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今年の「#文学」
tsujimotter.hatenablog.com
本記事は日曜数学 Advent Calendar 2023の1日目の記事です。 ご無沙汰しています。日曜数学者のtsujimotterです。 2022年12月に子どもが生まれまして、そこからブログや動画の投稿が滞っていたのですが、アドベントカレンダーの季節ということで久しぶりに復活しました。*1 今年も日曜数学アドベントカレンダーを立ち上げました。 adventar.org 明日話したくなる数学豆知識 (2014)から数えると、なんと 10年目 です。 今年の分も、おかげさまでブログ執筆時点で21件の方が登録してくれています。記事が投稿されるのを楽しみにしています! 残りの枠についても、よろしければご参加いただけると嬉しいです! 背景 可愛い我が子の保育園を決めたのですが、これがtsujimotter家にとってはなかなかの難問でした。 近所にはよさげな保育園が4つ(保育園A・B・C・Dと呼
こちらの記事は今日投稿された下記の動画に関して、さらに深い解説をする記事となっています。www.youtube.com よろしければ、こちらの動画も合わせてご覧ください! フェルマーの最終定理の のケース に自然数解が存在しないことは、オイラーによって証明されていました。 オイラー自身は、この式の指数と変数の個数を1個ずつ増やした にも、同様に解がないことを予想しました(1769年)。以降もずっと指数と変数を増やして行っても同様に解がないと予想していたようです。割と自然な発想ですよね。 一見すると式 には自然数解がなさそうなので、長い間解がないと信じられていました。 ところが、1966年にレオン・J・ランダーとトーマス・R・パーキンによって、式 の解が発見されたのです: この発見によってオイラー予想は間違っていることが示されたわけです。 次がそのランダーとパーキンの論文なのですが、1ページ
素数の一覧表を作るときに、一個一個の数を素数かどうか判定していくのもよいですが、もう少し効率的に行う方法があります。 その方法の一つが エラトステネスの篩(ふるい) です。 エラトステネスの篩は、情報系の大学生であればプログラミングの演習等で一度は実装したことがあるかと思いますが、実に「アルゴリズム的」なものです。説明の際は「手順」を説明されることが多く、私はこれを数式で表そうと考えたことがありませんでした。 ところが、Wikipediaを見ると、エラトステネスの篩はこんな数式で表せると書いてあります。 細かい定義は次のとおりですが、本文の中で順に説明していきます。 : 以下の素数の個数 : 以下のすべての素数を掛け合わせて得られる数 :メビウス関数 :ガウス記号( を超えない最大の整数) : は を割り切る こんな風に表せるのか!と驚いた一方で、これはいったいどういうことなんだろうとも思
最近、タイムラインで という話をよくみかけます。とても面白い現象ですね。 この問題については、id:egory_cat さんのブログにて、一般の 進法に対して証明が与えられています。 egory-cat.hatenablog.com ブログを拝見させていただきましたが、とても面白かったです! 要するに、分子の数 は に対して を代入した数であり、分母の数 に対して を代入した数であり、これらの比 の小数部分が十分小さな値となることを示せるわけですね。 一方で、Twitter上でこんなツイートも見かけました: (987654321-1)/(123456789+1) = 8 pic.twitter.com/KWrcpmyF11— Poo-Sung Park (@puzzlist) 2021年3月30日 なるほど、上の記号を用いて が成り立つと言うわけですね。これは面白い。 この関係から、一般の
