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今年の「#文学」
apeman.hatenablog.com
digital.asahi.com ただ、日本側の狙いは後年になって、意外な形で明らかにされた。 「韓国は、日本との関係の基盤を損なう対応をしてきたわけです。(中略)私は『国と国との約束が守れない中において、貿易管理は当然だ』とも述べました」 安倍晋三元首相は、死去後の23年に出版された回顧録の中で、経産省と首相官邸が徴用工問題の対抗措置として輸出規制強化を発案したと認めた。 よくもまあこんな白々しいことが言えたものです。当該の時期の右派論壇誌、特に2019年9月号あたりをみていれば安倍政権の「岩盤支持層」が「歴史戦」の一環として「ホワイト国」からの除外を要求、歓迎していたことは一目瞭然です。いまさら回顧録を根拠にして書くようなことではないでしょう。記事からも安倍政権の狙いが「公然の秘密」とすら呼べない、公知の事実だったことがわかります。 日本政府は当初、世耕弘成経済産業相(当時)が「信頼
digital.asahi.com 公認心理師の信田さよ子さんへのインタビュー記事。当ブログではかねてから、戦後の日本社会が加害体験を「個人化」してきたことの問題点を指摘してきたが、PTSDについて専門的な知見を持つ信田氏でさえ2018年に中村江里氏の『戦争とトラウマ』を読むまでは「父たちの「戦争トラウマ」がDVや虐待の背景にあったという視点を持ち合わせていませんでした」というところに問題の根深さを感じる。 「さすが」と思わされたのは「(虐待、抑圧の)連鎖」という捉え方の問題点に注意を促しているところ。 ただ、連鎖という言葉はすごい荒っぽい。「元兵士たちは加害者だが被害者でもある。だから彼らは可哀想なんだ」という言説につながりかねず、注意が必要ですね。そう言われてしまうと、殴られ続けた妻や子どもら家庭内の被害者たちはどうなっちゃんうんだと。 「侵略戦争の被害者たちはどうなっちゃうんだ」とい
www.sankei.com 「群馬の森」にある朝鮮人追悼碑が、歴史修正主義者たちの要求に乗じて(そう、“屈して”ではなく)群馬県によって撤去されようとしている問題。県議会が全会一致で賛同したという建立の経緯から碑それ自体を問題にはできないものだから、追悼集会での発言を口実にしたのだと考えざるを得ない。 そもそも「強制連行」は学術的にコンセンサスがあることであって、また追悼の対象となる人々が亡くなった経緯を伝えることは「追悼」という行為にとって欠かせない要素だ。「強制連行」という発言にクレームを付けることで強制連行という史実を否認しようとすることこそ、この四半世紀右派勢力が取り組んできた「政治的」活動ではないか。
このブログの前身を iblog でつくったのが2004年なので今年で20年ということになります。もっとも2004年の末にスタートしたので実質的に20年となるのは来年の末ですが。 更新頻度もすっかり落ちて最近はなんとか「毎月更新する」というラインを守るのが精一杯ですが、続けられる限りは続けるつもりです。 過去に書いた記事の中で最近思い起こすことがあるのが、イスラエル軍による白燐弾の使用を擁護するネトウヨを批判した2009年ごろのことです。戦時国際法を「殺させないため」ではなく軍事組織の選択肢を広げるために解釈しようとする姿勢は南京事件否定論にも通じるものだと思いながら書いていました。いまSNSで展開されているイスラエル擁護論もまた、「便衣兵」をめぐる南京事件否定論者の主張を想起させます。 法は殺すため(殺すことを正当化するため)ではなく、殺させないためにある。この大原則を改めて主張しておきた
-水野直樹・藤永壯・駒込武『日本の植民地支配 肯定・賛美論を検証する』、岩波ブックレット No.552、2001/2023 『日本の植民地支配 肯定・賛美論を検証する』水野直樹/藤永壮/駒込武 編(岩波ブックレット)重版分が入荷しました。 大好評『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』の次に読むべきと話題になり、17年ぶりに再販が決まった一冊です。 pic.twitter.com/ABzAl26If0 — ジュンク堂書店プレスセンター店 (@presscenterten) 2023年10月16日 上記ツイートにもあるように、『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』がベストセラーになったのをきっかけに増刷されることになったブックレット。とりあげられている項目をみると刊行から20年以上たってもなお右派が同じことばかり繰り返していることがよくわかる。表面的には「軍艦島」などへの言及が増えると
