岳樺とは? わかりやすく解説

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だけ‐かんば【×樺】

読み方:だけかんば

カバノキ科落葉高木高山北地にみられ、樹皮淡褐色ではげやすい。5月ごろ、雄花雌花がつく。草紙樺(そうしかんば)。


岳樺

読み方:ダケカンバ(dakekanba)

カバノキ科落葉喬木


だけかんば (岳樺)

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岳樺

読み方:ダケカンバ(dakekanba), タケカンバ(takekanba)

カバノキ科落葉高木高山植物

学名 Betula ermanii


ダケカンバ

(岳樺 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 14:51 UTC 版)

ダケカンバ
ダケカンバ林 (北岳、2009年8月撮影)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ブナ目 Fagales
: カバノキ科 Betulaceae
: カバノキ属 Betula
: ダケカンバ B. ermanii
学名
Betula ermanii Cham. (1831)[1]
シノニム
和名
ダケカンバ、ソウシカンバ、エゾノダケカンバ、オオダケカンバ、コバノダケカンバ、キレハダケカンバ、マルミノダケカンバ[1]
英名
Erman's Birch
変種品種
  • var. ermanii
    • f. corticosa (Nakai) Sugim. (1961) アツハダカンバ(アツカワダケカンバ)[8]
  • var. saitoana (Nakai) Hatus. (1934) チャボダケカンバ(サイトウカンバ)[9]
  • var. subcordata (Regel) Koidz. (1913) アカカンバ(ナンタイカンバ)[10]

ダケカンバ(岳樺[11]学名: Betula ermanii)は、カバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹である。

名称

和名のダケカンバは、漢字で「岳樺」と書き、シラカンバよりも山岳のずっと高いところに生えることよる[12]。中国名も「岳樺」という[1]。別名は数多く、その一つにソウシカンバがあり、剥がした樹皮に草紙のように文字が書けることに由来する[11]。山岳で樹形が曲がりくねっているのは「踊り樺」などとよぶこともある[12]。その他同種の別名として、エゾノダケカンバ[1]、オオダケカンバ[1]、コバノダケカンバ[1]、キレハダケカンバ[1]、マルミノダケカンバ[1]などがある。

分布・生育地

日本千島列島サハリン[13]朝鮮半島[13]中国東北部[14]内蒙古[14]ロシア沿海州カムチャツカ[14]などに広く分布する。日本では、北海道本州奈良県福井県岐阜県中部地方以北)、四国愛媛県高知県徳島県)の亜高山帯に生える[11][14][15]。北海道東部太平洋岸の海岸段丘では、夏でも低温で霧がかかる条件下で、ダケカンバ林がよく発達する[12]

高山や北国の山地など寒冷地に生え[11]、シラカンバよりも更に高い高度に分布する[13]。よく針葉樹林の中に混生するが[14]、亜高山帯の上部、森林限界近くではしばしば純林に近いダケカンバ林となる[14][注 1]。また、森林限界を超えても、ハイマツの中に混生している例もある。

形態・生態

落葉広葉樹高木で、普通は樹高10 - 30メートル (m) [13][11]、大きいものは30 mにも達する一方、森林限界近辺では低木状となり、横向きに寝る[11]。積雪や風の影響で、ねじ曲がったような樹形のものが多い[13][15]。樹皮は灰褐色から淡褐色で、表面は白っぽいが紙状に薄く横に剥がれると褐色が濃くなる[13][11][14][15]。若木の樹皮は紫褐色[15]。若い枝は栗褐色で皮目と腺点があり、短枝が出る[15]。老木になると、樹皮は縦に裂ける[15]

は長さ5 - 10センチメートル (cm) のやや長い三角状卵形から広卵形である[11]葉脈は7 - 12対でシラカンバ(5 - 8対)よりも多い[12][16][17]。秋は黄葉し、きれいな黄色に染まる[16]。落ち葉はすぐに褐色になりはじめる[16]

花期は5 - 6月[13]雌雄同株[11]。雄花序は長さ5 - 7 cmの動物の尾状に下垂し、黄褐色をしている[11]。雌花序は長さ2 - 3.5 cmの緑色の短円柱形で、直立する[11]。果期は9 - 10月ごろ[13]。果穂は上向きにつき、翌年まで残る[11]。種子には翼があり、風に頼って散布される[14]

冬芽は、枝や短枝の先端か枝側面に互生し、雄花序を除いて芽鱗に包まれている[15]。雄花序は裸芽で、枝先に2 - 3個つく[15]。冬芽わきにある葉痕は、三角形で維管束痕は3個ある[15]

シラカンバ(シラカバ、白樺)とよく似ているが、樹皮がシラカンバよりもかなり赤茶色がかっている点[15]、葉にやや光沢がある点(シラカンバの葉には光沢がない)、果穂が上向きにつく点[15][17]で区別できる。

明るい場所に生え成長が早いこと、森林が何らかの理由で破壊された後に真っ先に生える木であること、などの特徴はシラカンバと共通する。種子についている翼はシラカンバのものよりも小さく、種子の飛距離ではシラカンバには及ばないが、耐陰性ではシラカンバよりも強いため、針葉樹林内でも小さな光があれば生育できる[14]。また、一度根付いた場所では萌芽更新を行って、生存競争で生き延びるようにしている[14]

利用

樹皮は容易に燃え、天然の着火剤としても使われる。

北海道では、道産木材として注目され、特にバットの材料に利用する動きがある。

変種

  • アツハダカンバ(別名:アツカワダケカンバ、学名: Betula ermanii Cham. f. corticosa (Nakai) Sugim.[8]
  • チャボダケカンバ(別名:サイトウカンバ、学名: Betula ermanii Cham. var. saitoana (Nakai) Hatus.[9]

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ ダケカンバのように、山岳の針葉樹林帯のさらに上部で群落を作ってできる林のことを「上部広葉樹林」という[12][14]

出典

  1. ^ a b c d e f g h 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. ダケカンバ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. incisa Koidz. ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. communis Koidz. ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. ganjuensis (Koidz.) Nakai ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ganjuensis Koidz. ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. subglobosa Miyabe et Tatew. ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. parvifolia Koidz. ダケカンバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  8. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. f. corticosa (Nakai) Sugim. アツハダカンバ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  9. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. saitoana (Nakai) Hatus. チャボダケカンバ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  10. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Betula ermanii Cham. var. subcordata (Regel) Koidz. アカカンバ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月27日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編 2009, p. 158.
  12. ^ a b c d e 辻井達一 1995, p. 88.
  13. ^ a b c d e f g h 平野隆久監修 1997, p. 163.
  14. ^ a b c d e f g h i j k 田中潔 2011, p. 130.
  15. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 132.
  16. ^ a b c 林将之 2008, p. 17.
  17. ^ a b 長谷川哲雄 2014, p. 139.

参考文献


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