スクランブル・ウィザード7 [★★]
スクランブル・ウィザード7 (HJ文庫) すえばしけん かぼちゃ ホビージャパン 2010-07-01 売り上げランキング : 233 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
力強化を目論む伊蔵の策略により身動きが取れなくなった月子と十郎。しかし、直接的あるいは間接的に月子から影響を受けた人間たちが、彼らを助けるために行動を起こす。孤独な戦いではなかったことに勇気づけられた二人。月子は伊蔵と、十郎は能勢との対決にそれぞれ挑む――。“魔法士”をめぐる一大群像劇は、ついに感動のクライマックスへ!
まさか最終巻とは思わなかったど、余韻も素晴らしい大団円でした。
それにしても月子、ホントによく頑張ったなあ。この物語で一番成長したのは間違いなく彼女でしょう。よかった。
思い返せば、最初はなんでも笑顔でごまかし、感情を押し殺した人形のような子でした。
しかし彼女を取り巻く環境は一年という間に様々な逆境を通じて激変します。魔法士ではなく一人の人間として、頼ること、求めること、そして向き合う心を学び、弱冠12歳とは思えない成長ぶりです。自分を陥れた祖父相手にでさえこうなんだから、まあお人好しと言えばそうなんだけどね。
なぜ、月子がここまで成長できたか。それは彼女自身の心の強さもありますが、その根幹となるのはたくさんの大切な人たちだと思います。
そして逆境を乗り越えたり、友人を励ます子供たちに倣うように、大人たちも物語を動かします。
能勢は結局最後までよく分からないやつでした。もしかしたら十郎と再びコンビを組んでくれるのかなー、という期待もあったんですが、それはもういまさらって感じですよね。この二人の戦いは避けられないものだったので、ヒヤヒヤしながら読んでいました。けれどこんな「殺し=快感」という間違った感情を持った殺戮機械のような能勢でも、もしかしたら誰かに止めてほしかったのかな……とは思います。
でもマクスウェルとの戦いよりはこの二人がぶつかるところが熱かったかな。言わば宿命でしたからね。
でもってすべてが終わった4年後にフェードアウトするわけですけども、こういう演出も嫌いじゃありません。
晴れてここに正式に年の差カップルが誕生したわけです。本当に幸せになってもらいたいものです。
ついに終わってしまいましたが、いままでの伏線もキレイに回収してとても完成度が高い物語だったと思います。年の差カップルよ、永遠に幸あれ!
←『スクランブル・ウィザード6』の感想へ
コメントの投稿