「前編・テニアン島」「後編・サイパン島」の二部からなるドキュメンタリー。 www.nhk.jp 民間人の犠牲者を多数だした戦場が題材ということで「加害」に関する話題が出るとは期待していなかったのだが、サイパン島で妹を亡くした女性がチャモロ人のガイドに「ごめんなさいね」と頭を下げる。 「“玉砕”の島」 戦火に巻き込まれた先住民もまた多く命を落としたこと(ガイドの女性も遺族)をこの女性は忘れていなかったのだ。 この女性はサイパン島が日本人の「慰霊の島」になっていることにも批判的な目を向ける。ある現地青年から慰霊碑が林立する岬を「亡霊岬」と言われたことを引き合いに出し、「年季が来たら〔慰霊碑を〕除去すべきじゃないかなと思うの」とまで言う。 「他人の島ですよ ここ ねえ」 現地の人々の戦争体験を聞き取った書籍も紹介されていた。 『私たちは涙まで飲んだ』 タイトルの『私たちは涙まで飲んだ』は激しい渇
アジア・太平洋戦争関連の(「アジア・太平洋戦争」という表記を用いることは稀ですが)コンテンツがピークを迎える8月15日が過ぎました。まだ「ひと通り見ただけ」の番組も少なくありませんが、期待外れと期待以上の番組について簡単な感想をば。 放送日程から見て今年の目玉ではないにせよおそらくけっこうな予算を注ぎ込んだはずのNHKスペシャル「いのち眠る海〜最新調査で明かす太平洋戦争」は「期待外れ」組です。まあ正確には大して期待していなかったので「予想通り」ではあるのですが。 太平洋戦争中、海で失われた35万の命。最新技術で「海の死」の実相に迫る調査が進んでいる。マリアナ沖海戦で沈んだ航空機。海底に眠る残骸を分析すると、過酷な作戦の末に海に沈んだパイロットの最期が浮かび上がった。一方「海の墓場」とも呼ばれる旧トラック島では国の遺骨調査が始まった。NHK独自の調査で、助けを求めながら船とともに沈んだ兵士た
著作権が消滅した資料をデジタル化して利用可能にする国立国会図書館の「デジタルコレクション」が近年大幅に拡充されたことはご存じの方も多いかと思います。国会図書館に出向かなくても自宅から閲覧できる資料が増え(利用者アカウントは必要なケースが多いですが)ています。戦前戦中期の文献だけでなく、意外と新しいものも閲覧可能になっていますので、アジア太平洋戦争の従軍記や部隊史など、古書店をまわるか所蔵している図書館を探すしかなかった文献も利用可能になりました。 たとえば第十軍の憲兵だった上砂勝七憲兵少将(敗戦時)の『憲兵三十一年』もこの通り自宅にいながらにして閲覧できるようになっています。かつては地元の図書館を通じて国会図書館から複写を依頼していたことを考えるとずいぶん楽になりました。 『憲兵三十一年』奥付 雑誌『偕行』も閲覧できますので、連載「証言による南京戦史」も自在に読めるようになりました。 『偕
digital.asahi.com 九大生体解剖事件の関係者が残した資料の受け入れを検討していた宇佐市が同市に関連するものがないとして受け入れを断念(地方自治体が公金を支出して管理するなら当該自治体に縁があることが条件になる、というのはやむを得ないところでしょう)下というニュース。さらに当事者である九州大学で収蔵してもらうことを宇佐市が遺族に打診したところ、遺族が断ったということです。断った理由は記事からは不明です。然るべき落ち着き先が見つかることを祈ります。 この証言者のことは過去に当グログでも言及したことがあるはず、と思って調べたらもう10年以上前のことなのですね。 apeman.hatenablog.com
www.tokyo-np.co.jp 従来広島及び長崎の原爆による犠牲者数については広島市および長崎市による推計があるだけで、日本政府の責任において調査がなされたことはありません。広島サミットを控えて辻元清美・参議院議員が「岸田文雄内閣総理大臣の広島・長崎における外国人の原爆被害状況の認識に関する質問主意書」を提出、原爆による犠牲者数とりわけ日本人以外の犠牲者数について「日本政府としてきちんと調査した上で、自らの責任において公表すべき」と迫りました。結果は報道されている通り、新たな調査は「考えていない」というものでした。もっとも日本政府は過去にも自らの責任で犠牲者数を調査したことはないのですから、拒否したのは「新たな調査」ではなく調査そのものということになります。 さてご承知の通り第二次安倍政権下で教科書検定に関するルールが改悪され、閣議決定や最高裁の判例といった形で示される「政府見解」が
