わくわく
「わくわく」とは、嬉しい・楽しいことが起きると期待して興奮し、心を躍らせ、心が落ち着かないさまを表現する語。「わくわくする」「(胸を)わくわくさせて」のように、動詞「する」(の活用形)を伴う形で用いられることが多い。
昨今ではもっぱら「期待する」「心待ちにする」様子を叙述する表現として用いられるが、かつては「恐怖や不安で心が騒ぎ、落ち着かないさま」を指す意味でも用いられた。
太宰治は短編「市井喧争」の中で「私は恐ろしく、からだが、わくわく震えた。」と叙述している。また、太宰は「新釈諸国噺」の中では「うれしさで、わくわくして、酒を飲みたくなった」とも叙述している。
わくわくの語源
「わくわく」という表現は擬態語の一種といえる。擬態語は、物事の様子やそこから受ける感じなどを音声的に言い表す言葉である。たとえば「すべすべ」「にやにや」「なよなよ」なども擬態語である。擬態語の中には、動詞や形容動詞の語幹を反復(畳語)させて表現していると解釈可能な語が少なくない。たとえば「すべすべ」は「滑らか(すべらか)」に通じ、「にやにや」は「若気る(にやける)」に通じ、「なよなよ」は「なよやか」に通じる語と解釈しうる。「どきどき」は「動悸」に、「うきうき」は「浮き」に通じる。そして「わくわく」は「湧く」に通じる語彙と解釈しうる。
「湧く」には「感情や発想が生じる」「物事が次々と起こる」といった意味がある。
なお、品詞としては、「わくわく」は「副詞」に該当する。擬態語全般が基本的に副詞として扱われる。
わくわくの用法・用例
- 心がわくわくする海賊たちの冒険活劇
- 冒険ってワクワクするよね
- こんなにわくわくする話はそうそうないよね
- ワクワクドキドキの洞窟探検ツアー
- 前夜はわくわくして中々寝付けなかった
- 胸をワクワクさせて現地へ向かった
- わくわく感がすごい
「わくわく」と「どきどき」の違い
「わくわく」と「どきどき」は意味や使い所に共通する部分が多い。「わくわくドキドキ」のように併置して用いられることも多い。「どきどき」は「動悸」を示唆する語であり、感情が高まり鼓動が早まるさまを指す表現である。感情の高まる要因は特に限定されず、恐怖・不安・期待・驚き・羞恥・緊張、等々、あらゆる場面で「どきどき-する」という表現が使える。
「わくわく」は(現代の用法においては)もっぱら期待や歓喜の予感といったポジティブな感情について用いられる。そして、あくまでも感情(の昂り)を叙述するという抽象性の高い語彙である。
「どきどき」は期待のようなポジティブな感情についても、恐怖のようなネガティブな感情についても用いられる。そして、感情の昂りに起因する身体的な変化を叙述する、ある意味で具体性の高い語彙といえる。
「わくわく」と「どきどき」は共通点もあれば相違点もある。「ワクワクしてドキドキする」という風に並べて使えば、期待や歓喜による胸の高鳴りが的確に表現できるといえる。ただし、くどい表現になりがちではある。
「わくわく」の類語
「わくわく」と意味の似た言葉としては、「どきどき」および「うきうき」、および「ワクテカ」、文脈によっては「そわそわ」や「うずうず」等、あるいは、擬態語に限らなければ「心躍る」「心が弾む」「胸が高鳴る」「待ち遠しい」といった表現が挙げられる。「わくわく」の対義語
「わくわく」の対極に位置する語彙としては、「不安や恐怖を感じながら事に臨む」という意味で「こわごわ(恐々)」「おそるおそる(恐る恐る)」「びくびく」などの表現が挙げられる。「嬉しい・楽しいことが起きると期待したのに期待が外れた」という意味合いなら「がっくり」「しょんぼり」などが挙げられよう。対義語といえるかどうかは心許ないが。
わく‐わく
ワクワク
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ワクワク(アラビア語: الواق واق、al-Wāqwāq)は、中世アラブ世界で、東方の彼方にあると考えられていた土地である。ワクワク島、ワクワクの国、ワークワーク、ワクワーク、ワーク、ワク、ヴァクヴァク島、幸福の島などとも呼ばれる。
実際の場所としては複数の説がある(後述)[1]。
伝承
アラビア語およびペルシア語の地理書では、「ワークワーク」(الواق واق、al-Wāqwāq)ないし「ワクワーク」(الوق واق、al-Waqwāq)と呼ばれる地域がたびたび言及されている。
