たぶん、あの話はどこにも書かないまま一生終えると思っていた。 子どもの頃、猫を殺したことがある。 わざわざオブラートに包む意味もないぐらい、その言葉どおりのことをした。 「いじめてた」とか「いたずらの延長で」とか、そういう言い換えは、逆に猫にも自分にも失礼な気がするからやめておく。 もちろん当時は、そこまで言語化して考えていたわけじゃない。 ただ、今になって振り返ると、あれはどう見ても「殺した」だったとしか言いようがない。 *** 小学生の頃、クラスの中で浮いていた。 暴力を振るうタイプではなかったけれど、いつも口が悪くて、教師に盾突いて、家では親に向かってドアを思い切り閉めて歩く子どもだった。 問題は、そのイライラの行き先を、自分より弱いものに向けることを覚えたことだった。 公園の隅で、痩せた三毛猫を拾った。 最初は、ただ、何かを拾った、というだけのことだった。 雨上がりで地面はぬかるん