昨年書いた「85年目の12月13日」という記事に噴飯もののコメントが付いていました。 たけぞう 誠に残念です・・・ 外務省ホームページの、南京戦で「非戦闘員の殺害があったことは否定できない」との記述の根拠を質問したところ、林外相は「外務省が作成したもの(で)は確認できない」と。 結局は中国のプロバガンダだったということでしようか? この駄コメントは和田政宗議員のくだらない点数稼ぎを念頭に置いたものです。 参院決算委で、南京戦についての政府見解の根拠を質問。 国会史上初の答弁が。 外務省ホームページの、南京戦で「非戦闘員の殺害があったことは否定できない」との記述の根拠を質問したところ、林外相は「外務省が作成したもの(で)は確認できない」と。 詳細はHanadaプラスでhttps://t.co/XCLLWGZMna — 和田 政宗 (@wadamasamune) 2023年4月16日 これは外
もう先月のことになりますが、『毎日新聞』のウェブ版に面白そうな記事がありました。 mainichi.jp (アーカイブはこちら) 熊本県宇城市の墓地に墓石に刻まれた文字の一部が削り取られた墓があり、日中戦争初期に戦没した兵士の墓らしい……。45年の敗戦時に流れたデマの一つに戦犯追及に関するものがあり、場所が熊本とくれば第6師団のことが思い浮かびます。 そこで毎日新聞のデータベースで本紙版を入手して読んでみました(『毎日新聞』西部本社版2023年2月15日、「慰霊碑:「上陸中国軍に報復される」 終戦時デマ、墓石の「戦」削る 地元教諭確認 退避命令、恐怖の末 熊本・宇城の公園」)。 記者が取材した専門家もやはり「陸軍第6師団の兵士らの墓である可能性」を指摘しています。 ところがこの記事には驚くような記述がありました。第6師団について「第6師団は37年に中国で南京攻略戦に加わったとされる」と説明
年末年始に多くの番組を録画したせいでHDDレコーダーの空き容量がかなり減ってしまったので、「録画したけど観ていなかった番組」「観たけど円盤に焼いていなかった番組」を消化する作業をしたのですが、そうした番組からいくつかご紹介。 まず昨年8月3日放送の「昭和の選択 幻の航空機計画〜軍用機メーカー中島飛行機の戦争」。富嶽の開発を軸に中島飛行機の創業者中島知久平をとりあげたもの。番組が終わる直前にちょっと興味深いシーンがあった。 いわゆる“締め”のコメントが求められるタイミングで、ゲストの小谷賢が富嶽に関わった技術者たちについて「程度の差こそあれ、彼らも中島知久平と同じく戦後を見据えていたんだと思います。戦後、自分たちの技術でどういうふうに日本の復興に貢献するか、程度の差こそあれみんな漠然とそういうことを考えていたんだと思います」とコメント。ここでYS-11の開発にも関わったという元航空技術者の鳥
www.nippyo.co.jp 長年日本軍の捕虜になった経験を持つ連合国元将兵などへの聞き取りを続けてこられた岡山大学の中尾知代さんが今年の7月にこれまでの研究の集大成となる書籍を刊行されています。 昨年の8月15日に NHK 総合の「目撃!にっぽん」枠で放送された「ずっと父が嫌いだった ~家族が向き合う戦争の傷痕~」はたいへん印象深い番組でした(現在、「目撃!にっぽん」の番組サイトからはこの放送についてのデータが削除されています)。 【15日午前6:10】 目撃!にっぽん ずっと父が嫌いだった ~家族が向き合う戦争の傷痕~ ずっと父が嫌いだった…。体は丈夫なのに抜け殻のようだった父。二十歳で従軍、中国大陸で死線をくぐり抜けた。父が背負わされた戦争の傷痕と向き合う家族の姿を追った。 [総合]https://t.co/JpyfGFyAYF — NHKドキュメンタリー (@nhk_docud
