「正月だから」と連れ合いがカニを買ってきた。 冷凍。800gで5000円。 冷蔵庫で半日解凍させ、数の子やローストビーフ、鰹のたたきと一緒に食卓に並べる。ちょっと気圧されるくらい豪勢な夕飯である。朝からもうビールは6缶飲んでいるし、700円で売っていたドイツの甘いワインも空けた。コロナ禍以降、正月に実家に帰省するのはやめたからとても気が楽。電話口の「まあそのうち帰るわ」で何となく済ませられる。 連れ合いは早速カニを手に取り殻を剥き始めた。私もカニに手を伸ばそうとすると「いいよいいよ」と制しながら、私の口にカニの剥き身を放り込む。カニってこんな美味かったのか、と驚くくらい美味い。 「美味しい?」 「超美味しい」 私の言葉を聞いて連れ合いもパクリとカニを食べる。 「うわ、美味しいな〜。やっぱカニってすごいわ」 そう言いながらまたカニの剥き身を私へよこす。 「なに?全部剥いてくれるの?」 「全部