英文でのちょっとしたノウハウ。文末には、スペースを二つ入れるといい。メリットは文末の区切りが見易くなること。つまり、センテンスが見え易くなる。
文末のスペース
英文は単語の区切りにスペースを一つ入れる。これは常識。けれど、文末だけは (例外的に)、スペースを二つ入れるようにする。つまり、文末のピリオド (.) 、クエスチョン・マーク (?)、そしてエクスクラメーション・マーク (!) の後にはスペースを余分に一つ足すようにする。カンマ (,)、コロン (:)、セミコロン (;) の後ろには、通常通りスペースは一つだけにする。
こうすると、センテンスの終わりに余分なスペースが加わることで、見栄えが良くなり、どこが文章の終わりかが見易くなる。
少し例を書いてみませう。まず、文末のスペースが一つだけの場合。
Mr. Sherlock Holmes, who was usually very late in the mornings,
save upon those not infrequent occasions when he was up all night,
was seated at the breakfast table. I stood upon the hearth-rug
and picked up the stick which our visitor had left behind him the
night before. It was a fine, thick piece of wood, bulbous-headed,
of the sort which is known as a "Penang lawyer." Just under the
head was a broad silver band nearly an inch across. "To James
Mortimer, M.R.C.S., from his friends of the C.C.H.," was engraved
upon it, with the date "1884." It was just such a stick as the
old-fashioned family practitioner used to carry--dignified, solid,
and reassuring.
読み易いかしらん。
同じ文章を、文末にスペースを二つ入れて書いてみませう。
Mr. Sherlock Holmes, who was usually very late in the mornings,
save upon those not infrequent occasions when he was up all night,
was seated at the breakfast table. I stood upon the hearth-rug
and picked up the stick which our visitor had left behind him the
night before. It was a fine, thick piece of wood, bulbous-headed,
of the sort which is known as a "Penang lawyer." Just under the
head was a broad silver band nearly an inch across. "To James
Mortimer, M.R.C.S., from his friends of the C.C.H.," was engraved
upon it, with the date "1884." It was just such a stick as the
old-fashioned family practitioner used to carry--dignified, solid,
and reassuring.
どうです。文末にスペースが二つある方が読み易くないですか?
上の文章例にあるやうに、省略語を表すピリオド (Mr. や C.C.H.) の後にはスペースを二つ入れない。あくまで、文末に対してスペースを二つ入れる。
ノンフレンチ・スペーシング
組版の世界にあって、文末のスペースを広めに取る規則を「ノンフレンチ・スペーシング」という。一方、文末のスペースを単語間と同じ広さに取る規則を「フレンチ・スペーシング」という。お察しの通り、フランスでは、フレンチ・スペーシングが基本。英米ではノンフレンチ・スペーシングが採用されている。
タイプライターの世界では、「多少」広めのスペースを取ることが出来ないため、スペースを二回打つという代替案を採っていた。
今回のノウハウは、タイプライターで使われていたアイデアをコンピューターに適用したもの。海外の人とやり取りすると、時々このノウハウを使ってる人を目にする。
HTML
HTML では複数のスペースは、一つのスペースと見なされてしまうので、「文末の二つスペース」を入れる意味はない。けれど、編集中の文章を読み易くする分には、十分効果的だと思う。
Emacs
Emacs では、M-e (M-x forward-sentence) や M-a (M-x backward-sentence) といった命令が、「文末に 2 つスペースを置く」ことを前提にしている。従って、Emacs は Mr. といった省略用のピリオドを文末と誤認識しない! Emacs で英文を書いているなら、是非文末にスペースを二つ入れる習慣をつけませう!
あとがき
この記事は、H & A さんのエントリーに影響を受けて書いた。よければ、こちらのエントリーもお読み下さいませ: