ココロコネクト ニセランダム [★★]
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強くなったなあ、と親が子を見守るような気持ちで読んでいました。
これまで幾多の困難を乗り越えてきた文研部の面々。<ふうせんかずら>から力をもらった千尋の揺さぶりをいとも簡単に跳ね除け、一度対策を講じればすぐに偽物を見極めてしまう適応っぷりに脱帽。頭がキレる稲葉んを筆頭に、あの青木でさえも例外ではありませんでした。みんなもうさらけ出せるものだいたいさらしちゃってるもんね。
<ふうせんかずら>から能力をもらい、この世界を自分なりにおもしろくしてやろう、主人公になってやろうという千尋。しかし彼の思惑は文研部には一切通用せず、辛酸をなめる結果に。状況がおもしろくならないことに<ふうせんかずら>から圧力をかけられ、彼はさらに焦る。そして、大きな失敗をしてからはメンタルも急降下一直線。
同じく<ふうせんかずら>から能力をもらった、もう一人の新入生・紫乃。「どうせ無理だろう」という悲観論のもとに主人公になることを最初から諦め、傍観者で居続けることを選択した彼女。けれど文研部の強い絆と青春模様に触発されて、中途半端だった自分の殻を破り、主人公であることを今一度がんばろうとする姿はとても微笑ましく、まさしくこのシリーズらしい展開。
かつて「主人公」に憧れていたこの二人は、違うようで実は似てますよね。コインみたいに表は紫乃、裏は千尋みたいにお互いの黒い背後を支え合う関係で、私は結構好きです。まあ現実としては千尋が紫乃にやや引っ張られている感はありますけど。紫乃のなにげないブラックさもキャラに味が出ててなおよし。
しかしながら文研部はよく千尋を許す気になったなあと思いました。少なくとも稲葉んからは徹底的に拒絶されてしかるべきだと思うんだけど。イケメンだからか? そうなのか?
こうして二人の一年生が本当の意味で文研部に加わり、一層賑やかにナリそうです。ただ、この二人が加わっても恋愛のベクトル自体には変化ないんですよねー。千尋は唯のことが好きだったけど、もう過去の話になってるみたいですし。なんだかんだで一年同士でくっついてしまう可能性が一番大きいのかな。
そこで青木と唯ですよ。そろそろこっちの進展もほしいかな、と考えていますがどうなるんだろう。次回も楽しみです。
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