

とらドラ10! [★★★]
――みんな幸せ!
ついに完結を迎えました、超弩級ラブコメ。物寂しい感じがしますけども、ここで区切りでございます。
私がこの作品を読み始めたのは4巻の発売前くらいで、そんときはまだここまででかくなるとは思ってもみませんでしたねー。そしてもう終わってしまうとなるとなんだか感慨深いなぁ。
ホントにこの作品に出会えたことを心から感謝します。ゆゆぽ先生お疲れ様でした。次回作も絶対買いますから!
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春。衝撃の出会い。
ラブレター。共同戦線。電柱キック。
偽乳特戦隊。2DK根性。かぶせたティアラ。
エンジェル大河。くまサンタ。雪山の告白──
そして、雪舞い落ちる二月。
手を取り合って逃げ出した竜児と大河。
それぞれの想いを胸に、二人はともに未来を切り拓こうとする。立ちはだかるのは、ままならない世界。
ぎりぎりの状況に立たされた竜児の下す決断とは。竜児と大河の、実乃梨、亜美、北村の、それぞれの想いの行方は──。
想いを確認した二人は、いつまでも竜虎で並ぶ――!
お互いの親から、現実から逃げ出した竜児と大河。行くあても、お金もなくしてお互いの想いを確認した二人。一生並んで歩いていくことを約束するのだった。
とらドラ! ついに完結です。
竜児がいて。大河がいて。みのりんがいて、あーみんがいて、北村がいて。独身(30)がいて、やっちゃんがいて。アホの春田がいて、能登がいて、摩耶も菜々子もいて。誰か一人でも欠いたら成立しない物語だったんじゃないかと思います。
大人が子供を想うがゆえの現実さ。子供が自らの理想な幸せを願っての大人への反抗心。
ぶつかりあって何度も砕けて、社会の厳しさなんて分かっているようでロクに知らないクソガキの戯言でも青臭い理想論でも、見つけてしまった最大の幸せを精一杯貫いて貫いて立ち上がる真っ直ぐな気持ちは本物なんです。青春特有で、不器用で、クソガキだからこそキラキラしてるんです! 中心の5人はそれぞれ信じるエゴがあって、悩みを抱えてものすごい人間味溢れていて、かつ魅力的な等身大のキャラクターたちだったと思います。
そんなことを思わせてくれる物語でした。切なくても、辛くても、苦しくても、誰かを好きになるという気持ちは何物にも変えがたいものですから。
もうラブコメを域を突破して、物語は幸せいっぱいの大団円へ。
みのりんこと、櫛枝実乃梨。
やっぱり私はみのりんが一番大好きです。9巻で、一年間を通してできた竜児との絆は確かなものなんだと思います。周りを傷つけまいと意地を張って、何度でも立ち上がって突っ走る。どんなことにも前を向いて、しっかりと見据えて、決して逃げないことを誓ったみのりんを忘れません。竜児はホントいい子を好きになったよね。
裸族こと、北村祐作。
ホントにいい親友やってるよ。どんな状況に転がっても、それが大人への反抗だとしてもただ一言、「俺は絶対味方だ」。
その力強い後押しに竜児はどれだけ励まされたことでしょう。兄貴のこともあって一時期は不安定になっていたけど、自分のようなことを繰り返してはいけないと思ったんでしょうか。それほど竜児と大河の恋路を応援していたということなんでしょうね。
あーみんこと、川嶋亜美。
この物語を通して一番印象が変わったキャラ。最初はぶりっ子とかいうウザキャラだと思っていたら化けました。というか、あーみんがこの物語を引っ張っていたと言っても過言ではありませんよね。
全てを救おうとして、それでもうまくいかなくて、責任を感じて。それでも虚勢張って意地張って素直になれなくて、しかし最後に吐露されてた本音には涙してしまった。
この物語で一番弱くて、でも一番強い子。あーみん大好きです。
竜児や大河の家族との確執だったり、そういうしがらみも取れた話だったのではないでしょうか。
まさかやっちゃんにも泣かされるとは思わなかったな。9巻のラストで竜児に言われてしまったあの一言はやっぱり傷つけてしまったのですね。親に捨てられて、捨ててまで竜児を育てようとしたやっちゃんはいつか自分も同じ目に遭うんじゃないかと危惧していたのですから。
竜児がやっちゃんを捨てて大河とどこまでも歩いていってしまう、ということも一時期は考えていたものの、そんなことはやっぱりできるはずもなく。やっちゃんとその両親とのしがらみも取れたみたいで良かったなぁ。
互いの想いを確認しあってデレデレになる大河はもうかわいいですなあ!
そんな大河を意識しまくってドギマギしている竜児もかわいいなあもう!
二人はいつまでも同じ場所にいて、竜虎よろしく共に並び立ち、いつまでも手を繋いで歩いていくんだと思います。どんな困難が立ちはだかってもパワフルな二人なら大丈夫だと思うのです。
大好き。もうホント大好き。本当に大団円でした。みんな幸せになってほしい。
笑って、泣いて、切なくなったりした最高の物語でした。ゆゆぽ先生本当にお疲れ様でした。
まだ短編が出るみたいなのでそっちにも期待しつつ、これにて終幕です! 超、超、超オススメ!!
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