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tmykinoue.hatenablog.com
これは物語のふりをした、世界一読みやすい予言の書であるかもしれない。 予言の書は予言が現実化する前に読まねば意味がないように思われるが、いざ見事にすべてが現実化してしまったあとのいま読んでこそ、背筋の凍る答えあわせが楽しめるというメリットもある。そういう意味では、いまこそ読まれるべき作品であるとも言える。 本作が書かれた1970年時点で、「個人情報」という感覚を持っていた人が果たしてどれほどいただろうか。ましてや「個人情報」というものに潜む計り知れぬ危険性を。 アイドル雑誌に、ファンレターの宛先としてタレント本人の住所が当たり前のように掲載されていた時代。そんな時代があったという事実が、いまやまるで信じられない状況になってしまった。情報に無防備すぎたあの頃が異常だったのか、情報漏洩を恐れすぎるいまこそが異常なのか。 星 新一といえばショートショートの人でありそちらはそれなりに愛読していたが
天災人災事件事故、何もかも自分が未然に防いだと言い張る彼女のことを、人は「未然ちゃん」と呼ぶ。ひょっとすると、世界は未然ちゃんのおかげでなんとかまわっているだけなのかもしれない。 三月の未然ちゃんは、とある高校の掲示板の前にいた。その日は入学試験の合格発表の日だった。未然ちゃんはまだ小学生であり、お兄さんもお姉さんもいない。 誰もが貼り出された番号の群れを見て一喜一憂していた。そんな中、手元の受験票と掲示板を七度見八度見しながら、涙を浮かべている少年がいた。誰が見ても落ちているのがわかる、痛々しい光景だった。 未然ちゃんは、少年のそばへつかつかと歩み寄り、上司のようにポンポンと少年の肩を叩いて声をかけた。 「良かったでしょ! 受かってたらあんた、間違いなく死んでたでしょ!」 少年は何を言われているのかさっぱりわからなかった。おかげで目にあふれていた涙が引っ込んだのは間違いないが、不思議と馬
どこの世界にも、いったいその人がなぜそんなに評価されているのか、その要因がどうにも思いあたらない人物というのがいる。イケメンでも演技派でもない大御所俳優。美人でも巨乳でもないグラビア女王。失言まみれ汚職まみれの大物政治家――。 挙げればキリがないが、考えてみれば小学生のころからそういう奴はいた。私は彼のことを、羨望と揶揄の念を込めて「人望くん」と呼んでいた。 人望くんは、とにかく先生に怒られなかった。私たち男子が休み時間のドッヂボールに夢中になりすぎて、校庭から教室に戻るのが遅れたときもそうだった。担任の中年男性教師は、教室の前扉の前に仁王立ちして僕らを待ち構え、遅れてきた生徒に次々と容赦ないビンタを喰らわせていった。 しかし五・六人叩いたのち、人望くんが目の前に現れると、担任は振り上げていた手を止めて言った。 「お前はわかってるはずだ。わかってるならいい」 いったい何がわかっているという
1位『PARADIGM』/ECLIPSE Paradigm アーティスト:Eclipse出版社/メーカー: Frontiers発売日: 2019/10/11メディア: CD まさか彼らがこの段階で化けるとは思わなかった。スウェーデン産中堅ハード・ロック・バンドの7枚目。 北欧古来の美旋律ハード・ロックにジョン・サイクスのアメリカナイズされた英国ギターを加えたスタイルに、前作からはさらにそのサイクスのルーツでもあるゲイリー・ムーアのアイルランド的郷愁を追加したことで、ここに別次元のケミストリーが生まれた。 それにしても今作はエリック・モーテンソンの歌の巧さが際立っている。その格段にエモーショナルさを増した歌声は、GOTTHARDの今は亡きスティーヴ・リーを思わせる。 アンセムとも言うべき冒頭の「Viva La Victoria」が描き出す壮大なメロディは、このアルバムでひと皮剥けたバンドの圧
