プロミンとは? わかりやすく解説

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プロミン【promin】

読み方:ぷろみん

サルファ剤一種グルコスルホンのナトリウム塩商標名ハンセン病治療。プロトミン。


プロミン

分子式C24H34N2Na2O18S3
その他の名称グルコスルホン、グルコスルホンナトリウム、SN-166、Glucosulfone、Glucosulfone sodium、1,1'-[Sulfonylbis(4,1-phenyleneimino)]bis[1-deoxy-1-sodiosulfo-D-glucitol]、プロミン、Promin
体系名:1,1'-[スルホニルビス(4,1-フェニレンイミノ)]ビス[1-デオキシ-1-ソジオスルホ-D-グルシトール]


プロミン

名前 Plomin

グルコスルホンナトリウム

(プロミン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/18 09:59 UTC 版)

グルコスルホンナトリウム
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 プロミン
投与経路 静脈注射
識別
PubChem CID: 3481
化学的データ
化学式C24H36N2O18S3
分子量736.7402 g/mol
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グルコスルホンナトリウム (glucosulfone sodium)、商品名プロミン (promin) はスルホン系の医薬品であり、マラリア[1]結核[2]ハンセン病[3]の治療のため開発された。体内でダプソン(4,4'-ジアミノジフェニルスルホン)へと分解して作用する[4]

歴史

プロミンを最初に合成したのは、パーク・デイビス英語版社のエドワード・ティリットソン (Edward Tillitson) とB・F・テュラー (B. F. Tuller) で、1937年8月のことだとされている[5][6]。しかし、パーク・デイビスがこの化合物を合成したことは事実であるものの、実際にはこれが最初ではなかった。

すなわち、1908年にJ・ウィットマン (J. Wittman) とエミール・フロム (Emil Fromm) が種々のスルホン化合物を合成し、その中にはプロミンなどダプソンの誘導体も含まれていた。フロムとウィットマンは、化学的性質などにしか興味を持たなかったため、医薬品としての効果を調べる者は数十年後まで現れなかった[6]

スルホン系の化合物が医薬品として注目を浴びたのは、サルファ剤(スルホンアミド)が細菌による感染症の治療に、著しい効果を持つことが知られるようになってからである。調査は当初思わしい結果を出さなかったが、じきにプロミンやダプソンが、マイコバクテリア感染症に有効なことが明らかになった。これらの薬剤は、マイコバクテリア感染症に対する、初めての確実な治療薬であった[7]

プロミンは、ダプソンよりも安全性の点で優れているとみられたため、メイヨー・クリニックにおいて、モルモットを使った結核治療について、さらなる研究が行われた[8]。またハンセン病と結核は、伴にマイコバクテリウム属の細菌(それぞれらい菌結核菌)によって引き起こされることが既に知られていたことから、アメリカ合衆国ルイジアナ州カーヴィルにあった、国立ハンセン病療養所のガイ・ヘンリー・ファジェットは、パーク・デイビスにプロミンの情報を求めた。彼らはこれに答えて、セントルイス・ワシントン大学医学部のエドマンド・カウドリー (Edmund Cowdry) による、ラットでのハンセン病の研究結果をファジェットに知らせた。

カウドリーが1941年に発表した結果は、成功裏に終わるものであったため、ファジェットはプロミンとアボット・ラボラトリーズによる類似の薬「スルホキソンナトリウム」について、ヒトでの治験開始を決意した。最初の試験は6人の志願者に対して行われ、のちに場所と被験者を増やして繰り返された。副作用が強かったため最初の試験は一時的に停止されたが、プロミンは治療に有効であることが示された[8][9]

この結果は、画期的なものとして世界中に知らされ、ハンセン病につきまとっていた汚辱的な印象(スティグマ)を緩和し、その時代「収容者」として公共の場所から遠ざけられていた、ハンセン病患者の扱いを向上させた[10]

日本では、1948年7月、吉富製薬がプロトミンの商品名で発売している[11]

薬理

プロミンは水溶性であり、熱に強いため加熱殺菌が可能である[12]。静脈注射により投与することができ[12]アンプルの形で供給される[13]

