2025-09-28

腐女子共が今日も群れをなして移動する

朝の光がホームを柔らかく照らし始める頃、

イヤホンからBLボイスドラマの甘い台詞漏れ

頬の奥で小さなときめきが震え始める。

そこに集うのは、恋する言葉妄想を胸に秘めた――腐女子共――である

改札で互いの「推しカプ」缶バッジさりげなく見せ合い、無言の承認を交わす。

それはまるで暗号めいた合図。

淡い蛍光灯の下で、胸ポケットからさりげなくしのばせたコピー本の角がちらりと覗く。

エスカレーターを降りると、群れは自然手荷物を揺らしながら足並みをそろえる。

バッグの外ポケットには色違いキーホルダーが揺れ、隣の誰かがこっそり呟く。

「あの新刊、表紙だけで鼻血ブーだよね…」

すると小さな笑い声が一斉に広がり、空気がふわりと甘くなる。

地下鉄車内では、スマホ画面を互いにちら見しながら、艶やかな二次創作イラストの断片をシェアする。

視線が交差した瞬間、心の中で「それな!」と叫ぶ熱狂共鳴が走り、指先が軽く震える。

目的地へ近づき、会場の扉が見えると、彼女たちの背筋がぴんと伸びる。

薄暗い通路の先に広がる同人誌小宇宙は、まるで自分だけの聖域。

棚に並んだコピー本の山が、胸の奥に眠る無数の妄想をそっと呼び覚ます

イベント開始のアナウンスとともに、扉の向こうでは同人誌の聖域が静かに迎え入れる。

棚に並んだコピー本の山が、再びページをめくる手を震わせ、甘くほろ苦い余韻を胸に刻む。

そして今日もまた、腐女子共は群れをなしてその扉をくぐり、推し息遣いを胸に抱えながら、自分たちだけの物語を追い求めてゆく。

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