上位曲は、どうしても年間ベスト・アルバムで選んだ作品からの曲になってしまうが、半分くらいはあまりかぶらないようやや意識した。 本来ならば、「Hysteric Creatures」/OUTRAGE、「Light In The Dark」/REVOLUTION SAINTSの2曲もどこかに入る可能性が高い。 1位「Ashes Of The Dawn」/DRAGONFORCE 戦いの挽歌。音速の絶望的美旋律。歌い回しの快感。 www.youtube.com Ashes of the Dawn アーティスト: ドラゴンフォース出版社/メーカー: WM Japan発売日: 2017/05/17メディア: MP3 ダウンロードこの商品を含むブログを見る 2位「The Thunder Rolls」/ALL THAT REMAINS DEEP PURPLE「Soldier Of Fortune」の悲哀+G
「マイナンバーを送れという旨の書類が来たのですが、マイナンバーの通知書が見つからないので、代わりに王選手の背番号を書いて送れば良いですか?」 「素敵な女性に電話番号を尋ねたら、王選手の背番号と同じだと言われたのですが、イチかバチか掛けてみるべきでしょうか?」 「銀行の暗証番号は、もちろん王選手の背番号です。ええ、ひと桁ですが何か?」 「THE 虎舞竜の『ロード』って、第何章までありましたっけ? 王選手の背番号と同じでしたっけ? もしかして王選手の通算本塁打数のほうだったかな?」 「アントニオ猪木に大声でイチ、ニイ、サンと言われたのですが、その後は王選手の背番号を強く言い返せば良いですか?」 「五木ひろしよりもソックリさんの一木ひろしのほうが、数的に王選手に近いと言えますか?」 「SMAPの中で一番好きな曲? やっぱり『世界に王選手の背番号だけの花』かな」 「大学入試のマークシートでは、すべ
本日17時、今年の新語流行語大賞が決まるらしい。だがそんなことはどうでもいい。今年も勝手に恒例にしている「新語流行語大賞全部入り小説」を書きながら、「なんで『ナッツ・リターン』が入ってないんだ!」と憤っていたことを思い出したからだ。 しかし調べてみたら、「ナッツ・リターン」はちょうど2年前(2014年末)の話だったらしい。調べないほうが良いこともある。検索文化は夢を壊す文化でもある。どうも体内時計が年単位で馬鹿になってきているようだ。 しかし本当にマズいのは、むしろ今さら「ナッツ・リターン」という言葉を発したくて仕方なくなっていることのほうかもしれない。とにかく言いたいし、できればやりたいとさえ思っている。 いや誤解しないでほしいのだが、本当にあれをやりたいと思っているわけではない。あのナッツ姫の「ナッツ・リターン」ではなくて、僕は僕の「ナッツ・リターン」をやりたいのである。 伝わらないだ
ヒント爺は、今日もRPGの世界を旅する勇者たちに情報を与えるためだけに生きている。 この世界はすっかり荒廃してしまった。しかしそれがなぜなのかは、ヒント爺風情にはわからない。彼に与えられている情報は、あまりにも少ないからだ。 いまヒント爺の住んでいる村では、昨年から水不足が続いている。もう一年あまりも雨が降っていないのである。そんな村に旅人が来ることはもはや滅多にないのだが、昨日は珍しく剣と盾を持った典型的な勇者が訪れた。盾が皮製だったところを見ると、まださほど冒険は進んでいないようだ。 勇者はずかずかと村に入ると、目についた村人に片っ端から話しかけていた。まるでナンパ師のように見境がないが、情報に飢えているのだから大目に見てやろう。村の名称や近隣の地形など、基本的なことは人に訊ねる前に「ググれカス!」と撥ねのけたくなる気持ちはやまやまだが、彼らはデジタルな世界の中に生きているにもかかわら