いわゆる「徴用工問題」においては被告である日本企業が和解に応じない姿勢を示した為抜き差しならない状態になってしまったわけですが、共同通信が11月25日付で西松建設と中国人強制連行被害者との和解に関する記事を配信しています。 nordot.app 日本企業と強制連行被害者との「和解」といえば、記事中でも言及されている「花岡和解」の問題性(当ブログでもこの記事で簡単にですが触れています)が思い浮かぶだけに、和解が成立した2009年当時私も懸念を表明していました。 apeman.hatenablog.com apeman.hatenablog.com 今回の記事だけで最終的な評価を下すことはできないでしょうが、「花岡和解」の問題点を知る記者が書いている点は注目に値すると思います。
ロシア軍がまた派手に焼夷兵器を使い始めたけど、十数年前にアメリカ軍が白リン弾を使った時には大騒ぎして反対していた連中が全員だんまりなのは本当にどういうことなのかな・・・ — JSF (@rockfish31) 2022年11月20日 まず第一に、アメリカやイスラエルが白燐弾を使ったときには「ただの照明弾!」だの「国際法違反じゃない!」だのと擁護するネトウヨが大勢現れた(このブログを「白燐弾」で検索すれば出てきます)のに対して、ロシアの焼夷兵器を擁護するやつはいない、ということ。そもそもこのブログだって、南京事件否定論者がいるからこそ始めたものですし。 そして第二に、アメリカやイスラエルの戦争には日本政府がなんらかの形で加担しているのに対し、ロシアの戦争には(制裁に及び腰なところが見られるにしても)加担していない、ということ。自国の政府が加担している問題を優先するのはありふれた選択でしょ。
今年は通州事件と題する書籍が2冊(歴史修正主義者によるものを除いて)刊行されました。 -広中一成『増補改訂版 通州事件』、志学社、2022年7月 -笠原十九司『通州事件 憎しみの連鎖を絶つ』、高文研、2022年9月 広中版『通州事件』は2016年に星海社新書として刊行されたものの増補改訂版です。新書版が本文3章とコラム2つからなっていたのに対し、増補改訂版は4章「通州事件被害者家族の戦後」が加えられ、コラムも2つ増えています。また「資料編」として遺族2名へのインタビュー、および『東京新聞』が遺族を取材した記事2本が収録されています。 両者の共通点として、(あたりまえでしょうが)近年歴史修正主義陣営が通州事件を反中国キャンペーンに利用している状況を強く意識していることがまずあります。笠原版のサブタイトル、また広中版の帯に記された「恨みを恨みで返すのは、もうやめようー」という謳い文句がそのこと
沖縄激戦地で発掘された「存在しない名字のハンコ」 調査の結果明らかになった驚きの真実とは(抜粋) | デイリー新潮 沖縄激戦地で発掘された「存在しない名字のハンコ」 ついに遺族との接触に成功(抜粋) | デイリー新潮 沖縄戦の激戦地跡で遺骨とともに見つかった「印鑑」を手がかりに、遺族と思われる男性にたどり着きDNA鑑定へつながりそう……という記事がちょっと話題になっていましたが、これを読んだとき私はもう一つの「印鑑」にまつわる報道を連想しました。 🌏まもなくOA🌏 "見つけてくれてありがとう" 万里の長城近くで見つかった 旧日本兵とみられる遺骨 日中戦争で祖父を亡くした遺族は 調査をしてきた中国の男性と 初めて対話して声を詰まらせました 平和のため 共に語り継ごうと決意しています 📺BS1夜10時 #国際報道2022https://t.co/uS5xwcbzi4 pic.twitte
nordot.app (アーカイブ) 上記記事に在中ウクライナ人のこのような体験が紹介されています。 (……)ただ彼女の周りの中国人はウクライナへの同情を示してくれたという。「プーチンの手法が、かつての日本の中国侵略を思い起こさせた」ためだ。実際、ロシアの侵攻をそう捉える中国人もいる。それでも「反米」が優先され、国内でロシア批判の声は上げにくいのが実情だ。 プーチン・ロシアの手法が大日本帝国のそれに類似していることについてはすでに複数の指摘があります(例えばこれ)し、当ブログの読者の方々ならそうした指摘を待つまでもなく類似性を感じられたことと思います。 もし歴代の日本政府がアジア・太平洋戦争の侵略性を率直に認めてきたとしたら、ロシア・ウクライナ戦争に関して日本政府にどんなことができたか……。ロシアの手法が日帝のそれに類似していることを中国政府に対して公然と指摘することで、中国政府にプレッシ