みなさん明けましておめでとうございます! 年が明けたということで、みなさん今年の干支はご存知ですか? そうです 壬寅(みずのえとら) ですね!! 「え、寅年でしょ?」と思った方。もちろんそれで正解なんですが、少しだけ話を聞いてください。 実は、干支といったときには単に 子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥 の 十二支 だけではなく、十干(じっかん) 甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸 も合わせて考えることがあるのです。 十干と十二支を順に並べて今年の干支といいます。 今年2022年は、十干が「壬(みずのえ)」で、十二支が「寅(とら)」なので、干支は「壬寅(みずのえとら)」というわけですね。 (もちろん実際問題として、単に十二支だけで干支と行ってしまう場合もあると思います。) ところで、この干支のルール、なかなか面白いのです。 十干は10種類と十二支は12種類あるということで、
あけましておめでとうございます! 今年も楽しく日曜数学して、その様子を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! ぜひ一緒に日曜数学しましょう! 2022年最初の記事では 2022 を素因数分解してみたいと思います! もちろん、素数チェッカーやWikipediaの記事を調べれば、ただちに素因数分解の結果が分かってしまいます。 それではちょっと面白くないので、今回は 手計算でできる方法 にこだわってみたいと思います。 単に素因数分解するだけではなく、分解するための方法についても紹介したいと思います。 それではいきましょう! みなさんもよかったら自分でも計算してみてくださいね! (自分で計算してみたい人は、一旦ここで止めて考えてみてください。) 2022は2の倍数(偶数) 2の倍数判定は下一桁だけを見れば十分です。 下一桁が偶数ならば、元の数も偶数 2022なので、明らかに2
日曜数学 Advent Calendar 2021 の最終日の記事です。 今日は日曜数学 Advent Calendar 2021 の 最終日 の記事です。 そんなわけで、12月1日から始まった日曜数学アドベントカレンダーも、今日で終わりです! おかげさまで、なんと25日間すべての記事が埋まりました! 投稿してくださったみなさま本当にありがとうございます!! 色々なタイプの記事が揃いましたが、今年はMathlogさんからの投稿が7件もありました!勢いを感じますね! まだ読んでいない方もおられると思いますが、楽しい記事が集まっていますので、ぜひじっくり読んでいただければと思います。 adventar.org 今日のテーマ 突然ですが、私は 素数 が大好きです。 日常生活においても、たとえば素数の番号のロッカーに荷物を預けますし、レシートの金額が素数だったら喜びます。 当然、今日の日付が素数だ
循環小数熱が再燃してきまして、いろいろ調べている中で面白い話を見つけました。 かの有名な天才数学者ガウスは、こんなやり方で循環小数を計算していたそうです。今回の記事の出典は、参考文献に挙げた「近世数学史談」です。 たとえば、 という数を循環小数で表すことを考えてみましょう。 もちろんこの例では簡単なのでそのまま計算していいのですが、 という関係を利用してみましょう。 部分分数分解(の類似) を計算すれば、 と の循環小数表示から を計算できるという寸法です。 具体的には、右辺を通分すると となりますので を満たす整数 の組を求めれば良いことになります。 実際、 なる解が見つかるので という式が得られます。 あとは、 と の循環小数表示 (循環節の長さ 1)(循環節の長さ 2) を知っていれば と計算できます。この計算は、実質的には足し算・引き算(と少々の掛け算)だけで実行できます。 したが
今日は のような 「素数のべき乗分の1」の形の循環小数 について考えたいと思います。 実際、上記の小数を計算してみると となり、 は 42桁、 は 294桁 と、たいへん長い循環節を持つことがわかります。これは後で見るように周囲の循環小数と比べてもかなり長いものとなっています。 この現象の裏には一体どのようなメカニズムが隠されているのでしょうか。 理屈を紐解いてみると、そこには の循環節が ダイヤル数 になることが関係していることに気づきました。 とても面白い(きっと他では知られていない)定理を証明することができましたので、よろしければご覧になってください! 注:今回の記事はtsujimotter自身による独自研究をまとめたものです。内容の信ぴょう性についてはご自身でお確かめください。 1. 目次 目次: 1. 目次 2. きっかけ 3. 実験と本日の主定理 4. 循環小数のおさらい 5.