歩きスマホでポケモンGOをしながら都内のあちこちへ片手間に火を噴きまくるジカ熱のシン・ゴジラを、もはや民泊中のアモーレたちが築いた愛の盛り土だけで防ぐことは不可能だった。しかも、その盛り土すら実際には行われていなかったという事実が発覚したとなれば。 先日の都知事選で、アスリートファーストをスローガンに掲げて当選した史上初の「ダブル都知事」であるタカマツペアは、この神ってる緊急事態に対し、さっそく新しい判断を下した。もはや肉体的な攻撃は不可能との判断から、精神的攻撃へと切り替える方針を打ち出したのである。そしてこのときダブル都知事が取った心理戦法は、トランプの「神経衰弱」になぞらえて、のちに「トランプ現象」と呼ばれた。 対策を練るにあたり、タカマツペア知事はまず、なんとかしてシン・ゴジラにポケモンGOをやめさせるべきであると考えた。シン・ゴジラが画面越しの街中に浮かび上がるポケモンたちを実在
頭痛が痛い田村は腹痛も痛くなってきたような気がしているが腹痛は痛くない。膝痛が痛いのはいつの間にか治って完治していたし、歯痛が痛いのも半年前に治療して治したばかりだからこの問題は問題ない。虫歯が蝕まれていたのだ。 ただし寒さが寒い季節には、毎度毎年のことながら腰痛が痛くなる兆候が兆す。重い重量物を持って持ち上げると一発でギックリ腰がギックリ来るし、準備運動を準備せず急に急いで運動するとやはり腰が腰砕けになってしまうので、いつも気が気でないが気をつける必要が必ず必要である。 とはいえ適度に動く運動をして動いたほうが腰痛の痛みを緩めて緩和するには良質で良い、という話を耳で聴いたことがあるので、田村は毎朝歩くウォーキングを日課として歩くことにしている。 ウォーキングを歩くときはいつもの通常よりもやや速く高速で歩きを歩くため、車の車道と歩く歩道の間の合間の段になった段差につまづいて、転んで転倒して
拝啓 暴言王様におかれましては、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 このたびヒラリー・クリントンとの「War Of Words」に勝利し、 「When I’m President」になったものの、 直後からデモが起こるなどして、早くも「The Enemy Inside」な貴方。 それでも貴方は、力づくで砂上の「Empire」を築くつもりなのか、 はたまた悩める「The Pale King」になり果てるのか。 暴言王の勝利というこの事実は、世界中の人々にとってまるで映画のように「Stranger Than Fiction」。 されどその現実は、紛うかたなき「Sad But True」。 メキシコとの国境に長大な壁を作ったところで、ひっきりなしに「Balls To The Wall」。 メキシコの野球少年にとって、それはきっと絶好の壁。毎日壁当てし続けて、ボールが壁を突き抜ける日―
このたびのアメリカ大統領選において、ドナルド・トランプがショッキングな勝利を収めた。大統領選といえばもちろん政治の話だ。僕も政治学科出身者のはしくれとして何かを言ってみようと思ったが、大学で何かを学んだ覚えがないということをすぐに思い出した。自転車通学の最中にピザ屋のバイクと正面衝突したが無傷だった記憶はあるので、たぶん大学に通ってはいたんだと思う。 何かもっともらしいことを言おうとすれば、すでに誰かにそれを言われていることを発見してしまうのが現代SNS社会の悲劇である。今日もそんな発言を発見してしまったので、素直に引用してみることにする。この言葉が今回の大統領選の、いや今の世の中に蔓延している不穏な空気をすべて言い表しているように思う。 念のために言っておくが、僕もこんなことを感じていたような気がしないでもないのである。いや、さらにもう一歩念入りに考え直してみたら、僕もこんなことを言いた