ワクワクに関する現存最古の文献は、9世紀半ばに著されたイブン・フルダーズベのアラビア語最古の地誌『諸道と諸国の書』(アラビア語: كتاب المسالك والممالك / Kitāb al-Masālik w’al-Mamālik、『諸道諸国誌』とも)、およびイスタフリーの同名の地理書『諸道と諸国の書』(Kitāb al-Masālik wa al-mamālik)である[1]。
それによると、ワクワクはスィーン(al-Ṣīn、支那 = 中国)の東方にある。黄金に富み、犬の鎖や猿の首輪、衣服まで黄金でできている[2]。また黒檀(実際はインド原産)を産し、黄金と黒檀を輸出している。さらに、シーラ (Shīlā) という国がカーンスー(Qānṣū、杭州か揚州)の沖にあり、やはり黄金に富むという[3]。
10世紀のブズルグ・イブン・シャフリヤールによる『インドの不思議』(Kitāb ‘Ajā'ib al-Hind 『インド神秘の書』とも)にもワクワクが登場する。ワクワクには「ワクワクの木」という樹木があり、果実は人間の形をしているが、ウシャル Calotropis procera のように中空で、収穫するとしぼんでしまう。サマンダル (samandal) という鳩大の鳥がおり、火の中に入っても死なず、土だけを食べて何日も生きることができる。また、イスラム暦334年(西暦945年または946年)にワクワクの船団がカンバルフ (Qanbaluh、ザンジバルまたはマダガスカルの町[4]。もしくはタンザニアのペンバ島[5])などアフリカ東岸各地を襲撃した事件が語られている。
13世紀後半のザカリーヤー・カズウィーニーの『諸国の遺跡』(Kitāb āthār al-bilād wa-al-akhbār al-ʿibād)では、ワクワクの木には女性の形をした実が生り、髪の毛で枝からぶら下がっている。熟するとワークワークと啼き、ワクワクの人々はそれを凶兆と考えている[6]。
『千夜一夜物語』の1エピソード(バートン版第778–831夜「バッソラーのハサン」[7]、マルドリュス版第576–615夜「ハサン・アル・バスリの冒険」)にはワークの島々が登場する。この話は日本の羽衣伝説に似た設定[8]で、ワークの王女がハサンに衣を隠されて帰れなくなりハサンの妻となることから物語が始まる。ワークは7つの島からなり、住民はほとんどが女性であり[9]、人間そっくりの実をつけワークワークと啼く木が生えていることがその名の由来であると書かれている[4]。
多くの伝承ではワクワクは中国の東方の島とされるが、イドリースィーが1154年に描いた地図では、スィーン(中国)の南方にシーラの島々が、そのさらに南にワクワクがあり、ワクワクはアフリカと陸続きとなっている。
比定
イブン・フルダーズベの『諸道と諸国の書』をヨーロッパに紹介したオランダのミヒール・ヤン・ド・フーイェ (Michael Jan de Goeje) は、広東語で日本の古名「倭国(わこく)」の発音 wo-kwok が、ワクワクの語源だとした。また、シーラは新羅(しんら/しらぎ)だとした。それに対しフランスのガブリエル・フェランは、ワクワクはスマトラとマダガスカルだとした[1][10]。
このほか、オットー・ダール (Otto Dahl) によるボルネオ説、的場節子によるフィリピン説などがある[10]。
倭国説はガブリエル・フェランが論文で批判しているが、日本では批判説の紹介が遅かったことから浸透しており[11]、一般の書籍[12][13]や地理関係の啓蒙書にも記載されている[11]。
7世紀にアラブ勢力によって、ペルシャが侵略され、イスラーム教がペルシャに広まると、10世紀から11世紀頃にペルシャの熱心なゾロアスター教徒の一部がペルシャを離れ、伝説のワクワク(島)として知られていたマダガスカル島に独自の入植地を築いた。
脚注
- ^ a b c 山口博 2006, p. 191.
- ^ 宮崎正勝『ジパング伝説』中公新書、2000年、172頁。
- ^ 山口博 2006, p. 192.
- ^ a b 長谷川亮一. “金銀島/【第2章】ワークワークの不思議な樹”. boumurou.world.coocan.jp. 2023年6月12日閲覧。
- ^ 家島彦一「ブズルク・ブン・シャフリヤール『インド奇談集』に関する新資料」『アジア・アフリカ言語文化研究』第59巻、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2000年3月、19頁、doi:10.15026/21867、hdl:10108/21867、ISSN 0387-2807、CRID 1390295658309627264、2023年7月7日閲覧。
- ^ エドワード ヰリヤム レーン & 森田草平 1925, p. 488.
