが多く登場していました。「吾川」「窪川」は高知県の地名からと
関東も梅雨入りして、トレーニングの手段として水泳が恋しくなってきました。そこで、東京アラートもなぜか解除されたことだし、貧乏人の強い味方である公共の温水プールの営業再開はどうなっているか調べてみました。主眼は個人利用の可否です。営業を再開するところでも利用にあたっての制限がありうるので、詳しい正確な情報はリンク先やそれぞれの区のサイトにてご確認ください。 (7月2日に再開情報更新) zokkon.hatenablog.com 千代田区 千代田区立スポーツセンター:6月6日から団体利用のみ営業再開、個人利用は引き続き当面中止→7月4日(土)から入場制限して再開 昌平童夢館:引き続き当面利用中止。 ちよだパークサイドプラザ:引き続き当面利用中止。 神田さくら館:引き続き当面利用中止。 麹町小学校:引き続き当面利用中止。 富士見みらい館:引き続き当面利用中止。 いきいきプラザ一番町:6月末まで当
この記事は「書き手と編み手の Advent Calendar 2019」に参加しています。 adventar.org とある中堅出版社で10数年にわたり、2カ国語辞典(具体的には英和辞典と和英辞典)の編集という仕事をしてきました。「出版社」「編集」と一口に言っても、扱うジャンルはさまざまで、業務内容も実は会社によってかなり違っていたりします。とりわけ、辞書という出版物は限られた版元しか扱っていないので、あまり汎用性のある話はできないのですが、思うところあり、このあたりで少しまとめておきたいと思います。 三浦しをんさんの小説『舟を編む』は、映画化もされ今は文庫でも出ているのでご存じの方も多いと思いますが、国語辞書を刊行している老舗出版社の社員編集者を主人公とする作品です。これによって世間での辞書編集者のイメージが形作られた部分は少なからずあると思いますが、あれを読んで自分の仕事と違うと感じた
三浦しをん『舟を編む』、辞書編集部を舞台にした長編小説とあっては読まずにはいられないではないか。しかもかなり売れているらしく、今日買い物のついでに寄ったブックファースト新宿店では4位だった(店舗全体なのかフロアなのか文芸部門なのかは見なかったけど)。地味な辞書業界がこういう形で脚光を浴びるのはうれしいことだ。 かつて「辞書作りの舞台裏」id:zokkon:20091010 なんてのも書いた手前、その観点から何か発言することを期待されているのではないか……とは全然思わないけど、なじみのある場所についての小説なので、読んだことを記録しておきたい。 実際の辞書編集部の様子はどれだけ忠実に反映されているのだろうという興味はだれもが持つものと思うけど、考えてみたら同じ会社でも国語辞典編集部の実際の仕事ぶりとかあまり知らないんだよね。基本的に言葉に対する感受性が鋭いというか好奇心が強くて勉強熱心な人が
科学分野の翻訳家/フリージャーナリストの垂水雄二氏のエッセイ。科学用語で日本語に定着した訳語のうち、原語の意味から離れてしまっているもの(要するに誤訳)などを検討している。概念や事物自体がもともと日本に存在しないものを言葉として造り出す際にはさまざまな誤解が入り込む余地があった。中国語での漢字の用法まで目配りが利いている箇所も多数あり、なるほどと思う。 ただ、「今さらそれを言ってもしょうがないんじゃないの」という面がある言葉もそれなりにあるのは確か。「恐竜」も一種の誤訳だと言われるが、本書での説明は次のようなもの。まず、英語のdinosaurusはギリシア語のdeinosとsaurusをつなぎあわせたものである。 このdeinosは形容詞で恐ろしいという意味があり、saurusはトカゲすなわち爬虫類という意味で使われているので、英語ではterrible lizardと訳されてきた(『オック
40代半ばなのでもう遅いかなと思ったけど、編集担当の方にTwitterで訊いてみたら長期投資を考えているなら当然役に立つはず、ということだったので(考えてみれば当たり前)、モーニングスター(株)代表取締役の朝倉智也氏が書いた本を買ってみた。 30代で金融商品を買い始めた頃には投信の積み立てもやってたんだけど、小金が貯まってくると、配当とか値動きの情報が入りやすい国内の個別株式に傾斜していって2008年の金融危機と先頃の震災ショックで大きな痛手を受けて今に至る。で、国内株式はこの先けっこう暗いだろうし、そんな環境でも利益を上げるために一生懸命頭を悩ますのもばかばかしいので、海外の株式なり債券なりに投資できる投信で運用しようと思った次第。森智紀『ほったらかし海外ファンド成功法』(東洋経済新報社)も買ってみたんだけど、シンガポールのシティバンクか香港のなんとかという銀行で口座を開くのが安全、とか