我々は、けっして思ったことを完璧に言語化して伝えられるわけではない。そこには必ずいくらかの劣化が伴い、その「言いきれなかった部分」が誤解の種になることも少なくない。 だが欧米のトップアスリートや指導者たちの言葉に接していると、「この人、もの凄く言えているな」と感じることが結構ある。「言いたいことが言いたいようにちゃんと言えている」というのは、実は結構稀有なことで、日本のスポーツ文化に最も欠けている要素であると思っている。 その理由は案外シンプルなところにある。日本人はそもそもスポーツ選手に理屈を求めてこなかった。最近は少しずつ変わってきたようにも思う(たとえばイチロー)が、やはり日本のスポーツ文化の根底にあるのは、いまだに「不言実行」であり、多くを語らぬ者こそが勝者の貫禄を漂わせるという古風な価値観だろう。 日本の体育会系においては、たとえば選手がエラーをした際に求められるのは、「なぜ失敗
「ハテ、ナンノコトデスカナ?」 ホームセンターから一歩出たところを取り押さえられたフランス人シラーヌ・ゾンゼーヌは、ロングコートのポケットをパンパンに膨らませながら、腕を掴んできた万引きGメンの女・東海林メアリーにそう言い放ったのだった。ちなみに、アメリカ人と日本人のハーフである東海林メアリーの異父妹は壁岡ミミアリーといい、二人は「美しすぎる万引きGメン姉妹」として名を馳せている。 第一声でしっかりすっとぼけたにもかかわらず、東海林の的確な判断と誘導により、シラーヌ・ゾンゼーヌはホームセンター店内のバックヤードへと巧みに連れ込まれていた。在庫商品のダンボールに囲まれた簡易テーブルの奥には、すでに店長の家中ひろしが慣れた調子で着席している。 「ほら、取ったもん全部出して」 テーブルを平手で二度叩きながら家中が指示すると、シラーヌ・ゾンゼーヌはわざわざ眉根を寄せて顔の彫りの深さを強調したうえで
なんとなく思い立って、ブログのタイトルバックに画像を入れてみることにした。 といっても、特に明確なコンセプトもなければ、この嘘八百のブログタイトルにフィットした画像などまったく欲しくもない。そうなると、選ぶ基準というものが本当になんにもなくなってしまって大いに困った。 いちおう漫画に携わっていながら、絵心というものが皆無なので自分で描くわけにもいかず、いやこれに関しては漫画編集部に配属された時点で自ら少なからず不安視していたのだが、やがて必要なのは絵を描く能力ではなくそこから面白味や可能性を感じ取る能力であることがわかったので、そんな能力があったのかどうかはわからないがとりあえず描画能力のないまま今日まで生きてきた。 というわけで、必然的にネット上に転がっているフリー素材から画像を選ぶことになる。 ところが冒頭で述べたとおり、そもそもコンセプトがないわけだから検索ワード何も思い浮かばない。
今年のハロウィンでピコ太郎の仮装をしている人の家のクローゼットには、高確率で日本エレキテル連合の衣装が眠っている。 なんとなくファッションの方向性が似ているような気がしないでもないので、使い回せないかと一度は頭を悩ませてみるものの、やはり柄が全然違うので諦めてピコ太郎モデルを買い直すしかない。 そんなわけで本日はハロウィンであるらしい。今年から急に「ハロウィーン」と尻尾を伸ばしはじめているような気がするのは気のせいか。 ハロウィンといえば、日本ではもはや仮装以外の意味など見出しようもないが、仮装とはいわゆる「出オチ」なのではないか。 まともな仮装などしたことがないからわからないが、仮装している人々は「出オチ」後の「間」をいったいどうやって持たせているのだろうか。 ご存じのように、「出オチ」とはドーピングのようなもので、その直後には強烈な副作用として、地獄のような沈黙の時間帯が訪れることにな
この世の何もかもを「光代化」してしまうという、魔法の一人称を入手した。 以下の例文は、「光代」と「世界」との戦いの記録である。 部屋とYシャツとあたしゃ(光代) あたしゃがオバさんになっても(光代) あたしゃ以外あたしゃじゃないの(光代の極み乙女) あの鐘を鳴らすのはあたしゃ(光代におまかせ) アタッシャ25(光代のアタッシャチャンス) あたしゃあ専用ザク(赤い彗星光代) あたっしゃケース(光代のギャラ運搬用) 真剣80代あたしゃべり場(光代88歳) 「若さの秘訣? あたしゃん(朝シャン)だねぇ」(光代式美容法) 「お弁当、あたしゃめますか?」(コンビニ店員光代) あたしゃかサカス(オールスター感謝祭で森脇健児に走り勝つ光代)
