羽月莉音の帝国 [★]
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来たれ、革命部へ! クーデターを敢行しちゃう部です! 最終目標は建国! 私たちの国を作って、部長莉音が女王様として君臨します! これであなたも大臣だ! ……俺はそんな詐欺的な部に強制加入させられた。従姉の莉音に。ただの部活ではない。莉音が部を法人化──会社にしたからだ。俺たち部員は「創業に伴う初期投資」だかで借金300万円を背負わされ、返済のためにゴミ漁りからコスプレ写真集づくりまでを休みなく手伝わされる毎日! 株式会社革命部とかいうブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界! どうしてこうなった。
おすすめされて読んでみたクチですが、これはなかなかおもしろかったです。
が、なんかあまりにも現実感がなさすぎて……ていうかいつの間にかスケールがでかすぎる話に肥大化してて取り残されてる感がありました。革命部は元々国を作るお話であるからして、話が大きくなることは必然だとは思うのですが、それにしてはうまく行き過ぎだと思うのは野暮なのかなあ。でも起業とか会社創設のくだりは専門用語がいっぱい出てきたし、本格的ぽかったのでエンターテイメントとして割り切っちゃうのも余計になあ。それもあるんだけど、ただ巻き込まれただけってことを考えると毎回嫌々コスプレをさせられるおりおりがなんか見ていてかわいそうだった……。たしかに恥じらいは大事だと思います。でもあれはなんか度が過ぎるというか加減がないというか。でもあそこまで世界的に祭り上げられるとは、どんだけ美少女なんだ。
しかしながら、このご時世でビジネス系のライトノベルを書くとはなかなか目新しい観点だと思います。
なんかもうビジネスと聞くや見るや字面からお固そうなイメージが付きまといがちですが、この作品はいい意味でうまくライトノベルというかたちに収めている……というか適合させてると思う。莉音の才能と境遇が凄すぎるし、一番大変そうな雑務や管理を任されている主人公の巳継も実は裏ではめっちゃ仕事ができる人間なんだなー、などキャラのパワーに偏っているところはありますけどね。まあそこら辺は割り切っちゃいましょう。
あと恋愛パートってこれは無理に入れる必要があるんだろうか。なければないでもいいと思うんだけど、まあ今後この恋愛パートも絡んでくるらしいので、いまは温かく見守るしかないのかな。
それにしても株式公開の章からの革命部の躍進ぶりは痛快ですらありました。
今後もこういう話の運び方なら読んでみてもいいかもしれない。なんだかんだでこういう系統に疎い人にも優しい作りになってると思うし。
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