静野さんとこの蒼緋 [★]
ある意味で正統派の兄妹モノ。
なんというかこそばゆいですねぇ、いい感じの距離感っぷりです。
静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫) (2009/01/07) 水鏡 希人 商品詳細を見る |
「お前に紹介したい人がいる」
――そう父に言われ、蒼介が引き会わされたのは、可愛くも凶暴なひとりの少女だった……というか、今まで存在すら知らなかった双子の妹・緋美子だった!!?
押しかけ的に同居することになった緋美子に終始やられっぱなしの蒼介。家だけでなく同じ学校に通うことにもなってしまっていよいよ息つく場所もなくなり……。そうまで蒼介をやり込める緋美子の真意とは? そして双子ともども巻き込まれてしまった、学校で起こる妙な事件の真相とは!?
口も達者、腕っぷしも強くて、でもとってもかわいい双子の妹の登場から始まる、ドタバタ学園コメディ登場!!
ある日突然やってきたのは――自分と瓜二つの妹!?
父子家庭だった静野蒼介の前にある日突然やってきた自分の双子だという妹の緋美子。緋美子の存在も、死んだと言われた母も実は生きていると今の今まで知らなかった蒼介は戸惑いながらも同居するというドタバタコメディ。
あまりにも突然の出来事に蒼介はただただ状況に流されるばかり。可愛くも口が達者で腕も立ち、学校では「お兄ちゃん~」と猫をかぶるパーフェクト妹に振り回されて最初こそはいがみ合うものの、話を追うごとにその溝も徐々に埋まっていくところはなんか気恥ずかしいというか良かったなぁ。
でも、これは蒼介が怒るのも無理はないですよねえ。自分だけのけ者にされて他の家族は家庭の事情も蒼介のこともちゃんと知っているんだから。だからといって妹に当り散らすのは感心できませんけども。離れ離れになって理由ももちろんあって、その上とある設定が出てからそこに繋がっていくのかーと。ああ、これそういう話なのねみたいな。これも一つの伏線だと分かってからこの作者さんの手腕が確かなものだと思いました。
それにしても緋美子は初めこそあまり好きなキャラではなかったんですが、後半になって実は兄のことを慕っていて素直にそれを出せないとことか、他の女といちゃいちゃする兄に嫉妬しちゃうとこがかわいいですね。
そんな中、意識不明で倒れる生徒が続出する奇怪な事件が校内で発生。
蒼介が不本意ながらも使いっぱしりにされる科学部――とは建前でオカルト研究会がこの事件の解決に乗り出しますが、捜査は難航。そこにとある力を隠す妹が付いてくるようになって犯人を突き止めます。
あれだけ言い合いと衝突を繰り返した二人が歩み寄ることによってしがらみが取れ、協力して犯人を追い込んで事件は解決。しかし事件の大元はあの人だったというオチ。
若干ファンタジーも混じってますがそんな兄妹モノのドタバタコメディでした。楽しかった。
緋美子がだんだんブラコンと化している気がしますが、全然その路線でもOKですよ。うん。
続きはおそらく出ると思うので楽しみに待ってますー。次は科学部中心のコメディたっぷりなお話を読んでみたいですね。オススメ。