手間亮という男はすこぶるいい奴だが、一緒にいるといつの間にかお金が減っているので注意が必要だ。彼は仲間内で「歩くATM」もしくは「生けるプレイガイド」と呼ばれている。 ある日僕は手間亮と映画に行く約束をした。うちから徒歩5分のマンションにある彼の部屋のインターホンを押すと、本人の声よりも先に「ありがとうございました」という自動音声が流れる。インターホンの真ん中にある液晶画面には「¥108」という金額が浮かび上がっている。 手数料を取られているのである。ひと月後にクレジットカードの明細を確認したところ、たしかに「インターホン利用料 ¥108」という記載があった。 もしかしたら自宅のインターホン利用料を取られているのかもしれないが、そんな話は聴いたことがない。いや他人の家のインターホン利用料を取られるという話も、充分聴いたことがないのだが。しかし彼と遊ぶようになる以前には、こんな請求項目はなか
今まさに、うろおぼ刑事が万事うろおぼえなまま現場へ突入しようとしている。懇意にしている情報屋から、「海沿いの第三倉庫でこのあと麻薬取引が行われる」という情報を聞きつけたような気がしないでもないからである。 第二倉庫だったかもしれないし、街道沿いだったかもしれない。話を聞いたのも情報屋ではなく、競馬の予想屋だったかもしれない。あれは手相占い師だったかな。五年前の話だったような気もする。 しかし自分の記憶がいくら常時うろおぼえだからといって、行動を起こさなければ事件など永遠に解決できない。だからうろおぼ刑事は、どんなにうろおぼえでもとりあえず動くのである。 それが結果につながる可能性は、もちろん著しく低い。何しろこの世の中には無数の場所があり、無数の人がいるのだ。時制の違いだって見逃せない。タイミングが合わなければ、事件現場に居あわせることはできないのである。 ならばうろおぼえなことはしっかり
「おい、待て! さもないと撃つぞ!」 言うだけ刑事が、今日も威勢よく声を張り上げる。しかしそこはもちろん言うだけ刑事。ただ単にそう言っているというだけの話で、拳銃を抜く素振りもなければ、追いかけることすらしない。公園のベンチで悠然とカップラーメンをすすりながら、叫ぶだけ叫んで食い逃げ犯を悠然と見送っている。 そこへエプロン姿にコック帽の定食屋の主人が全速力で泣きついてくる。自分が周囲に助けを求めながら犯人を追いかけてきたルート上に、刑事が暇そうに座っているのを発見したからである。 「何やってるんですか刑事さん、あいつを捕まえてくれなくちゃ」 「言ったよ。俺は言うだけ言った」 言うだけ刑事は微動だにせず、ただいつもの返事を繰り返すのみだ。 そもそも彼が刑事を志したのは、「この世から暴力をなくしたい」という一途な思いからだった。だが念願の刑事になった彼に与えられたのは、一丁の拳銃という、暴力の
昨日行われたプロ野球ドラフト会議にて、5球団競合の末、ソフトバンクが田中正義(22)との交渉権を獲得した。 それにより田中を獲り逃した日本ハムは、外れ1位でノーベル賞投手のボブ・ディラン(75)を単独指名、交渉権を手に入れた。 ボブ・ディランはミュージシャンであるため、交渉は難航することが予想されるが、日ハムはディランに「投手」と「歌手」の二刀流を提案。球団サイドは大谷翔平という二刀流の成功例を背景に、交渉への自信を伺わせている。 もしディランが日ハムに入団した場合、そのシンガーソングライターとしての実績から、先発ローテーション入りすることは確実と目されている。 一方で、投手としての登板日以外の試合においては、試合前に「歌手としてライブを行う」という構想が持ち上がっている。 ちなみに、2016年のボブ・ディラン単独来日公演チケットには16,000円(S席定価)の値がついており、むしろ登板日