神戸連続児童殺傷事件から25年ということで放送された関連ドキュメンタリーを2本見ました。 www.ktv.jp www.ntv.co.jp いずれも今年に備えて何年にもわたって取材を続けてきたことがわかる内容でした。ただ、二つの番組を見ながらどうしてもあることが気になって仕方ありませんでした。 どちらの番組でもとりあげられていたのが、加害者から被害者遺族に送られてきた手紙が数年前から途絶えていることです。殺害された男児の遺族も女児の遺族も納得のゆく説明や謝罪がないままに手紙が途絶えたことにやりきれなさを感じており、番組はそうした遺族の気持ちに寄り添っています。 しかしその一方で、私たちは「いつまで謝らせれば気が済むのか」と言い募る「加害者」の存在をよく知っています。納得のゆく説明や謝罪を受けていないという気持ちは同じでも、そうした被害感情をいだき続けていることをなじられる被害者・被害者遺族
SNS等でさんざん話題になっているのですでに皆さんご存知のことでしょうが。 www.fnn.jp (アーカイブ) 本人もツイッターで“自白”していました。 【日本外務省がチェック含めしっかりしないと。昨日、外交部会長として外務省と頻繁にやりとりしたが、外務省は約1ヶ月動画を放置した反省と再発防止対策が必要→ウクライナ政府、日本に外交ルートで謝罪。昭和天皇の写真を「ファシズム」と… 外務省が動画に削除要請】 https://t.co/lVTimO9leH — 佐藤正久 (@SatoMasahisa) 2022年4月25日 いくつもある記事の中からこれを選んだのは、「歴史戦」の関連タームである「情報戦」が佐藤議員の口から出ている、という理由です。「情報戦で負けている」って、いったいどこと戦っているという認識なのでしょうか? 「ウクライナ政府のSNSなどをチェックする担当者を設けるよう求めた」
4月1日と8日の『毎日新聞』夕刊に「日本国紀「南京大虐殺はウソ」論を検証 上・下」が掲載されました(大阪本社版)。インタビューを受けているのは笠原十九司さんです。 4月1日夕刊 4月8日夕刊 ご覧の通り(新聞としては)かなりのスペースを割いています。とりあげられている「ウソ」は7つ。 ・南京大虐殺は中国国民党の宣伝 ・ダーディン記者、スティール記者の記事は伝聞に基づく ・南京には各国特派員も大勢いたのに大虐殺は報じられていない ・南京の人口は20万 ・日本軍兵士と南京市民の和気あいあいとした日常生活を写した報道写真がある ・南京市以外での大虐殺の話がない。日本軍の軍紀は厳正 ・30万人も殺したのに松井石根一人しか裁かれていない
3月24日に行われたゼレンスキー・ウクライナ大統領のリモート演説。実施が議論され始めた当初右派は大はしゃぎだった。代表的なのがこれだろう。 ゼレンスキー演説が実現すれば、それは「憲法第九条護憲平和主義」への「余命通知書」になろう。ゼレンスキー演説が日露戦争、ソ連参戦とシベリア抑留、北方領土不法占拠に言及し、日本に一層の戦争支援を訴える中身のものになれば、そうした結論になる。立憲民主党のサボタージュも驚くに値しない。 https://t.co/rjyyK9oyrs — Jun SAKURADA /櫻田淳 (@jun_sakurada_01) 2022年3月16日 要するに第一次湾岸戦争時の "Show the Flag" 発言の再来をゼレンスキー大統領演説に期待していたわけである。 そうした右派に冷水を浴びせたのが、アメリカ議会でゼレンスキー大統領が「真珠湾攻撃」に言及したことだ、というのは
昨年11月にBS1スペシャルとして放送された「「幸せなら手をたたこう〜名曲誕生の知られざる物語〜」。 www.nhk.jp これはもともと2016年に放送された番組だそうですが、これが去る2月14日、15日にBSプレミアムの「プレミアムカフェ」枠で再放送されました。日課の番組表チェック時に番組名は見たのですが、特にこの曲に思い入れもないのでスルーしていました。 ところが14日の放送時間帯にたまたまチャンネルをBSプレミアムにあわせていたらこんな場面が……。慌てて翌15日の再放送を録画予約しました。 曲の作者の男性は、1950年代にYMCAのボランティアとしてフィリピンに滞在します。その際、日本に対する非常に厳しい視線を体験します。その背景にあったフィリピンの人々の戦争体験が生々しく証言されていました。 「幸せなら手をたたこう〜名曲誕生の知られざる物語〜」より 「幸せなら手をたたこう〜名曲誕