今日は久しぶりに数学の話題を。 もりしーさん( @9973_prm )の以下のツイートの話が面白かったので、今日はこの問題について考えてみたいと思います。 立方数と立方数の差って大体素数じゃん、って思ったけど5^3と6^3の差がまさかの91でわろた— もりしー@素数大富豪 (@9973_prm) 2021年8月24日 なお、もりしーさんは次のようにもツイートしています: 隣合う立方数の差— もりしー@素数大富豪 (@9973_prm) 2021年8月24日 つまり、もりしーさんが考えていたのは 「隣り合う立方数(3乗数のこと)の差は素数になるだろうか?」 という問題ですね。 たとえば、最初の4つのケースを考えると (素数)(素数)(素数)(素数) となって、かなり素数が続いています! 面白いです! もちろん、もりしーさんがツイートしているように、すべての隣り合う立方数の差が素数になるわけで
「数学は役に立つのか?」「微分や積分は役に立つのか?」というのは、たびたびSNS上で目にする話題ですね。もちろん、人間社会において、さまざまな場面で数学や微分・積分が役に立っているのはみなさんよくご存知かと思います。 今日紹介したいのは、人間が発見するよりもはるか昔に、生物がすでに既に微分を活用していたかもしれない というお話です。 たとえば、カブトガニのような生物は、実際に「微分」を活用していたのではないかと言われています。 By Togabi - Own work, CC BY-SA 4.0, Link カブトガニが誕生したのは2億年前ですが、人類が微分を発見したのはせいぜい300年前ですから、人類が活用するよりもはるか昔ということになります。 いったいどんなふうに微分を活用していたのでしょうか。面白い話なので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです! 目次: 1. 物体認識とエッジ
銅錯体が青いのはなぜか。その化学的な理由を突き止める記事 後編 です。 今回はいよいよ 群論 が登場します! 「対称性」を使って色の仕組みがどのように理解できるのか!? 前編の内容を前提に進めますので、ご覧になっていない方はまずはこちらをご覧ください: tsujimotter.hatenablog.com 目次: 1. 点群:群を使って分子の対称性を理解する 2. 正八面体配位の点群 Oh 3. シュレーディンガー方程式の対称性と点群 4. 群の表現:点群による3d軌道の変換を行列で表す 5. 点群 Oh の表現の具体的計算 Eの表現行列 C2の表現行列 (1) C2の表現行列 (2) 6. 指標表:表を見れば既約表現がわかる 7. 平面正方形の点群 D4h 8. まとめ 参考文献 1. 点群:群を使って分子の対称性を理解する 前編の記事では、あくまで直感的に2価の銅イオンの錯体が青色にな
今日考えたいのは 銅錯体 についてです。 硫酸銅は2価の銅イオン と硫酸イオン のイオン結晶 です。これ自体は白い粉なのですが、水に溶けると 青色 に呈色します。 飽和量以上の硫酸銅を加えると結晶が析出しますが、その結晶の色も綺麗な 青色 となります。硫酸銅(Ⅱ)五水和物と呼ばれるもので、化学式で書くと となります。これは、2価の硫酸銅に5つの水分子 が配位結合していることを表します。(あとで配位結合とは何かについては説明します。) 実際を見てみると、とても綺麗な色をしていますね。 (ちなみに、こちらは自分で買った私物です。笑) 硫酸銅の水和物は高校化学でも扱うので、化学好きの人にはおなじみかもしれませんね。 ※なお、硫酸銅の結晶は毒性がありますので、購入を希望される方はよくよく調べた上で、取り扱いには十分ご注意ください。 水溶液の中の銅も、結晶の方の銅も、どちらも 錯体 と呼ばれる種類の
夏です。木々の緑が鮮やかな季節がやってきました。 [tsujimotterの母校、北大にて撮影] 植物の葉を眺めてると、私はいつもこんな疑問を思い浮かべます。 どうして緑色なのだろうか? 色は、私たちは幼い頃から知っている身近な存在です。その一方で、とても神秘的な存在でもあります。 色とは何だろうか? 考えれば考えるほど、その正体が分からなくなってしまうのです。 たとえば、みなさんは色の仕組みに関するこんな問いに答えられるでしょうか? ・空の色が青色なのはなぜだろう?(太陽の光は白色のはずなのに) ・絵具を混ぜて金色が作れないのはなぜだろう?(そもそも金色っていったい何なのだろう) ・モルフォチョウの翅の色がきらびやかな青色をしているのはなぜだろう?(自然界には青色をした物質はほとんどない) 今回考えたいのは「植物の葉はなぜ緑色なのか?」です。 この問いを突き詰めていくと、分子の中にある電