メールの返事などでよく使用する「了解しました」というフレーズ。しかし最近では、「『了解』という言葉は、目上の人に対しては失礼にあたる」という説もあって、代わりに「承知しました」という表現を使うことも少なくないが、これがどうもしっくり来ない。 「承知」という字面は「了解」に比べると、なんだか「解った感」が圧倒的に弱いのである。やはり文字通り「知る」と「解る」では、理解のレベルが何段階も違う。 「承知」というだけでは、「知ってはいるけど解ってはいない」という浅い感じ、つまり、「いちおう聞くだけ聞いたからOKだけど、そんなにちゃんと解ったうえで賛成してるわけじゃないからね」という感じが暗に伝わってしまっているような気がするのである。 その「解った感」を補うかのように、古来日本には「合点承知之助」という秀逸な言いまわしが存在する。「合点」も「承知」も意味は同じようなものだが、やはり「合点」のほうが
今年も冬彦の夏は、何も言えないうちに終わってしまったのだった。 大学のサークル仲間と繰り広げたBBQ…口に放り込んだ安い肉をいっこうに噛み切れぬまま、何も言えず終わった。 高校時代の友人としこたま買い込んで楽しんだ花火…口にくわえたロケット花火が不発のまま、何も言えず終わった。 気になるあの娘を夏祭りに誘う電話口…もらった番号を何度確認してもジャパネットに掛かり、何も言えず終わった。 遠くから焼き芋の売り文句が聞こえてくる。季節はすっかりもう秋だ…と思ってよく聞いたら廃品回収の声。無料無料と喧伝しつつ、いざ中古のビデオデッキを持っていくと「あ、これは古い型なんで二千円いただきますね」と言ってくるあこぎなやつだ。何も言えずビデオデッキと千円札二枚を渡した。 そうさ冬彦の夏は、何も言えないままに終わってしまったんだ。 勇気を振りしぼって行った初めての夏フェスでひとり…どのアーティストのどの曲も
張り込み刑事が今日も現場に張り込んでいる。 張り込み刑事は文字どおりの張り込み刑事であるから、張り込む以外の仕事は何もしないし教わってもいない。手錠の掛けかたすら知らないし、そもそもそんなもの所持してもいない。銃なんてもってのほかだ。それぞれ手錠刑事と発砲刑事に任せれば良い。 張り込み刑事は小腹が空いてきたので、差し入れ刑事に差し入れをお願いすることにした。差し入れ刑事はアンパン刑事からアンパンを、牛乳刑事から牛乳を独自ルートで入手し、電柱の陰から向かいのビルを見つめている張り込み刑事に渡す。 張り込み刑事はそれをいったん後輩の毒味刑事に食べさせ、念入りに無事を確認してから口にする。アンパンや牛乳を開けるのは、もちろん開封刑事の役目だ。 やがて本部から張り込み刑事の無線に連絡が入ったため、これには無線刑事が応答する。無線刑事によると、現場となる302号室に容疑者が潜んでいるのは間違いなく、
バスケを辞めて不良になった生徒が、「もう一度バスケがしたい」と虫のいいことを言ってもやさしく迎え入れてくれる安西先生…。 途中で投げ出しそうになったとき、「あきらめたらそこで試合終了」だと言ってアバウトに励ましてくれる安西先生…。 そんな安西先生ならば、きっとこの世のあらゆる悩みを解決できるはずだ。たとえそれが、どんなジャンルの、どんなスケールの悩みであろうとも…。 しかし大変残念なことに、安西先生は漫画の中にしかいないようなので、代わりに自分の頭の中にいる「脳内安西先生」にいろいろと相談してみることにした。 以下に挙げるのはそんな私の脳内で繰り広げられた、「脳内俺」と「脳内安西先生」による実りなき問答集である。 脳内俺「安西先生、『いいとも』が観たいです」 脳内安西先生「ホッホッホ。あなたみたいな人間が、後半何年も観てなかったから終わったんですよ」 脳内俺「安西先生、頭が痛いです」 脳内
