【写真展】落合陽一「質量への憧憬~前計算機世界のパースペクティブ」 膨大な写真である。広い2フロアにまたがってテーマ別に写真群が壁面に整然と配置され、あるいは壁全体を埋め尽くす。その合間の床には立体作品を置き、花が咲いたり機器から光が飛び交ったりし、フロアを横断する長い台の上には書籍から切り離された頁が積もっている。 落合氏はメディアアーティスト、研究者、教育者として目まぐるしく活躍する中で、「デジタル」という世界を主に扱っており、高度に理論化、抽象化の推し進められた試みをデジタルデータという形式を介して、各種の機器、メディアによって出力し、光や音といった自然界の産物や現象と一般人の身体体験とを結びつけるべく奔走し試行錯誤している。そうした活動の中では、まず理論化から漏れ落ちた生の「モノ」としての世界が後退してしまうこと、そして作者自信の存在感すら匿名化、抽象化されてゆく(=アーティストや