理論社が民事再生法の適用を申請。売上高に匹敵する規模の借入金があったらやっぱ苦しいだろうなあ。仮に不動産とか持っていたとしても。Twitterで見て「えっ『指輪物語』の?」と一瞬思ったが、それは評論社だった。一般的には『チョコレート戦争』『兎の眼』ということになるのか。「よりみちパン!セ」シリーズは子供が大きくなったら読ませたいのがいくつかあるので、なんとか踏ん張って再生してもらいたい。西原理恵子の『この世でいちばん大事な「カネ」の話』もこのシリーズなんだよね。 この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) 西原 理恵子 父が生前親しくしていただいていた山本史也先生も、白川静監修で『神さまがくれた漢字たち』を出している。 神さまがくれた漢字たち (よりみちパン!セ) 山本 史也 白川 静 ほかに、いせひでこ『ルリユールおじさん』もすごい好き。 ルリユールおじさん いせ ひでこ
辞書の約束事 辞書の約束事で読者の皆さんにぜひ押さえておいてほしいことは、まず第一に、どこに何が書いてあるかという情報です。ほかに、いろんな記号類があるので、これも覚えておかなければならないような気になりますが、そんなに難しいものではないので、辞書に親しむうちに自然に覚えてくると思います。四角囲みの中に「名」と書いてあったら名詞のことだとか、そんなに考えなくてもわかりますよね。英英辞典の世界なんかでは、昔は文型を独自の記号で何種類にも分類して、凡例のところでものすごくきめ細かく解説する、なんてスタイルのが出てきたこともありますが、今ではそういう極端な独自ルールというのはすたれてきていて、あんまり予備知識がなくてもある程度は内容がつかめるような方向に進化してきています。 どこに何が書いてあるか、まずは見出し語のレベルでいうと、何を見出し語としているのか、ということです。英語には、2語以上でひ
今の勤め先で、ときどき修学旅行などで会社見学に中学生・高校生が見えて、仕事の内容を説明することがある。そのときに使ったレジュメに加筆してまとめておきたいと思う。 この会社に入って5年近くになります。その間、ずっと辞書の編集を主な業務にしてきました。というわけで、辞書作りの現場について少しお話しさせていただきたいと思います。 辞書と一般の書籍の違い まず最初に、辞書と一般の書籍の違いについて、いくつか指摘しておきます。モノというか商品の性質の違いが、仕事の組み立て方の違いにかかわってきますので。辞書と一口に言ってもいろんな辞書がありますし、一般の書籍もいろんな種類がありますが、ここでは代表的な存在として辞書は『ウィズダム英和辞典』(第2版)を例にとることにします。高校生向けの学習英和辞典ですね。その中でも上級向けといわれる部類に入ります。一般書籍のほうはもっと種類も多いし、どれかで代表するこ
(書きかけ) 訓練された専門家の必要性を声高に叫ぶような論調が Wikipedia をめぐってもよく見られた。 ただし、言葉を扱う辞典(=辞書、ことばてん)と、事物を扱う事典(ことてん)では少し事情が異なる。事典のほうは、Wikipedia の現時点での成功によってバザールモデルでの制作に適合したものだということが証明されたといっていいと思う。ブリタニカ百科事典の編集者がニッポン放送の社長に見えてくるぐらいだ。一方、辞書のほうはそうはいかない。 Wikipedia の姉妹プロジェクトの一つに Wiktionary という、読んで字のごとく辞書を作ろうというプロジェクトがあるが、日本語版はこれを書いている時点で方針策定のために編集が凍結されている。これだけをもって「wiki は辞書作りに向いていない」と断定してしまうと、よくある wiki 批判と同じになってしまうが、実際のところ事典と辞典の
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