幽霊列車とこんぺい糖 メモリー・オブ・リガヤ [★★]
久々に富士ミスの本読んだ気がする。
最近一迅社から出た「
こんぺい糖とか言ってるから最初は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」みたいなのを想像していたけど、読み始めたら雰囲気は似てるようで実は別物だった。でもこういう雰囲気大好きだなー。
幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫) | |
おすすめ平均 透明感 ひまわりが咲く夏の廃線を、球体関節人形をのせた幽霊列車が走る… 絶望と再生を描いた良作 ネガティブな設定に耐えられる人になら。 喪失感 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「うそっ!最悪だ……」
中学二年生の有賀海幸は、7月の焼けつくような日射しの中、思いっきり絶望感を味わっていた。地元のローカル線に飛び込み自殺をするはずが、廃線になっていたから……。
自分に保険金までかけるという海幸の完璧な計画は、変更を余儀なくされてしまう。そんな彼女の前に、突然リガヤと名乗る女子高生が現れた。
タガログ語で“幸せ”を意味する名を持つリガヤは、海幸を廃線の線路の先へと誘う。そこにはポツンと一台の廃棄車両があった――。
「ボクがこいつを『幽霊鉄道』として、甦らせてみせる!」
そう宣言するリガヤとともに、こうして海幸の不思議で先の見えない夏が始まった……。瑞々しく切なく揺れる少女たちのひと夏を描く、青春ファンタスティック・ストーリー登場!!
夏、幽霊列車を再現する少女との出会い――。
電車を使っての投身自殺を考えていたミサチ。だがその鉄道はすでに廃線となっていて、彼女はそれを果たせず、レールの間に不貞寝。気がついたらリガヤと名乗る得体の知れぬ(性格的な意味で)女子高生が目の前にいて、ミサチの自殺を手伝ってあげると言い――。
ミサチの性格がとことん後ろ向き。彼女の母親がアレなこともあって、仕方ないっちゃ仕方ないんだろうけど、だからって死ぬのはいただけないなー。というかダメな母親のために自身に多額の保険金をかけて、それから死ぬって考えられる方がすごいよ。嫌ってたり恨んでたりすれば普通そんなこと思わないけど、ミサチの場合は考え方がひねくれてて難しいよなー。その多額の保険金がミサチの生きた証だってーのが、なんか悲しいよそういうの。
だから、リガヤがいい感じにミサチを振り回してくれてよかったんだと思う。上っ面はすごい素敵な笑顔を見せるけど、本当に表面的な意味での話で、彼女の核心には最初触れなかったし。まあ出てきて幽霊列車を再現するとか言ってる時点でまともとは程遠いとは思ってたけど、まさかあんなことがあったなんて……。
しかしこの二人の関係はなんともこそばゆい。
ミサチは味覚障害なのに、つんけんしつつも作業に没頭するリガヤへ弁当作ってあげるし、リガヤはリガヤでミステリアスな雰囲気を醸し出しつつ、ミサチを翻弄する。圧倒的にミサチが手玉に取られているような感じですが、このやり取りがいいんだよねー。百合百合で無為な会話ほどいいのだよこれが。
でもって真相にたどりつくとリガヤが一気に感情を爆発させはじめた印象。
ミサチに声をかけ、幽霊列車を創作し、そして全ての目的が露になったときはすっごい痛切だった。リガヤもそっちだったのか! みたいな。
けれどそうなったときにはミサチの考えは完全に変わっていて、リガヤを救うために行動を起こしたところは良かったなー。ていうかえらい男前やん彼女。
そしてブーケトスの挿絵と、互いが互いにお嫁さんだなんて言っちゃったところとか悶えちゃったよ! あーもーごろごろごろ!
とても雰囲気が好きで、ガールミーツガールが素敵な一冊でした。オススメです!
うわあホントだ。最近一緒に読んだのでごっちゃになってしまっていたようです。訂正しておきました、ありがとうございます!