宇宙ごみ
別名:宇宙ゴミ、スペースデブリ
英語:space debris
地球の衛星軌道の上を周回している、運用されていない人工物の総称。活動を終えて放棄された人工衛星、制御に失敗して運用不可能となったもの、それらが衝突して生じた破片、などがある。
宇宙ごみの大きさは大小さまざまであるが、いずれも秒速数キロの速度で周回しており、直径数ミリメートル程度の小片、例えば剥がれた塗料などであっても、宇宙船の航行に致命的な損傷を与える可能性がある。そのため、国際宇宙ステーションをはじめとした宇宙活動において宇宙ごみは危険視される。
2012年1月現在、地球の周囲に存在する宇宙ごみの数は数千の単位に上っており、衝突が発生したり衝突回避の措置を取ったりすることが頻繁に発生している。
ちなみに「デブリ」とはガレキやゴミのことであり、大津波などによって海にさらわれた地上の構造物のガレキなどが「津波デブリ」と呼ばれるこもある。
関連サイト:
スペースデブリ対策の研究 - JAXA
NASA Orbital Debris Program Office - NASA(英語)
スペース‐デブリ【space debris】
【スペースデブリ】(すぺーすでぶり)
Space Deblis.(宇宙ゴミ)
地球の周回軌道を回っている人工衛星のうち、何らかの意味ある活動を行っていない物体。
宇宙開発に伴って必然的に発生するもので、その進展に伴って年々数が増えている。
一例として、以下のようなものが該当する。
- 故障したか運用寿命が尽きて、地上との交信が途絶えた人工衛星
- 人工衛星を打ち上げる際に分離されたロケットの部品や燃え残った推進剤
- デブリ同士の衝突によって砕けた破片
- 宇宙船・人工衛星・宇宙ステーションから誤って宇宙に放出された廃棄物
デブリは、秒速1000m以上という極めて速い対地速度で移動しており、微細なデブリでも強大な破壊力を持っている。
衝突すれば直径数ミリでも人工衛星の機能に障害を及ぼし、1cm以上であれば一撃で宇宙船を破壊し得る。
しかも、個々のデブリが全く異なる軌道で動いているため、回収・制御・回避のいずれも非常に難しい。
ほとんどのデブリは重力や摩擦によって高度を落とし、最終的には大気との摩擦熱で燃え尽きる。
しかし、中には隕石のように形を保ったまま落下して地上に衝突する事もある。
スペースデブリ問題は各国の宇宙開発にとって重大な支障であり、対策が急がれている。
比較的大きなデブリに関しては世界共通のデータベースが構築され、常時監視が続けられている。
また、人工衛星とデブリとのニアミスなどの異常事態では関係諸機関に警報が出されている。
関連:スペースガード
スペースデブリ
破片を意味するデブリは宇宙空間で制御不能になった人工物体
「デブリ」というのは、本来は「破片」を意味する言葉です。1957年の人工衛星スプートニク1号以来、人類はこれまでに約5,000個の人工衛星を打ち上げてきました。このうち、運用を停止した衛星など、宇宙空間で制御不能になり、そのまま軌道上を回り続けている人工物体のことを「スペースデブリ」と呼びます(単に「デブリ」ともいいます)。地球のまわりの宇宙空間には、使い終えた衛星本体はもとより、ロケットや衛星がこわれて生じた破片や塗料のかけら、宇宙飛行士が落とした手袋など、さまざまな人工物体が飛び交っています。
衛星との衝突事故などで宇宙の新しい環境問題に
宇宙を漂う人工物体との衝突は、その速度が秒速数kmと高速であるため、地上での衝突と比べると桁ちがいに危険です。1996年、日本の若田光一宇宙飛行士が乗り込んだスペースシャトル・エンデバー号は、打ち上げの際、アメリカの小さな軍事衛星と衝突する可能性があることがわかったため、打ち上げを5分延期しました。また、このミッション(STS-72)で若田宇宙飛行士が回収した日本の宇宙実験室(SFU)には、500個近い衝突痕が残っていました。同じ年の7月には、フランスの小型衛星シリーズがスーツケース大のデブリと衝突し、本体の一部がもぎとられるという事故も起きました。そのため最近では、この問題を宇宙の新しい環境問題としてとらえる動きが広がっています。
観測されたスペースデブリは最近の統計で9,000件近く
スペースデブリは、いったいどのぐらいの数があるのでしょうか。いまのところ正確な数値はわかりませんが、アメリカの機関がまとめた統計によると、1998年末現在、軌道上で観測できたものだけでも9,000件近い人工物体が浮かんでいるようです。そのうちもっとも多いのは破片で、全体の半数近くを占めており、他は、機能しなくなった古い衛星やロケットの上段などです。デブリは、軌道を外れて大気圏に突入すると燃え尽きてしまいますし、太陽の活動が活発になる時期には地球の大気層が膨張するため、やはり落下が促進され、数は減少します。
処理能力以上のゴミを出さないのが最良の解決策
1998年から建設がはじまる国際宇宙ステーションにとっても、デブリは大きな脅威となります。スペースシャトルと同様、直径10cm以上の大型デブリと衝突が予測される場合には、あらかじめ軌道を変更するなどの措置がとられます。
また、基本的なデブリ対策としては、地上のゴミと同じく、自然の処理能力以上のゴミを出さないようにするのが最良の解決策であり、(1)使い残した燃料を出しきって、ロケットや衛星の爆発を防ぎ、破片をまき散らさないこと、(2)部品類を捨てないこと、(3)運用が終了した衛星は、できるだけ早く大気圏に突入させるか、もしくは運用中の衛星のじゃまにならないよう高度が300km以上離れた軌道に移動させる、といった対策がとられています。
スペースデブリ
スペースデブリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 23:35 UTC 版)
スターリンクは、何千もの衛星を軌道に乗せることで長期的なスペースデブリおよび衛星衝突の危険性を生じさせ、ケスラーシンドロームを引き起こす可能性があると批判されている。これに対しスペースXは、ほとんどの衛星は低い高度で打ち上げられており、失敗した衛星は推進力がなくても5年以内に大気圏再突入すると主張している。 計画の初期では、ヨーロッパの衛星と1000分の1の確率(ESAにおける回避行動の基準値の10倍)で衝突する可能性がある衛星をスペースXが動かさなかったため、ニアミスが発生した。スペースXはその後、ESAとスペースXの間で連絡が途絶えていたシステム上の問題を修正した。また、ESAは衛星の衝突回避行動を自動化する技術に投資する予定だと述べた。
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