イスカリオテⅤ [★]
イスカリオテ〈5〉 (電撃文庫) 岸和田 ロビン アスキーメディアワークス 2010-05-10 売り上げランキング : 1424 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
12月、聖誕祭(クリスマス)を控えて御陵学院は大きな盛り上がりを見せる。玻璃率いる中等部生徒会はじめ、喫茶店をやることになったノウェム、さらにはラーフラまでもがサンタの格好をして準備に奔走。イザヤもその熱気の渦に巻き込まれていく。
しかし、聖誕祭当日、街に異変が起こる。突如出現した<獣(ベスティア)>の群れ、新たな異端審問官の登場、そして壬生蒼馬の復活により事態は大きく動いていくが──!?
三田誠が贈る罪と罰のアイロニック・アクション、緊迫の第5弾!
イザヤも、ノウェムも、たしかに変わりゆく一冊。一巻のときとはほんと別人のようだ。
大罪の数に合わせた全七冊ということで、クライマックスに向かってどんどん進んでいるのがしっかりと伝わってきます。
前回復活を遂げていた蒼馬がイザヤに再び揺さぶりをかけてきましたが、最後にはおおいな決断をするところはとてもカッコよかったです。未来の自由を求めて「英雄」を演じるハメになった彼は、本物の「英雄」になし得るのかどうか。その決意から自分から戦いに身を投じることを否とすることをしなかったりして、「英雄」を演じることをあそこまで嫌っていたイザヤがここまで変わるきっかけになったのは、この御陵市という街なのか、イザヤを兄と慕う玻璃という一人の少女か、はたまたはイザヤに従順する人形の少女か。
ノウェムもノウェムで二人の玻璃からイザヤに対する気持ちは恋なのではないかと言及され、やっとその気持ちに気づくことに。本格的にもう「人形」とは呼べないほどの感情にみちあふれている気がします。ここまで来たら普通の女の子だよなあ、ノウェムも。ここまでに人間の感情らしい感情を得るに至るにまでには、前回の短編集のお話があってのことですよねー。
さて聖誕祭というそれ相応の因縁と舞台もあるわけで、いよいよ盛り上がりも最高潮になってきました。次回も楽しみ。
←『イスカリオテⅣ』の感想へ
コメントの投稿