いかん‐そく〔ヰクワン‐〕【維管束】
維管束
維管束
維管束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 06:34 UTC 版)
トリメロフィトン類より基部に分岐した群と考えられるリニア類では、原生木部が茎の中心にあり、そこから外周に向けて放射状に後生木部が形成される心原型原生中心柱と呼ばれる維管束(中心柱)を持っていた。トリメロフィトン類では、背が高くなり茎が太くなるのと並行し、中心柱が放射状に複数の腕を出して伸び、心原型放射原生中心柱となった。これに対し、小葉類の祖先と考えられているゾステロフィルム植物では、リニア類のもつ心原型原生中心柱が外原型の原生中心柱になり、のちにアステロキシロンなどの絶滅小葉類で放射状となった。大葉シダ植物の系統に繫がるトリメロフィトン類では、腕状に伸びている中心柱の原生木部が中央部から消失し、腕の遠位端部分にのみ残り、中原型の放射原生中心柱となった。十字型だった原生木部が大葉シダ植物では中心柱の辺縁にネックレス様に配列するため、大葉シダ植物は monilophytes(monīle 首飾 + φυτά 植物)と呼ばれる。 トクサ類では、絶滅群であるスフェノフィルム類およびロボク科で木質植物と同様に両面維管束形成層を持つ。そのため、トクサ類の共通祖先で両面維管束形成層を獲得した、もしくは大葉植物(木質植物 + 大葉シダ植物)の共通祖先で両面維管束形成層を獲得し、トクサ類以外の大葉シダ植物で消失した可能性がある。大葉シダ植物の共通祖先では中原型放射原生中心柱'だったものが、スフェノフィルム類では外原型の3ヶ所の原生木部の内側に後生木部が形成されるようになり、現生のトクサ科とロボク科の共通祖先で原生木部が中原型から内原型に進化し、茎の中央に髄腔が、原生木部周辺に通水道が形成されるようになった。 トリメロフィトン類では茎の中心が木部で占められていたが、トクサ目および残りの大葉シダ植物の共通祖先で茎の中央部が髄細胞に分化するようになった。髄細胞は柔細胞であることが多いが、厚壁細胞であることもある。ハナワラビ類を除く現生の大葉シダ植物では維管束形成層が進化せず、二次木部を形成しないため、髄が発達することで茎が太くなり、植物体が大きくなるようになったと考えられる。大葉シダ植物では、葉跡(茎から葉に繫がる維管束)の上側、一次木部細胞に接して柔細胞が形成され、髄と皮層を繋ぐため、葉跡の上に葉隙 leaf gapが形成される。後生木部の間の維管束間細胞が順次、後生木部に分化し、隣接する木部が繋がるが、茎の中央部(髄)と葉跡の向軸側の細胞(葉隙)は柔細胞に分化することで木部全体が管状になるため、葉隙のできる部分に穴が開いたように見える。匍匐性の茎などで葉間が長い場合は後生木部が管状になり、管状中心柱と呼ばれるが、葉間が短く、茎の維管束に入る葉跡が多くなると葉隙が増え網目状になるため網状中心柱と呼ばれる。なお、被子植物では葉隙と同様の空間を空隙 lacunaと呼ぶが、被子植物では葉跡が葉原基から求基的に伸長するのに対し、大葉シダ植物では小葉植物と同様に茎から葉原基に向かって求頂的に伸長するため、別のものであると考えられる。
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維管束
「維管束」の例文・使い方・用例・文例
- 維管束のになり体液を循環させる血管を持つ
- 維管束
- 血液が充満し、勃起する維管束組織
- かつての分類:維管束のある植物からなり、種子植物と同時にシダやその仲間を含む
- 本物の根というよりは、仮の根によって特徴付けられる花のない植物の分類で、維管束組織をほとんど持たない、またはまったく組織化されていない維管束組織を持っており、配偶子形成と胞子形成の間の世代交代を示す特徴がある
- 種子を運ばない維管束植物をすべて含んでいること:シダ、ツクシ、クラブモスおよびマツバラン
- 維管束組織を持ち、胞子で繁殖する植物
- 根茎から出る本当の根と上方にまっすぐ伸びる葉を有している、花と種をつけない多数の維管束植物の総称
- 維管束系を持っている緑色植物:シダ、裸子植物、被子植物
- 維管束組織のない有機体:例えば藻類、地衣類、菌類、苔
- 維管束植物の軸にある、通常円筒型の中央維管束部分
- ほとんどの維管束植物における、二次成長に関わる木質部と篩部の間の組織の単一細胞の形成層
- 本来は木部および篩部から成る、高等植物の茎および葉の維管束系の繊維の集まり
- 葉または他の植物器官の通道組織と支持組織の分枝状組織を形成する維管束または肋
- 維管束から切り離された維管束組織のシート
- 空中の若枝と根茎に分かれた二叉の枝分かれした胞子体があり、真性の根がない下等維管束植物
- ヨーロッパおよびカナダ東部の古生代の二叉分岐植物で、最古の維管束植物も含まれる
- 維管束陸上植物類の最も古い形態の一つであると考えられてきたデヴォンの化石植物
- デボン紀以来に存在する低い維管束植物
- ヒカゲノカズラ科と同一の広がりをもつ下等の維管束植物
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