いよいよ 分子軌道 を計算してみたいと思います。 今回の記事の内容を理解するとエチレンやブタジエンやベンゼンなどの分子軌道が計算でき、それをPythonのプログラムで可視化できるようになります。 これまで3回に渡って書いてきた「日曜化学シリーズ」の記事ですが、今回がまさに集大成となっています。 過去の記事を前提にお話しますので、まだの方はシリーズの過去記事をご覧になってください。 tsujimotter.hatenablog.com (番外編の日曜化学(2.5)は読まなくても、今回の内容については大丈夫です。) 前回までの記事で計算したのは、水素様原子という 原子核が1つ・電子が1つ のものでした。 そうなると、原子核が2つ以上で電子が1つ の状況(つまり分子)を計算したくなると思います。 上記の状況はポテンシャルによって表すことができますので、ハミルトニアンに反映させればシュレーディンガ
2日前に公開した量子力学に関する記事なのですが、たくさんの方に見ていただいて嬉しいです。Twitter上でもたくさんの嬉しいコメントをいただきました。 tsujimotter.hatenablog.com 今日は続きとして、電子雲の可視化 をしたいと思います。 前回の記事では、水素原子におけるシュレディンガー方程式 を考えました。 は波動関数で はエネルギー。 はハミルトニアンという演算子で、定義は次の通りです: この方程式をデカルト座標 から球面座標系 に直して、変数分離によって解を求めるという方法を紹介しました。 変数分離 によって、動径波動関数 と球面調和関数 に分けられるわけですが、前回の記事では特に球面調和関数 について可視化を行いました。 しかしながら、球面調和関数が教えてくれるのは「どの方向に電子が多く分布しているか」という情報です。これだけだと「3次元の中でどの辺に電子が分
最近、とある興味 *1 から量子力学(とりわけ量子化学)の勉強をしています。 水素原子の電子の軌道を計算すると、s軌道とかp軌道とかd軌道とかの計算が載っていて、対応する図が教科書に載っていたりしますよね。 こういうやつです: Wikipedia「球面調和関数」より引用 Attribution: I, Sarxos 個人的な体験ですが、予備校の頃は先生の影響で「化学」に大ハマりしていました *2。 ここから「Emanの物理学」というサイトの影響で「物理」に目覚め、そこからなぜか「数学」に目覚めて現在に至ります。そういった経緯もあって、化学には大変思い入れがあります。 特にこの水素原子の軌道の図は当時から気になっていて、自分で描いてみたいと思っていました。先日ようやく理解でき、実際に自分で描画できるまでになりました。以下がその画像です: これはタイトルにもある「球面調和関数」と呼ばれる関数を
数学ファンの鯵坂もっちょさんがツイートしていた問題が面白かったので、今日はその問題について考えてみたいと思います。 あれ、もしかしてan+b(a,b,nは自然数、a,bは互いに素)型の数が積で閉じてるのってb=1のときだけか— 鯵坂もっちょ🐟『つれづれなる数学日記』発売中 (@motcho_tw) 2021年5月31日 もっちょさんの問題は、任意の という形の数の積 が再び と表せるような整数 の条件は?という問題ですね。 この問題、見た目以上に広がりがある問題だと思います。「中国剰余定理」や「天に向かって続く数」にもつながったりします。お楽しみに! 元の問題を解く たとえば、、 とすると、どちらも の形の数ですが、その積をとると となり、 なので 型の数となっています。 一方で、 型の数では同じことにはなりません。 どうも、 型の数の の部分は でないとうまくいかないようです。 より正
世の中の現象の中には「ランダム」な現象が多々あります。たとえば、サイコロを振るのは分かりやすいランダムな現象の例です。他にも天気や地震、ギャンブルなども分かりやすいランダムな現象の例です。 一方で、コンピュータの中で行われる計算は、一定のアルゴリズムにより定められた計算が順次実行されることになるため、原理的にはランダムになることはありません。 このことはコンピュータ内でランダムな現象をシミュレーションするにあたって問題になります。そこで「決められた手順によって生成されるランダムっぽく振る舞う数列」をいかにして作るかが重要になるわけですね。このような数列を擬似乱数と言います。 コンピュータによって擬似乱数を生成する手法は、これまでもさまざまな手法が提案されています。今回は、その中でも特に有名な手法である 線形合同法 について考えたいと思います。 最近はもっと良い疑似乱数の生成法が発見されてい
