

原点回帰ウォーカーズ [★]
ビターマイスウィートでお馴染み、森田季節の学園異能でループモノ。
なんて言ったらいいか分かんないんだけど、一言で言うなら、ものすごくおかしい物語。
これはたぶん読んでみなくちゃ分からない類の物語だと思う。そんなおかしさ。
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おかしな人間ばかりが通う私立御伽坂学園には、当然のようにおかしな事件ばかりが起こる。そんな学園の平和を守るため、日々戦い続ける男・それが山崎章夫だ。
ある時は失踪した天才音楽家の行方を追い、ある時は密室殺人の謎に挑み、またある時は突然美女と化した同級生の秘密に迫り、そしてことごとく“命を落とす”。そう、これらはすべて『彼ら』の陰謀なのだ!
章夫の幼なじみであるアキラは、なんとか章夫の“結末”を変えるべく、学園の三奇人と共に『彼ら』に立ち向かうのだが――。ツッコんだら負けの、<運命ねじ曲げ系>奇天烈学園ファンタジー!!
繰り返すフィクションと奇天烈な謎――。
一言で言えば謎である。読んだ人は分かるけど、まことにへんてこな物語なのです。
とりあえず、ビターマイウィートシリーズとはえらく作風を変えてきたことは明らか。
口絵から「三奇人」とか「十哲」とかいかにもな学園異能モノを想像していましたが、一章から「ん……?」と不思議な気分にさせられます。読者に難解な問題を振っておいて序盤は放置、後から分かるというループモノにはまあつき物な展開ですね。
主人公のアキラが「三奇人」とかいうもう常軌を遥かに逸脱した連中がいるんですが、そいつらと協力して事件(超常現象とも言う)を解決するお話。でもループするたびに一つ一つの事件の犯人が違うってのは以外かもしれない。
キャラがたくさん出てくるけど、だいたいアキラと毅と三奇人と局長くらいが主要人物なのでそいつらを抑えておけばいいかなーと。しかしこの人はキャラの立て方っていうのか、たぶんそういうのとは違うのかもしれないけど、一人一人がかなーりクセの強い人物なので印象に残るんですよね。ビターマイスウィートでも思ったけどキャラの掛け合いはホントに面白いと思うし、森田さんの武器だと思う。
それでもやっぱり「十哲」は多いよなーと思った。たった一冊でそんだけキャラがいればそりゃ影の薄い一人や二人なんて当たり前。まあでもほとんどが事件に絡んでるから、これ以上少なくしてもだめなんだろうなー。まあ続刊あるっぽいので、影の薄いキャラは次回以降がんばってもらうってことで。
ちなみにキャラだったら天ノ下芝蘭が好き。というか一番キャラが濃い。
アキラの幼馴染みが毅がループするたびに殺され、その謎を追う一行ですが解決編もまるで常識に捉われない。しかし、どこか納得させられてしまう不思議。「なんで?」が通用しない世界。いや、ホントこればっかりは説明しづらいのぜ。
いちいちぶっ飛んでるんだけど、でも最後の毅にはカッコいいなーなんて思ってしまった。しかしとことん学園異能である。
この「わけわからん」ってのが実は作者の意図だったのかは定かではありませんが、なんとも奇妙奇天烈な物語でありました。まあ退屈はしなかったんでよかったです。
面白いってのとはなんか違う感覚でしたが、恐らく人を選ぶ作品でしょうね。まあそれでもオススメです。
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