- ^ リチャード・バートン & 大場正史 2015, p. 10.
- ^ 矢島文夫 1992, p. 46.
- ^ 西村真次 1927, p. 344.
- ^ a b 的場節子(1999).
- ^ a b 的場節子(1999), p. 1
- ^ 『ワンピース最終研究7 うねりだす時代が呼び起こす未来予報図』笠倉出版社、2015年、102頁。ISBN 9784773088168 。
- ^ 山口博『平安貴族のシルクロード』角川学芸出版〈角川選書 397〉、2006年9月1日、191頁。ISBN 9784047033979。
参考文献
- ブズルグ・イブン・シャフリヤール著、藤本勝次・福原信義訳注『インドの不思議』関西大学出版部、1998年、ISBN 978-4-87354-053-5
- 家島彦一訳注『中国とインドの諸情報』平凡社、東洋文庫全2巻(東洋文庫766, 769)、2007年9月.12月刊 (第一の書・著者不明、第二の書・スィーラーフ出身のアブー・ザイド・アル=ハサン著述) ISBN 978-4-58280-766-0, ISBN 978-4-58280-769-1
- 長谷川亮一『ワークワークの不思議な樹』
- 的場節子 (1999-09). “南海のワクワク,シーラと古地図に見る極東黄金島再考” (PDF). 歴史地理学 (歴史地理学会) 41 (4): 1-20. ISSN 03887464. CRID 1520853833515555712 .
- エドワード ヰリヤム レーン; 森田草平 (1925). 千一夜物語. 国民文庫刊行会. p. 488. OCLC 835591647
- 西村真次『神話學概論』早稲田大学出版部〈文化科學叢書〉、1927年、343頁。doi:10.11501/1179524。全国書誌番号:47027165 。
- 矢島文夫 (1992). アラビアン・ナイト99の謎. PHP研究所. p. 49. ISBN 9784569564364
- 山口博 (2006). 平安貴族のシルクロード. 角川学芸出版. p. 191. ISBN 9784047033979
- リチャード・バートン; 大場正史 (2015). 千夜一夜物語巻6の2. グーテンベルク21. p. 10. ASIN B00U3AJ4T0
関連項目
ワクワク
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トンカミン 声 - 加藤将之 物を作るカミワザを持つプロミン。 バ-ガミン 声 - 久野美咲 ファストフードを作るカミワザを持つプロミン。 ユメミン 声 - 加藤英美里 いい夢を見せるカミワザを持つプロミン。お気に入りのピコピコハンマーを使って対象の夢の中へ入り込める。 マグネミン 声 - 岩瀬周平 磁力を引き起こして、物をくっつけるカミワザを持つプロミン。 プラグミン 声 - 花村怜美 電気を起こすカミワザを持つプロミン。 ボ-トミン 声 - 武藤真子 物を水上に浮かべるカミワザを持つプロミン。 スメルミン 声 - 武藤真子 匂いを出すカミワザを持つプロミン。 レコミン 声 - 冨岡美沙子 録音した音を再生するカミワザを持つプロミン。 マサトがバグダイブミンのバグワザで引きずりこまれ、落ち込んだミュートミンを録音していたマサトの声を聞かせ、励ました。 コロミン 声 - ランズベリー・アーサー モノを転がすカミワザを持つプロミン。 モテミン 声 - 下野紘 対象をモテモテにするカミワザを持つプロミン。 ゲーミン ゲームの腕を上げるカミワザを持つプロミン。作中未登場。
※この「ワクワク」の解説は、「カミワザ・ワンダ」の解説の一部です。
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「ワクワク」の例文・使い方・用例・文例
- 明日のデートのことを思っただけで胸がワクワクしてくる
- 私はとてもワクワクしています。
- 私はあなたをワクワクさせたい。
- でも新しい仕事はワクワクしますね。
- ワクワクした
- 子供の頃、遠足の前の日には、胸がワクワクして眠れなかった。
- そして彼は,「でも,このドキドキ,ワクワクやプレッシャーがたまらない。この感じが勝負の世界に生きることの醍(だい)醐(ご)味(み)。」と笑顔で言い足した。
- 香川選手は「この挑戦を本当に心待ちにしている。プレミアリーグは世界最高のリーグで,マンチェスター・ユナイテッドはとても大きなクラブ。今は僕にとって本当にワクワクする時間で,チームに合流してプレーを始めるのが待ち切れない。」と語った。
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