ヒメゴトシステム1 先輩、セップクです! [★]
なんというかしっちゃかめっちゃかの内容だったけど面白かった。
私的にはああいう先輩すごいタイプです。けど主人公の立場を考えるとやっぱりめんどくさい。
ヒメゴトシステム 1 先輩、セップクです! (角川スニーカー文庫)
「この学校は元々わらわの城です。先輩は家臣にしてあげます」ところは桜桃学園放送部。そこに乗り込んできて、このご時世に城を取り戻しにきたと宣言したのは新入生、前村琴音だった。放送部員の武田隆司は、少女のトンチキ過ぎるセリフにビビりながらも、なんとか撃退に成功するが、琴音は諦めない。
隆司や学園のお馬鹿軍団を巻き込んで、彼女の城盗り騒ぎはどんどん拡大していくことに――。時代サクゴ系学園小説、ここに開幕!
かわいい新入生は、学校のご当主様!?
新入生の前村琴音は元々はお城だった桜桃学園を再興の柱とするために、放送部員の主人公・武田隆司と部長の有馬律子を巻き込みながらあれやこれやの奇行を繰り出す。そんな時代錯誤的ハイテンション学園コメディです。
内容は二の次として、この作品はキャラの立て方がうまいです。
主人公である隆司の性格を丁寧に描きつつ、必要最低限のヒロインとサブキャラを配置しての無駄の少ない構成となっております。またこの作品はダブルヒロインという形になってまして、新入生の小動物的なかわいさを持つ琴音と隆司にデレているのかそうでないのかハッキリしない放送部部長の律子さんのお二方が主人公をいい感じに引っ掻き回してくれて、面白い。なんというかこのヒロイン達はどちらが欠けてもいけないような、妙なバランスを保たれていますね。
琴音は一族が元城主というぶっ飛んだ言動をかましますが、別に電波というわけではありません。こういうのも電波と言うのかもしれませんが、本人は至って真面目です。その上自分の言動を執拗に守ります。悪く言えばしつこい。
隆司も最初こそ迷惑がってますけど、本人に悪気はないしとだんだん心を許していくようになりますが、この最初の部分に強い反抗心があったんですよね。奇怪な言動に訝ってなるべく関わらないようにしていたものの、琴音の持ち前のしつこさがあって次第に打ち解けていくようになるところがまたいいのです。
放送部部長の律子さんは人前では完璧美人を貫き通しますが、放送部部室で隆司と二人きりになると途端にぐーたらに。全身弛緩してだらだら、ゴミも拾わない自堕落魔と化し、クッションを持ち込んで昼寝をするというまでの所業。
これはこれで隆司にだけは気を許しているのでは? と思うのが普通でしょうが、本心は「こいつにあたしを襲う甲斐性は無い」と言わんばかりの心持です。隆司自体も律子さんに粘着性のある意地の悪いやり方でひどい目にあわされた過去があるので彼女を咎めることも出来ず、いまや立派な忠犬。これは悲しすぎる。
こんな律子さんがなぜか私のツボを突きまくってきました。なにこの先輩、かわいくね?
そんな二人が主人公を取り合いになるシーンがあって、律子さんは琴音と仲良くなるための演出とか言ってましたがそんなレベルを超越しています。これはガチなケンカではなかろうか。一時期は犬猿と言えるギスギスした二人でしたが、とあることがきっかけで仲直り……というか改めて友達になったっていうんでしょうかねこれは。
ああ、あとブラコンの生徒会長様がかなーり好みですね。
というか隆司があまり人と接しない性格になったのも彼のおかげなんですが、琴音は許しちゃうんですね。まあ確かにそっちの方が面白くはありますけど。
肝心の話の内容なのですが、ぶっちゃけこの1巻ではあってないようなものです。
琴音がお城にそこまでこだわる理由もまだ分かってませんし、そこら辺はおいおい分かるのではないでしょうか。でも個性的なキャラのおかげで最後まで読むことができました。ラブコメ展開にも期待。続刊も買いましょう。オススメです。
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