「」を示す問題が2003年の東大入試で出題されました。これは有名なのでみなさん良くご存じかと思いますが、一方で以下の動画のような解法はご存知でしょうか? www.youtube.com たいへん面白い解法なので、まずは一度ご覧いただきたいです。動画の解説もとても丁寧です。今回の記事はこの動画の内容を前提としてお話したいと思います。 動画の概要欄にもリンクが載っていますが、Yahoo知恵袋の以下の質問の「その他の回答」に載っていた回答が元ネタだそうです。 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp 元ネタの人はどうやって発見したんでしょうね。いやー不思議です。 今回私が考えたいのは、いったいどうしてこんな解法が存在するのであろうかということです。登場するパラメータが絶妙なバランスで構成されていて、このような解法が存在すること自体が非自明です。 今回はその背景にある理屈を整数論
今日は 箸袋があるとつい作っちゃうこの図形 についての話です。 細長い紙を用意して、上の図をイメージしながら折り曲げて「ぎゅっと」すると、きれいに正五角形が作れてしまいます。 箸袋に限らず、お手元に紙テープなど「細長い帯状のもの」があれば簡単に折ることができます。よかったらぜひやってみてください。 ところで、上で作った図形はたしかに五角形ですが、本当に正五角形だろうか? というのが本日の問いです。つまり、辺の長さと角の大きさは、厳密にすべて等しいのでしょうか? これまで漠然と正五角形だろうと思っていましたが、よくよく思い返してみると、それを証明したことはありませんでした。一見簡単にできそうな気がしたのですが、やってみたらなかなかチャレンジしがいのある問題でした。 というわけで、今日は「箸袋で作った図形が正五角形であること」を証明してみたいと思います! tsujimotterは昨日の夜にこの
今回は「保型形式(モジュラー形式)を勉強するとこんなにも楽しい」シリーズの 応用編 です! 数学ガール等を読んで保型形式について知ったけど、さわりの部分だけでは物足りない、もっと保型形式のその先を勉強してみたい、そう思っていた「あなた」のためのシリーズ記事です。 前回の記事では、「導入編」と称してモジュラー形式に関する最低限の事項を紹介しました。導入編で手に入れた知識は、まさに今回の応用編を読むために用意したものです。 tsujimotter.hatenablog.com 今回は「モジュラー形式を勉強するとこんなにも楽しい」ということを紹介したいと思います。いよいよ本題ですね。 前回の記事を読んだ方もそうでない方も、必要に応じて前回の記事を参照しつつ、読んでいただけたらと思います。 みなさんにご紹介したいのは、次の 5つ の話です。 応用①:「関数」の間の非自明な関係式が得られる(難易度:
保型形式 という数学用語を聞いたことはあるでしょうか? 数学好きの方の中には、フェルマーの最終定理の証明で楕円曲線と保型形式が役に立った、という話を聞いたことがある方もいるでしょう。 私が保型形式に出会ったのは、数学ガール「フェルマーの最終定理」という本でした。 この本の最終章では、保型形式の具体例を計算して、楕円曲線と保型形式の深い関係について、その入口の部分を体感できます。この本を読んで「なんだか面白そう」と思った方も多いのではないかと思います。私もその一人です。 数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2) 作者:結城 浩SBクリエイティブAmazon 一方で、さわりの部分だけでは物足りない、もっと保型形式のその先を勉強してみたい、と思う方も多いのではないかと思います。 今回の記事は、そんな「あなた」のための記事です。 この記事を通して詳しく解説しますが、保型形式とは
今年も3月14日、3.14の日がやってきました。3.14といえば、もちろん円周率の近似値ですね! 円周率の近似値にちなんで、世界的には 円周率の日(英語圏だとPIの日)と呼ばれているそうです。 毎年、この日にブログに書きたいと思っていた(できずにいた)話があります。それが次の ラマヌジャンの円周率公式 です。 なんじゃこりゃ と思うような公式ですね。 9801、1103、26390 といった謎めいた整数を複雑に絡み合わせた無限級数を計算すると、なんと円周率の逆数が出てくるというのです。 ラマヌジャンはインドが生んだ著名な数学者で、数学者の中でも群を抜く奇才として知られています。上の公式は、まさにラマヌジャンの奇才っぷりを詰め込んだような式になっていますね。 しかもこの公式、こんな見た目をしておきながら めちゃくちゃ収束が早い そうで、一時期は円周率を世界最高の精度で計算するプログラムに使わ