いま世間では、豊洲新市場の地下に設けられた謎の空間が問題になっている。そこに徳川埋蔵金でも埋まっているなら夢があるが、そこまでいかなくとも、興味深いものが埋まっている可能性がないとは言えない。なにしろ可能性だけなら、何にでもいくらでもあるのだから。 というわけで、「豊洲新市場の地下空間にありそうなもの」をいくつか挙げてみたい。お察しのとおり、重要な事実は何ひとつ出てこないだろう。 それでは、個人的に「あって欲しい」順に挙げてみる。もちろん、あったとしても誰も得しないものばかりだ。 ◆猪瀬元知事が借りた五千万円大のサムシングが入りきらなかったバッグ 例の現金五千万円が丸々埋まっていたとすれば、徳川家とはいかないまでも、『信長の野望』でいうところの姉小路家レベルの弱小大名の埋蔵金である可能性はあるかもしれない。しかし少なくとも、借りた金を埋める理由はないだろう。 むしろ五千万円大の何かをその中
◆1クラスに14人の警察関係者がいる状態!? それにしても現代日本には、いったいどれだけの数の刑事がいるというのか。より正確にいえば、「刑事とその周辺の職種の人々」が。いやいるんだろうけど、こんなには。 2016年秋ドラマのラインナップが出揃った。下記に並べたそのタイトル一覧を見れば、誰もがそう感じるのではないだろうか。 ここに挙げた25本中6本が刑事ドラマ(★印)、さらにはその周辺の捜査官・探偵系(☆印)まで含めると、実に9本(全体の36%)にのぼる。この割合だと、小中学校の40人クラスの教室に、未来の警察関係者が14人もいたことになる。とてもじゃないが、国の治安を任せられる人物がそんなにいた記憶はない。 しかしこれはドラマの世界であり、ドラマ内で扱われるのは多くの場合、なにかしらのニュースになるような「事件」だ。そう考えてみると、我々が普段ニュースやワイドショーで目にするような「事件」
スリッパがすぐ駄目になるので丈夫なスリッパが欲しいが、そうなるとそれはサンダルになり靴になりはしないか。 スリッパは弱いからスリッパなのであって、強くなったらもうそれはスリッパではない。 スリッパは人をリラックスさせなければならない。なぜならばそれは人がリラックスするための場所、つまり室内で履かれるものだからであり、だからスリッパには素足感覚を邪魔しない柔らかさ謙虚さが求められる。 いや柔らかい素材の中にも、それでいて強靱な素材はあるだろう。しかしそのような無茶ぶり的二律背反を実現するような製品は、必ずや高価なものだ。 スリッパは必ず安くなければならない。人は高価なものを身につけていると、「壊してしまったらどうしよう」と考えるためそのステップが終始おっかなびっくりになり、いっこうにリラックスできないからだ。 問題はあるいはスリッパではなく、床のほうにあるのかもしれない。床がもう少し優しけれ
◆昌幸にとって唯一無二の「御館様」武田信玄の影響を感じさせる『真田丸』の遺言 先日放送された大河ドラマ『真田丸』第38回で、草刈正雄演じる真田昌幸がいよいよその最期を迎えた。あるいは主人公の信繁以上に愛されていたかもしれない父・昌幸の死は、間違いなくこのドラマにおけるひとつのクライマックスであっただろう。 ところで、以前から真田家絡みの小説を好んで読んできた僕は、その昌幸がいまわの際に放つ最期の台詞に注目していた。なぜならば、この昌幸の「遺言」とも言うべきひとことが、この先の信繁=幸村の人生における、ひとつの指針を指し示すことになるからである。 そして僕はそもそも、司馬遼太郎の小説『城塞』の中で、真田昌幸が次男・信繁に遺した最期の言葉を読んだことがきっかけで、大の真田ファンになった。おそらくは『真田丸』の脚本を担当している三谷幸喜も、先行作品である『城塞』のこの部分に関しては、必ず意識して
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