ふぉっくすている? 1本目 [★]
ふぉっくすている? 1本目 (MF文庫J) 冬木冬樹 犬洞あん メディアファクトリー 2010-10-21 売り上げランキング : 16765 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ちょっと迂闊な普通の高校生・清原凪の目の前に、白無垢を着た長い金髪の女の子が現れて涙目でにらんでくる。「招待状は確かに送った。正装もこちらで用意している」……凪のせいで縁談が破談したという幼狐の橘が、その恥を雪ぐために凪に自分を娶れというのだ。「貴様のせいでは私は群から追放され生涯を処女で過ごさねばならんのじゃぞ!?」「ちょっ!?」――九尾の狐であることを捨て、いまは律儀に人間をやっている清原凪が「普通の高校生」を続けるには!?第6回新人賞佳作受賞作。カゲキなラブコメ戦、はじまる!
テーマは一貫していて良かったのですが、それが伝わりにくい印象を受けました。
人間に化けた妖狐の主人公・凪がキツネの嫁入りに遭い、橘という妖狐を娶らなければならなくなる。もし嫁にしなければ橘という妖狐の存在意義はなくなり、孤独死するしかない。さすがにそれでは寝覚めが悪い凪、しかし自分が人間であることを強く貫く彼がその狭間で揺れるお話。
凪がここまで人間であることに固執している理由には納得できるんですが、行動がいまいちそれに伴っていない気がするんですよね。そのおかげでこうも繰り返し彼が人間であることを読者へ伝えようとも、後半はだんだんその意味が弱くなってしまっている印象が残りました。話自体に筋は通ってるんだけど、もうちょっと主人公の動きをどうにかできなかったんだろうか。
それに加えてキャラに全体的なまとまりがない。
物語を通してテーマを伝えるのは作者ではなく、あくまで作中のキャラクターです。そのキャラクターたちが印象に残りにくいと、そこら辺も薄れてしまうんですよね。バリエーションには富んでいるけどもっと個性を出しても良かったと思う。
その中でも橘は乙女なかわいらしさがあって、いっそ凪といちゃいちゃにしてるだけでもいいんじゃないかというほど。
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