レジンキャストミルク4 [★★★]
すかさず上下巻構成の下巻に当たる感想。決戦編。
壮絶な戦いのなか、それらに苦しくも辛勝し、大切なモノを守れたときの温かさが見事。
とにかくずっと蜜のターンだった。けれど蜜の魅力も最大限に顕れていた気がします!
レジンキャストミルク〈4〉 (電撃文庫)
舞鶴蜜が、まだ速見蜜という名前だったころ。表紙の蜜がいい。
蜜に生まれて初めての友達ができる。 その名は、直川君子。
それから2年後、“無限回廊(エターナル・アイドル)” の策略に巻き込まれ、
連れ去られてしまった君子を前にして、蜜がとった行動とは――。
黒の戦装束は、姉妹の絆の証――!
少年漫画らしい、王道展開的な。囚われた存在を取り返すべく、或いは怨敵を抹殺すべく、このステージの人間達はそれぞれの思いを胸に動く。主要人物一人一人に見せ場があってかなり燃える展開でした!
前回は自分の不始末から硝子を失ったことに、機能停止状態みたいな晶でしたが、周りの人間達の温かい(?)言葉によって励まされ再起。でもこの人たちの関係って説明しづらいよな。それなりの信頼関係は築いていると思うのですが、果たしてどうだか。それでも理緒や殊子先輩は晶へ「利用しろ」などと言うし、非常に面白い関係。特に理緒はこんな境遇だからやられるなら徹底的に利用してほしいと言う。それは信頼と置き換えることもできるけど、それでも彼女の半端嫌いは徹底していますね。
まあそんな晶よりも今回は蜜の覚悟と殊子先輩のアンダーゲートオープンがカッコよかったわけで。
何に対しても無関心を貫いていた蜜の痛切な過去編が明かされ、後に君子との触れ合いを通じてだんだん心を開いていくところがいいなぁ。蜜にもこんな場面があったのね。しつこいほどに君子に言い寄られて、だんだんタジタジになってしまう蜜かわいいよ蜜。昔の殊子先輩もどことなく蜜と似通った考え方を持ってそうだったなー。
表紙のゴシックドレスが蜜に相応しい戦闘衣装なんてカッコよすぎです。この中で一番感情的で脆弱で不器用だけれども、健気に接してくれた君子のために全てを背負い込み、自分の命は厭わないで立ち向かっていく姿が素敵すぎる。それほど彼女の決意の強さが顕れてます。
でもって殊子先輩のアンダーゲートオープンもテンション上がったよぅ! でも能力的にはかなりチートだと思ったことは内緒。
ラストシーンは君子のセリフに思わずほろりときてしまいました。でも、以降がさらに厳しい戦いになることうけ合いなので、ちょっと怖いなー。
しかし毎度毎度、合間合間に入るユーモアがたまんない。これが黒一色を回避する緩衝材でもあるし、逆に非日常の凄惨さを助長させるような役割も果たすから不思議。でもこういうクスリとくる会話は絶対あったほうがいいよね。
なんだろうなー、なんでこんな面白く思っちゃうんだろうなー。これかなり人選ぶ作品だと思うのに。
とにかく自分では説明しづらい面白さが詰まってます。超オススメ!
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