劣等感
「劣等感」とは、自信欠如感・不安感・無力感を意味する表現である。
「劣等感」とは・「劣等感」の意味
「劣等感」とは、自信欠如感・自己否定感・不安感・無力感を意味する表現である。嫉妬や卑屈、自虐的な感情も劣等感の一つであり、具体的には、自分自身の社会的地位、容姿、成績、財産、性格などを他者、もしくは理想と比較して劣っていると感じることだ。「劣等」とは、等級・レベルなどが平均水準より劣っているという意味があり、さらに劣っている場合の表現は「劣悪」だ。英語で表現する場合は「complex(コンプレックス)」が該当する。劣等感を抱いている人の具体例には、自分を卑下する言動が多い、わずかな失敗でも落ち込みやすい、視野が狭くなっているなどが挙げられる。劣等感が極端にエスカレートすると感情が不安定になりやすく、うつなどの精神的疾患につながる恐れがある。しかし、劣等感を抱いているか否かは案外分かりにくく、表面にほとんど出さない人も少なくない。そのため、周囲がどんな感じで行動・対応して良いか判断しにくい感情でもあるのだ。
劣等感の同義語には、敗北感・挫折感・劣勢感・劣後感などがあり、対義語は優越感である。優越感とは、自分が他者より優れているという認識から生じた自己肯定感のことで、1990年代初頭にオーストラリアの心理学者・アルフレッドアドラー氏が提唱した言語である。ちなみに、優越感とは劣等感を抱いた経験があるからこそ生じる感情なので、優越感と劣等感は表裏一体であるというのが通説だ。
「劣等感」の熟語・言い回し
「劣等感」の熟語・言い回しには、劣等感の強い女、劣等感が強すぎる、劣等感を抱く、深刻な劣等感などがある。劣等感の強い女とは
劣等感の強い女とは、自分を他の女性と比較することが多く、常に気持ちが落ち込みがちになる女性のことだ。逆に、攻撃的になる、または苛立ちやすくなるというケースもある。劣等感が強い女には、完璧主義者の女性、またはプライドの高い女性が多いといわれている。
劣等感が強すぎるとは
劣等感が強すぎるとは、自己肯定感が極端に低くなること、自己嫌悪に陥いることである。劣等感が強すぎると、自己否定感を補うために他者に対してマウンティングする、見下すなどの態度を示すケースも見られる。
劣等感を感じるとは
劣等感を感じるとは、他の人と比較して自分が劣っていると思う感情のことだ。ちなみに、劣等感を感じるという表現は「感」という言葉が重複しているので、劣等感を抱く・劣等感を持つという表現の方がふさわしい。
一緒にいると劣等感を感じるとは
一緒にいると劣等感を感じるとは、一緒にいることで自信を失ってしまう、もしくは自分を卑下してしまうという感情のことだ。例えば、すばらしい経歴や肩書を持った相手と一緒にいると、何となく自分自身が劣っているように感じるときなどが挙げられる。
劣等感を抱くとは
劣等感を抱くとは、自分が他の人より劣っていると感じることだ。類義語には、劣等感を覚える、劣等感が生じるなどがある。
深刻な劣等感とは
深刻な劣等感とは、自己否定感が強すぎるため日常生活に支障を及ぼす状態である。具体的には、うつ病などの精神的疾患、過敏性大腸炎などの肉体的疾患を伴う状態が該当する。
「劣等感」の使い方・例文
「劣等感」の使い方・例文は、「私は劣等感が強いので、大勢の前で話すのが苦手だ」、「優越感が強い人物は、劣等感が強い人物でもある」「劣等感をバネにして、人並み以上の成功を収めた」「彼女は劣等感の塊なので、私の助言を聞き入れることができない」などがある。その他には、「私の友人はとても美しいので、隣にいると劣等感を抱く」、「友人は一気に成績がアップしたので、私は悔しさと共に劣等感を抱いた」、「失敗を恐れずに行動して、劣等感を克服したい」、「劣等感が強い人との会話は、何となく疲れてしまう」、「劣等感は合理的に処理できない感情だ」、「劣等感を強く持っていたために、体調面に不調が生じた」なども挙げられる。
れっとう‐かん【劣等感】
読み方:れっとうかん
劣等感
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 03:24 UTC 版)
劣等感(れっとうかん、英: Inferiority complex)は、自分が他人に劣っていると感じること。劣後感(れつごかん)ともいう。強烈な不平等感を持つ人々を記述するために使用される心理学用語であり、それによって多くの場合、極端な内気、自己隔離、社会的従順などが発生する。劣等感はしばしば、ある人がすべての他人よりも何らかの形で不足している、または劣っているという信念から生じる[1] 。
精神分析学の用語としては、ジークムント・フロイトが自著で用いたのが初出で、後に同僚のカール・ユングの著作でも用いられた。古典アドラー心理学の創立者アルフレッド・アドラーは、多くの神経症はこの劣等感を過剰に埋め合わせようとすることにその原因があると考えた。
日本では、一般的に誤ってコンプレックスを単に劣後感を指して用いられることがあるが、心理学用語としてのコンプレックスは、無意識下に抑圧され、固着され、ときに強い感情を誘発する観念の複合体(complex)を指すのであり、劣等感は正しくは「Inferiority complex(インフェリオリティ コンプレックス)」である[2][3]。
概要
これは主に人間の心(精神)に発生する感覚である。人間は成長の過程で自我を発達させるが、この段階で他人との競争意識が生まれ、その競争面での挫折の結果が劣後感とみなされる。劣後感はこれを抱く人を憂鬱(暗く沈んだ気持ち)にさせるが、同時に克服することで更なる展望を生む。多くの場合、児童や青少年は様々な劣後感を抱いている。しかしそれらは成長途上における苦しみであるといえる。
アルフレッド・アドラーによれば劣等感は、子供の頃の成長環境(たとえば兄弟と比較される)、身体的および精神的な制限、社会的差別の経験(たとえば人種、経済状況、性別による機会不平等)によって引き起こされる可能性があるという[4] 。
関連項目
脚注
- ^ “APA Dictionary of Psychology” (英語). dictionary.apa.org. アメリカ心理学会. 2020年11月12日閲覧。
- ^ コトバンク - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 コンプレックス complex
- ^ デジタル大辞泉の解説 インフェリオリティー‐コンプレックス(inferiority complex)
- ^ “Alfred Adler - Individual Psychology | Simply Psychology”. www.simplypsychology.org. 2020年7月21日閲覧。
- ^ コトバンク
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