シュガーダーク 埋められた闇と少女 [★★]
シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫) mebae 角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-28 売り上げランキング : 264 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
えん罪により逮捕された少年ムオルは、人里離れた共同霊園に送られ墓穴を掘る毎日を送っていた。そんなある夜、自らを墓守りと名乗る少女メリアと出逢う。彼女に惹かれていくムオル。だが謎の子供カラスから、ムオルが掘っているの墓穴は、人類の天敵・死なずの怪物“ザ・ダーク”を埋葬するものだと聞かされる! 混乱するムオルは、さらにダークに殺されるメリアを目撃してしまい――!?
初版を買い逃して一ヶ月ちょい。ようやく難民から開放させられた。
さて、涼宮ハルヒ以来実に6年ぶりとなるスニーカー大賞の作品ですが、おもしろかったです。大賞の名に恥ないデキだと思わされましたし、注目されるのもわかります。無駄を一切省いた精錬で緻密な手堅い文章は、まさに純文学そのもの。冒頭から圧倒的な筆力を見せつけられました。
こういう、いわゆる「お固い文章」ってラノベ読者からはあんまり受け入れられ難いもんだし、すぐに飽きられてしまうと個人的には思いますが、この作品はそんな退屈感をまったく感じない。文章を堪能しつつもいつの間にかこのダークな世界観に引き込まれていました。
ストーリー的にはダークファンタジーの世界観でのボーイ・ミーツ・ガール。とある運命を背負った墓守の少女に、少年がどんどん魅力を感じつつ少女を救おうというある種の王道。王道っぽいんだけどあんまり王道呼ばわりしたくないってのが本音。少なくとも個性的で強烈なキャラで物語を引っ張るんじゃなくて、この世界の中でキャラを活かしたいんだなーというのが第一印象。
しかし構成は見事といわざるを得ません。お話がお話だからどんな展開待ち受けているのか予想もつかなかったのだけれど、結構辛い選択だよなこれ。救う道がそれしかないというのはわかるけども、進んでとりたい選択肢じゃないよね。
まあそんな少女を救うお話での、仄暗いけどそんな中で確かな「甘さ(物語的な意味で)」があり、綺麗にまとまっていたと思います。よかったです。というか最後とかベッタベタじゃないですか。
そして気になるのは続刊があるということ。どう続けるんだこれ。
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