今年は“太平洋戦争80年”ということで例年よりも冬の戦争関連番組が多かったように感じます。今年が同時に満洲事変90年の年でもあることはほとんど無視されていること、12月8日にはスポットがあたっても12月13日はスルーされていること、そして日本軍による加害を正面から取り上げる番組は稀であること……という限界は例年通りです。というわけで全体としてはとても高くは評価できない今年の「12月ジャーナリズム」でしたが、いくつか印象に残った番組もありました。 まずは自らの罪への自覚から赦免申請書を出そうとしなかったBC級戦犯を扱ったこの番組。例えば捕虜と民間人を殺害したとして終身刑判決を受けた憲兵准尉は、戦犯釈放のための手続きを推し進めていた国の担当者に「事件の非人道的なことに対する深い反省に基づき 赦免を申請する意思はない」と語ったという。また捕虜殺害でやはり終身刑となった海軍の兵曹長は「いかに上官の
先日、11月14日に NHK 総合の「目撃!にっぽん」枠で放送された「遺された声〜横井庄一の“戦争”〜」を録画して視聴しました。 www.nhk.jp まだ存命の妻へのインタビューや帰国の翌年に録音された横井さんの証言を軸とした構成。 タイトル 証言から、軍の上層部にとって自分の存在は都合が悪いと横井さんが考えていたことがわかります。 参謀は終戦前に脱出 「わしが出てきて困る人」 当初、グアム戦について積極的に証言するつもりだった横井さんが口を閉ざすようになった横井さん。 「戦争の後始末」 その横井さんが口を閉ざすようになった経緯について、当時取材にあたった中日新聞の元記者が証言。横井さんが「民兵を射殺した」と証言したのです。 民兵射殺の証言 当時の紙面 しかしこの証言が報道されると横井さんは発言を翻します。県の援護課が介入した可能性を否定できません。 発言撤回 元記者は当時の自分の取材姿
digital.asahi.com (アーカイブ) 「7月7日」や「12月13日」とともに日本のメディアでは軽視されている「9月18日」ですが、今年は90周年ということもあってか『朝日新聞』が社説で取り上げています。そのこと自体は評価したいと思いますが、内容はといえば…… まず「だが日本では、この日はそれほど意識されない」「中国との戦争がいつ始まったのかを答えられる学生はあまりいないという」といったあたりから引っかかります。例年、中国で式典が開かれたことくらいしか記事にしてこなかった自社の姿勢をまずは問うてみるべきではないでしょうか。 しかし最悪なのは次の部分です。 その際に不可欠なことは、自国だけでなく、関係する他国の目線でも過去を顧み、思考することだ。当時の自国の行動と思惑が他国にどう映り、なぜ誰も望まぬ破局に陥ったか。 「複眼的な歴史観」を説いておきながら“自国の目線”なるものは当然
オリンピック中継に埋もれつつ、この夏もNHKを中心にアジア・太平洋戦争関連の番組がいくつか放送され、一部をのぞいて録画・視聴しました。あいかわらず被害体験中心の番組が大半でしたが、そのなかでも「“玉砕”の島を生きて〜テニアン島 日本人移民の記録〜」は「集団自決」に対する軍の深い関与を訴える証言がとりあげられていました。 www.nhk.jp 9月2日に再放送予定です。 加害の側面に関して突出していたのはやはり「感染症に斃れた日本軍兵士 マラリア知られざる日米の攻防」、特に後半でしょう。 www.nhk.jp 多数の兵士が戦病死したこともある意味では日本「軍」による加害と言えるでしょうが、後半では先日ご紹介したばかりのインドネシアにおけるワクチン禍がとりあげられ、『世界』8月号に寄稿されていた倉沢愛子さんも登場しました。こちらのインタビューでも倉沢さんがこの問題について触れています。 テレビ
「八月ジャーナリズム」という言葉がありますが、月刊誌『世界』(岩波書店)の8月号は普段よりもアジア太平洋戦争に多くのページを割いていました。 まずは倉沢愛子さんの「それは日本軍の人体実験だったのか? インドネシア破傷風ワクチン“謀略”事件の謎」。1944年8月のジャカルタで、七種混合ワクチンを接種された「ロームシャ」から破傷風を発症するものが現れ、判明しているだけで300人以上が亡くなったという事件。日本軍は謀略を疑って捜査を行い最終的に医師一名を死刑に、またもう二名を獄死させたが、“自白”は強要された疑いが濃厚とのこと。筆者の仮説は南方軍防疫給水部によるワクチン開発の失敗が原因というものだが、ならばなぜタイトルに「人体実験」とあるのか。一つには海軍軍医部が破傷風ワクチン開発のために人体実験を行っていたことが戦後の戦犯裁判で明らかになっていること。もう一つはあの帝銀事件で捜査線上に上った松
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