のちに、構造がより単純で、経口投与出来る錠剤の形で投与できるダプソンと比べ、溶解性以外の利点が実質的にないことが明らかにされた。ダプソンに耐性が生じた場合、これはスルホン剤に共通するものであるため、プロミンなど類似の薬剤で代替することはできない[14]

現在では、ハンセン病の治療に使われるのは主に、ダプソンのほかリファンピシンクロファジミンである[15]

出典

  1. ^ Slater, Leo B. (2009). War and Disease: Biomedical Research on Malaria in the Twentieth Century. New Brunswick, NJ: Rutgers University Press. p. 102. ISBN 0-8135-4438-6 
  2. ^ Lilienfeld, David; Schneider, Dona (2011). Public Health: The Development of a Discipline, Volume 2, Twentieth-Century Challenges, vol. 2. New Brunswick, NJ: Rutgers University Press. p. 351. ISBN 0-8135-5009-2 
  3. ^ Faget, G. H.; Pogge, R. C.; Johansen, F. A.; Dinan, J. F.; Prejean, B. M.; Eccles, C. G. (1943). “The Promin Treatment of Leprosy”. Public Health Reports 58: 1729–1741. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2017027/.  Reprint (1966) International Journal of Leprosy 34(3): 298–310.
  4. ^ McDougall, A. C. (1979). “Dapsone”. Clinical and Experimental Dermatology 4 (2): 139–142. PMID 498567. 
  5. ^ Johansen, E. A. (1947). “Current Data on Promin Therapy”. The Star. http://www.fortyandeight.org/storage/The%20Star%20Oct_Dec_2003.pdf.  Reprinted in The Star October-December 2003.
  6. ^ a b Wozel, Gottfried (1989). “The Story of Sulfones in Tropical Medicine and Dermatology”. International Journal of Dermatology 28 (1): 17–21. doi:10.1111/j.1365-4362.1989.tb01301.x. PMID 2645226. 
  7. ^ Desikan, K. V. (2003). “Multi-drug Regimen in Leprosy and its impact on Prevalence of the Disease”. Medical Journal Armed Forces India 59: 2–4. doi:10.1016/S0377-1237(03)80092-8. 
  8. ^ a b Sneader, Walter (2005). Drug Discovery: a History. New York: Wiley. pp. 389–390. ISBN 0-471-89979-8. https://books.google.co.jp/books?id=Cb6BOkj9fK4C&pg=PA389 
  9. ^ Tayman, John (2006). The Colony: The Harrowing True Story of the Exiles of Molokai. New York: Simon and Schuster. p. 252. ISBN 9780743233002. https://books.google.co.jp/books?id=7SXEMMraz0kC&pg=PA252 
  10. ^ “Hope for Lepers”. Time. (1946年12月30日). http://www.time.com/time/printout/0,8816,934821,00.html 2011年7月22日閲覧。 
  11. ^ 岩波書店編集部 編『近代日本総合年表 第四版』岩波書店、2001年11月26日、366頁。ISBN 4-00-022512-X 
  12. ^ a b Singh, Rajbir (2002). Synthetic Drugs. New Delhi: Mittal Publications. p. 291. ISBN 978-81-7099-831-0 
  13. ^ Sehgal, Virendra N. (2004). Clinical Leprosy (4th ed.). New Delhi: Jaypee Brothers Medical Publishers. p. 186. ISBN 81-8061-283-X 
  14. ^ Seth, N. D.; Seth, Vimlesh (2008). Textbook of Pharmacology (3rd ed.). Noida, UP, India: Reed Elsevier India. pp. X-87. ISBN 978-81-312-1158-8. https://books.google.co.jp/books?id=51ozlZRBvQwC 
  15. ^ Raviña, Enrique (2011). The Evolution of Drug Discovery: From Traditional Medicines to Modern Drugs. Weiheim: Wiley-VCH. p. 80. ISBN 978-3-527-32669-3. https://books.google.co.uk/books?id=iDNy0XxGqT8C&pg=PA80&hl=en 

プロミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 10:12 UTC 版)

カミワザ・ワンダ」の記事における「プロミン」の解説

世の中全てのモノ機能させている普段見えないプログラムモンスター。カミワザガジェットを使うと可視化できるようになる

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「プロミン」を含む「カミワザ・ワンダ」の記事については、「カミワザ・ワンダ」の概要を参照ください。

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