いつか天魔の黒ウサギ2 《月》が昇る昼休み [★]
一巻みたいな熱い展開を期待していたからか、二巻は比較的落ち着いていたのでなんとも拍子抜け。
次巻への伏線や流れの運びが主だったみたいですねー。まあ続きはそう長く待たないので機体はしていますけども。
しかし少年誌的な強さインフレが絶えない気がするんだけど大丈夫なのかなあ。
いつか天魔の黒ウサギ2 《月》が昇る昼休み (富士見ファンタジア文庫)
次元の裂け目を管理する宮阪高校生徒会長・紅月光は、銀髪の悪魔から“月の侵蝕に気をつけて”と告げられる。その直後、蛇の悪魔が生徒をさらう事件が発生するのだが!? 学園リバース・ファンタジー、第2弾!
最愛の人を守るために、少年は決意を固める――!
15分間に7回殺さないと死なない呪いを受けた少年・鉄大兎と、その呪い主である最古の魔術師のサイトヒメアが繰り広げる学園リバースファンタジー第2弾。
物語の展開が早い早い。2巻にしてラスボスっぽい『天魔』も現れ、もしかして3巻構成なのかと思ったけどあとがきを見る限りでは長編シリーズっぽくなるみたいなんですよねえ。まだまだ続きそうなので一安心。
だけども強さインフレがすごそうですよねえこのシリーズは。一巻で倒したはずの弟は実は生きていたし、月光の切り札でもある凶剣が通用しない敵が続々出てきて、主人公側では月光しかまともな戦闘要員がいないので心配。敵さん強すぎるって。でもそのうちあの大兎も何かに目覚めそうな気がしますが。美雷も一応悪魔だからそれなりに強いんだろうけど、あのドジっぷりを見ているとそう見えないって言うね。いつも月光に丸め込まれちゃってますから。
今回は大兎・ヒメアサイドと月光・美雷サイドがきっちり分かれていたからか、皆無とはいかないまでもこの二組のやり取りが少ないのが残念だったなー。短編でもいいからこの二組が絡む日常風景を読んでみたいものです。
しかしヒメアも美雷もそれぞれのパートナーにベタ惚れだから二人のかわいらしさは今回でも十分でしたね。ヒメアの純真からの好意も素敵なんですが、やっぱり私は口では月光に反抗しながらも頼られると即座にデレる美雷の方がかわいく見えますよ。美雷かわいいよ美雷。
派手な戦闘こそなかったものの、ヒメアの元恋人・バールスクラと《幸福》の魔法によるもう一人のヒメアとの対峙は燃えましたね。あの無意味な九年間を埋めるが如く、ただヒメアと一緒に生きていたいがためにあんな無茶な行動を取った大兎には熱いものがあったなぁ。どんなに無様だってどんなに泥臭くたって、一人で無理なら二人で乗り越えればいいんです。
そう考えると結構等身大っぽい大兎ってなかなか臭いセリフ吐いてますよね。
楽しかったけど、もっと大兎と月光を絡ませてほしいですねえ。うん、次回に期待しよう。オススメです。
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