以前「足し算の繰り上がりと群コホモロジーが関係している」という話が、Twitter上で話題になったことがありました。 大元のツイートは、このツイートだったと思います。もうちょっと説明してくれといわれたので、しますと、Z/100Z は mod 100 の整数が足し算のもとでなす群ですが、その中で10の倍数は Z/10Z (すなわち10の位) と同型な部分群をなして、商群も Z/10Z (すなわち1の位)になります。だから、Z/100Z は1の位のなす Z/10Z を10の位のなすZ/10Zで拡大したもの。— 🥑 (@yujitach) 2017年11月16日 関連するツイートとして、次のようなものもありました。 nLabの記事(同じ論文を引用してます):https://t.co/IRAOYBB7yU— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2019年10月14日 当時は理解で
今回の記事は「シリーズ:連分数とペル方程式」の2日目の記事となっています。関連する記事は こちら からご覧いただけます。 今日はこんな問題を考えてみましょう。 兵士たちが正方形に並んでいる。これを1軍団とする。その軍団が「61」ある。これに王様が一人加わって、大きな正方形に並び直した。王様を含め、全体で何人になるか? この問題は「コマネチ大学数学科」というテレビ番組で出題された問題の「改題 *1」となります。 自分で考えたいという方は、ここでストップしてぜひ一度考えてみてください。 ただし一点注意したいのですが、この問題は見かけ以上に いじわる な問題となっています。それでもよければ、という条件付きで挑戦してみてください。 「もういいや」「解説が知りたい」と言う方は、ぜひスクロールして以下の解説をみてください! ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ それではいきましょ
今回の記事は「シリーズ:連分数とペル方程式」の1日目の記事となっています。関連する記事は こちら からご覧いただけます。 今日は、連分数展開 について紹介したいと思います。 3日連続 で 「連分数」 に関連する記事を公開したいと思っています。明日以降の記事の準備として、以下の3つのトピックを紹介したいと思います: 連分数展開を計算するためのウェブアプリの紹介 連分数展開の計算方法の紹介(2通り) 連分数を用いた無理数の近似 連分数とは という形に、分数が入れ子になった構造の分数のことを指します。 特に、各分子の数列 がすべて であるものを正則連分数といいます。 今回の記事では、正則連分数のみを扱いたいと思います。正則連分数は のように表すことができます。 また、分数の入れ子を無限に繰り返すことで なるものを考えることができ、これも連分数ということにします。(特に、分子が であるものを正則連
一橋大学の問題が僕にも解けそうだったので、解いてみました! 問題(一橋大学・2021年第1問)1000以下の素数は250個以下であることを示せ。 (解答) 1 は素数ではない。 4 は 2 で割り切れるので合成数。 6 は 2 で割り切れるので合成数。 8 は 2 で割り切れるので合成数。 9 は 3 で割り切れるので合成数。 10 は 2 で割り切れるので合成数。 12 は 2 で割り切れるので合成数。 14 は 2 で割り切れるので合成数。 15 は 3 で割り切れるので合成数。 16 は 2 で割り切れるので合成数。 18 は 2 で割り切れるので合成数。 20 は 2 で割り切れるので合成数。 21 は 3 で割り切れるので合成数。 22 は 2 で割り切れるので合成数。 24 は 2 で割り切れるので合成数。 25 は 5 で割り切れるので合成数。 26 は 2 で割り切れるので
本日は 2/23 ということで、この日付にまつわる楽しい数学の話をしたいと思います! お話したいのは、23 という数そのものが持つ性質についてです。 は素数なので、素数についての話かと思った方もいるかもしれません。 もちろん、素数であることは大事なのですが、それだけではありません。 は次のような特徴を持つ素晴らしい数でもあるのです。 を3以上の素数としたとき、 次円分体 の 類数 が より大きくなる最小の は である 整数論を学んだ人にとっては、円分体や類数の意味が理解でき、 そこから23の性質に感動を覚える人も少なくないかと思います。 一方で、円分体や類数をまったく知らない人にとっては、上の説明だけでは何のことかわかりませんよね。私自身、何度か一般向けの講演で上の事実を紹介したことがあるのですが、難しくて理解できなかったという方も多いのではないかと思います。 そんな方でも、今回こそは23
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