サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY [★★]
サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫) 河野 裕 椎名 優 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-11-30 売り上げランキング : 686 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「リセットを、使えません」
相麻菫(そうますみれ)の死から二週間。浅井ケイと春埼美空(はるきみそら)は、七坂中学校の奉仕クラブに入部する。二人は初めての仕事を振られるが、春埼はリセットを使えずにいた。相麻の死をそれぞれに考えるケイと春埼。ケイは、相麻が死んだ山へと向かい……。(「Strapping/Goodbye is not easy word to say」)。中学二年の夏の残骸、高校一年の春、そして夏――。壊れそうな世界をやわらかに綴る、シリーズ第4弾!
今回は短編集ですが、やってることはそれほど変わらないと思う。
時系列はバラバラだったけど、どの話も落とし所がきれい。些細と切り捨てられるかもしれないけれど、その人の在り方を左右してしまうようなできごと。ケイと美空の力を借りて、その人が出した答えは、救われたか否かは別として、きっとその人にとっていいことだったと思いたい。そして最後のお話がすごい好みだった。全体的に繊細で切さい雰囲気は相変わらず。
小さな挿話でしたが、珍しく美空視点のお話もいくつかありましたね。
無表情でも無感情というわけではなく、ただその感情の引き出し方が人よりも苦手な彼女(単に興味が惹かれるものが極端に少ないというのもあるけど)の視点から綴られるお見舞いの話、そして友だちの話はなんだか心がほんわかしますね。なんだかんだで徐々に前向きになっていると思わされる。お見舞いの話は特にニヤニヤ度が素晴らしいです。ケイのこと本当に大切なんだなあ、という内面が覗けます。
相麻菫が死んだ直後のお話はケイも美空も危なっかしかった。美空にいたってはリセットが使えなくなってしまうし。一人の死によってもたらされた感情に、お互いは傷つきながらも答えを求める。人間らしく。子供らしく。
最後の短編、「ホワイトパズル」もかなり良かった。
未来過去現在を行き来し、それに苦悩する少女とずっと見守ってきた少年の甘く切ない恋の一片。もうどうしようもできない未来しかない二人が、きれいに結ばれるさまは読んでいてほっとしました。もう雰囲気からかなり好きでした。
これもいい短編集だったなあ。次回からの展開も楽しみです。
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